草間さかえ先生『マッチ売り』:闇でマッチを売る理由

草間さかえ
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こんにちは。

今日は、草間さかえ先生の『マッチ売り』をご紹介します。草間先生の人気シリーズ『やぎさん郵便』の実質1巻になるこの作品。1巻完結が多いさかえ先生ですが珍しく4巻のシリーズものとなっています。

作品データ

マッチ売り

草間さかえ

刊行年月:2010.10.01

出版社:リブレ(CITRON COMICS)

どんな作品?

2005年2月から、雑誌『MARBLE』で掲載されたタイトル作品『マッチ売り』前後編、そして2006年8月から『やぎさん郵便』の不定期連載がスタートしたものをまとめた作品。

草間さかえ先生の代表作の1つです。

戦後の東京を舞台に、一通の不完全な恋文を介して交差していく4人の男性を描いた物語。物語の構成も魅力的ですが、作品の背景に戦後の東京という混沌とした時代が描かれているのも面白いです。漫画では、あまりこの時代を舞台にした作品時代読まないため、すごく新鮮でした。

タイトルは『マッチ売り』になっていますが、『やぎさん郵便』の1話から8話まで収録されているため、実質、やぎさん郵便の1巻になっています

草間さかえ先生『やぎさん郵便』シリーズ:読む順番

『やぎさん郵便』シリーズは、全4巻。以下の順番でお読みください。
マッチ売り
やぎさん郵便
やぎさん郵便2
やぎさん郵便3

草間さかえ先生『マッチ売り』:ネタバレ!?感想・レビュー

今回は、収録されている2つのお話から、二組のカップルをご紹介します。

収録作品01:『マッチ売り』

カップリング

攻め:廣瀬清高(ひろせきよたか:…いや、攻めですかいっ!)

受け:花城青司(はなしろせいじ:複雑な背景がありそうですが、自由奔放な雰囲気。)

『マッチ売り』ストーリー

花城と廣瀬は、トンネルで知り合います。
花城はトンネルで燐寸を売っている。買いに来るのは男たち。
たまたま人を待っていた廣瀬は、花城に話しかけるところから物語が始まります。

廣瀬は、友人から返してもらった本に、友人が書いたと思われる恋文の最後のページのみがはさまっていた。そのページを友人に返そうと友人と待ち合わせをしていたのだが、待ちぼうけを喰らう。花城との会話のやりとりから、彼のやさしい無邪気な性格、押され弱い部分などがちらほらと見えてきます。

一方、花城はなぜマッチを売っているのか。マッチを売る目的。読者には見えるように描かれています。戦後の複雑な情勢、心理、そして花城個人の背景が複雑に絡んでいるのが、その先の『やぎさん郵便』を読み進むにつれてわかってきます。

前後編のこのお話は、比較的シンプルで、まだ序章とでもいいましょうか。しかしながら、花城と廣瀬の不思議な関係はここから始まっています。そして、廣瀬の迷言がありました。

昨日、俺、どこらへんに入れてました?

いや、どこらへんって、どこに何があるってんだよ。w 😂😂😂

廣瀬もなかなか曲者です。何もわからない学生…のようなんですが、実は彼なりの癖(へき)があるのです。

収録作品02:『やぎさん郵便』

カップリング

攻め:澤陣一郎(さわじんいちろう:花城の出版社のパートナー。廣瀬の名前を以前目にしたことがある。)

受け:有原岑生(ありはらみねお:廣瀬が待ちぼうけを喰らった友人。恋文を書いた本人。)

『やぎさん郵便』ストーリー

『マッチ売り』のカプに加え、『やぎさん郵便』ではもう1組のカプが登場し、この2組のお話が『やぎさん郵便』シリーズとして長編化しました。

マッチ売りのカップリングはそのまま、そして花城の仕事上のパートナーである澤は、廣瀬が持っている1枚の恋文を書いたとされる有原と出会います。

澤は、廣瀬が持っている最後のページの恋文の1枚目を持っていた。そしてそれを書いたのが有原だと知っている。誰が誰に何を書いたのか、知っているのです。

この巻では、そこまで澤と有原の背景は描かれないのですが、どことなく憎めない澤の環境、性格がさりげなく描かれています。花城(社長)が好きなのか、自分のポジションを廣瀬に取られ嫉妬する彼と、なぜか関係を持つ有原との複雑な関係が魅力的に描かれている。

そして、4人それぞれの性格がしっかりと描き分けられており、また、さかえ先生のユニークなイラストから、イキイキとした状況が目の前に広がってきます。

雪が降っているシーン、そして冷えた体を温めようとボイラー室にあるお風呂を借りる花城たち。囲炉裏で湯を沸かすシーンなど、細かな日常の描写が、季節や温度、コーヒーの湯気で、ふと香りまで感じてしまう。そんな場所で繰り広げられるBのL。w

この物語、一体どんな結末が待っているのか。
今後のストーリー展開が気になりますね。

温度感が魅力的です。

草間さかえ先生『マッチ売り』を今すぐ読む方法

草間さかえ先生『マッチ売り』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。

私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。

コミックシーモアはクーポンが魅力。無料書籍や試し読み部分が多めです。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。

Renta!は、レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入することもできます。お好きな先生の情報をチェック。

草間さかえ先生『マッチ売り』のドラマCD

草間さかえ先生の『マッチ売り』、うれしいことにドラマCDがリリースされています。

声優さんは、学生・廣瀬 (小野友樹)、マッチ売り・花城 (野島裕史)、花城の部下・澤 (安元洋貴)、廣瀬の友人・有原 (鈴木達央)と、豪華な顔ぶれになっています。

ポケドラからオーディオDLができます。エピソードごとの購入も可能なので便利。

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CDメディアは、新品での購入は非常に難しいですが、中古では見つけることができるかと思います。ネットオフさんで、BLCDの中古もいろいろ見つけることができますので、お得です。

ただ残念なのは、『やぎさん郵便』のドラマCDがないということ。だから、物語全部をドラマCDで聴くことができないんです。

このシリーズそのものも、完結までに10年もの歳月がかかったようですので、その間に様々な変化はあったことでしょう。それゆえに、BLという非常に狭いジャンルの中では、例えば1冊目のドラマCDがリリースされたからといって必ずしも全シリーズドラマCD化されることはないという・・・。残念ですが、1巻だけでもオーディオで楽しめるだけでも幸せです。

まとめ

いかがでしたか。作品の魅力はたくさんあるのですが、ネタバレしすぎるとおもしろくないため、とにかく4人の人間模様が必見、とだけお伝えしておきます。

時代物ではありますが、そこまで時代にこだわった描写でもなく、とにかく4人のキャラ、背景、そして昔から抱えている問題が描かれているため、このクセのある4人がどうやってつながっていくのかがみどころの物語です。

『やぎさん郵便』の実質1巻でもあるので、このシリーズを読む場合は、必ずこの『マッチ売り』から読み始めてくださいね。

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