こんにちは。
今日は、いよいよ最終巻となった、草間さかえ先生の人気シリーズ『やぎさん郵便』3巻をご紹介します。2023年にさかえ先生を知り、先生の作品を読んできましたが、このシリーズは特に大好きで、初期の頃からのペンタッチの変化や時代描写、さかえ先生らしい個性豊かなキャラクターたち、そして色彩や温度さえ感じら得るコマ描写が楽しめる作品です。
作品データ
やぎさん郵便 3巻
草間さかえ
刊行年月:2015.11.23
出版社:リブレ(CITRON COMICS)
並べると、かっこいい表紙なんですが、裏表紙は笑えるんです 😄
どんな作品?
草間さかえ先生の代表作。短編や1巻完結ものを多く描かれているさかえ先生にとっては珍しい、全4巻もの。この3巻は、ほぼ10年かかって完結した長編シリーズの最終巻。
2014年12月に発表された『やぎさん郵便』24話から最終話、そしていくつかの読み切り番外編が収録されております。
比較的大人しい描写が多かった廣瀬の、花城とのつながりにも笑えます。こんな展開になるとは〜っ!w
4人のその後、澤の昔の話なども収録されており、シリーズをずっと追ってきた読者には嬉しい最終巻になっています。
一番最初の連載時からこの物語を追っていた読者の方々、おつかれさまでした。そして、完結してから読んだ方も、十分に楽しめる物語。そして、今この作品を知った自分は本当に幸せです。まだ未読の方は、ぜひ読んでみてください。
やぎさん郵便シリーズの順番
やぎさん郵便シリーズを読む場合は、以下の順番でお読みください。
- マッチ売り
- やぎさん郵便
- やぎさん郵便 2巻
- やぎさん郵便 3巻
『マッチ売り』に、やぎさん郵便の1話〜8話が収録されているため、実質、『マッチ売り』が1巻となっております。
カップリング1
攻め:廣瀬清高(ひろせきよたか:ふわっとしてた廣瀬がなぜ花城に惹かれたのかが明らかに。)
受け:花城青司(はなしろせいじ:この人はほんっとに… おもしろすぎるよ!w)
カップリング2
攻め:澤陣一郎(さわじんいちろう:まさか澤から萌えをいただくとは…。w)
受け:有原岑生(ありはらみねお:どん底にいた弱虫の君が、一番幸せなのでは!?)
3巻のあらすじ
祖父から花城へ預けられた絵の箱。その箱の中に入っていた妖艶な絵を子供の時に覗き見してしまった廣瀬。それが脳裏に焼きつけられ、彼のその後の性癖にも影響を及ぼしている…。しかもその絵に描かれた女性とは・・・。
いつの間にか、澤に絆された有原。二人の間にはいくつかの誤解が重なっていた。絆されていく有原をてっきり経験豊富な奴と思っていた澤だが、実は、今までの相手は一人しかいかなった。そしてその相手は、以前有原を傷つけようとした男…!? しかし実はその男、実は有原の知り合いではなく、澤の以前の男であり、各々の重なった誤解がゆっくりととけていく。
草間さかえ先生『やぎさん郵便』3巻のネタバレ!?感想・レビュー
足掛け10年の連載、おつかれさまでした。
(いやもう完結してしばらく経ってますが… w)
この作品を初回から追っていた読者の方々にもお疲れ様でしたと伝えたいです。10年はすごいよ。いや、BLでは普通なんでしょうか!?
しっかりと、重すぎず
一番始めの『マッチ売り』のエピソードから、まさかこんな人間模様を見ることができるとは思ってもおらず… さかえ先生のストーリーテリング、時代、そしてなんといってもこの4人の濃いキャラクター設定… 圧巻でした。
ただ、決して重すぎません。淡々と進んでいく物語なのに、奥行きがあるのは、さかえ先生の表現力なんだろうなと思います。
なんでもいいので今すぐ読んでほしい
もし、まだ草間さかえ先生の作品を読んだことがないのであれば、今すぐ、なんでもいいので読んでほしいです!w
さかえ先生の作品は、短編集や1巻完結ものが多いため、たくさんの著書がありますが、おそらくどれを読んでも(多少の好き嫌いはあるにせよ)面白いと思います。
勢いのあるアナログのペンタッチ
絵柄は少し癖があり、私も最初は手に取るまで時間がかかりましたが、読み始めると、物語そのものに一気に引き込まれていくので、絵を気にする暇はありません。絵そのものも、アナログのペンタッチに勢いがあり、また男性の骨格も好みに合います。
まぁ絵柄ばかりは好き嫌いに個人差がありますね…
不可思議な人間模様
この『やぎさん郵便』シリーズは、長期連載となり、また先生の作品の中では長編となりました。
物語はゆっくり進むものの、やはり魅力は4人の背景と人間像。BLらしく、性癖を絡めたお話になっています。
戦後の混沌とした時代、人間の不可思議な心情が面白おかしく表現されています。一応エンディングはあるのだけど、この時代の風景が切り取られた感じの終わり方で、ハピエンやバドエンという言葉では語りきれない読後感があります。
番外編を含めると、キャラの背景はもちろんのこと、ほぼ全ての登場人物が色鮮やかに描かれており、また身内で起こっていく出来事がすべてつながっているのも面白い。
当時の世界観や人との交流範囲は今よりも比較的狭かったと考えられます。だからこそ、先生と澤のお姉さんの話などもあり得る話で、妙にリアリティが出てきます。
そして、幼少時代の話など、イラスト(表紙)も含めて、子供たち、お年寄り、近所の人々、草木や動物など… 草間先生の作品には日常の情景をたくさん含んでいます。
当たり前のようですが、最近の人気の漫画を読んでも、動きのある背景って、それほど描き込まれていないんですよ。私たちが見ている日常の風景、必ず動きや音がありますよね。それをそのまま絵に描き落としている。だからこそ、私たちの脳裏にある情景とリンクして、物語にリアリティが増します。
廣瀬のミステリー
最終巻では、廣瀬のエピソードが出てきます。
花城のお話が濃かったので、廣瀬のエピはそれほどありませんでしたが、実は、廣瀬は過去に花城と会ったことがある。それだけでも面白いんですが、一筋縄ではいかないのがさかえ先生。
廣瀬が花城に惹かれる理由、そして『マッチ売り』でも出てきた、噛み癖の話。体を重ねた時、花城の顔を見たかったんです。なぜか。それは廣瀬が幼少時代に見た秘密の絵に関連してきます。その絵の正体とは… そこはぜひ本編を読んでください。w
澤の変化
また澤と花城との出会いが描かれた短編も収録されています。澤の描写は初期からそれほどは変わっていない。ただ、彼の背景を知っていくことで、有原や私たち読者の澤に対する見方が変わってくるのだと思います。
実際、私も澤に惚れました。w
そして、彼がどうやって花城と出会ったのか、またなぜ彼が花城を好きになったのか、花城の若かりし時のお話とともに描かれていて、二人の不思議な関係性がなんともユニーク。
有原の優しさ
有原の過去。
彼も優しい性格です。だから澤の気持ちや、澤の前の男の考えがわかる。
そして、そんな彼が想いを寄せていた廣瀬も優しい心の持ち主。
それぞれの優しさが交差する中、男運が悪かった有原が、澤と出会い、少しずつ澤の優しさを感じていく。この描写も、面白く描かれているのだけど、どこか胸が熱くなる。
澤も見たことのない有原のとびっきりの笑顔を、私たち読者は最終巻で見ることはできるのでしょうか。
自分の世話だけじゃ1日が長すぎるんだ
お前は俺の一生分の余暇を費やすに値する
引用:草間さかえ『やぎさん郵便 3』, 2015
澤が有原に自分の気持ちを伝えます。さらっと伝えるところが、なんとも澤らしい。
澤、大好きです ❤️❤️❤️
細かな描写も楽しみましたが、やはり全体を通して時代背景や描写、全てのバランスが心地よい作品だと感じました。さかえ先生は間違いなくBLの歴史において読んでおくべく作家さんであり、漫画家としても、今後とも作品が楽しみです。
草間さかえ先生『やぎさん郵便』3巻 を今すぐ読む方法
草間さかえ先生『やぎさん郵便』3巻 を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
コミックシーモア:クーポンが魅力。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。
Renta!レンタ:レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入が可能。
コミックシーモアの月額コミック読み放題が一番お得!BLも読み放題!
草間さかえ先生『やぎさん郵便』をもっと楽しむ方法
もっと楽しむ方法1:ドラマCD
残念ながら、どうやら『やぎさん郵便』3巻はドラマCDになっていいないようです。
しかし『マッチ売り』はドラマCDで楽しめます。
草間さかえ先生の『マッチ売り』、うれしいことにドラマCDがリリースされています。
ポケドラからオーディオDLができます。エピソードごとの購入も可能なので便利。
CDメディアは、新品での購入は非常に難しいですが、中古では見つけることができるかと思います。ネットオフさんで、BLCDの中古もいろいろ見つけることができますので、探してみてください。
もっと楽しむ方法2:英語版『Lost Letter』
もう一つの楽しみ方は、英語版を読んでみることです。
語学勉強を大好きなBL作品でしてみるのはいかがでしょうか?
以下、洋書の電子は「楽天ブックス」で取り扱っています。素晴らしい!
これが意外と勉強になるんです〜
個人的には紙本で読まれることをオススメしたいところですが、電子でも十分に語学勉強に役立てることができます。
まとめ
今回は、ご紹介というよりも、個人的な萌えポイント!?の羅列になってしまいましたが、大好きな草間さかえ先生の『やぎさん郵便』3巻をご紹介しました。
少し古い作品なので、まだ読まれていない方も多いかと思います。
しっかりとしたストーリー性のあるBLをお探しの方、今すぐ手に取ってみてください。BLファンは読むべき秀作の1つです。
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