こんにちは。
今日は、草間さかえ先生の『ヌレル(イロメ2)』をご紹介します。校舎を舞台にした様々な色恋事情が描かれた『イロメ』に登場したカプたちの続編になります。
作品データ
ヌレル(イロメ2)
草間さかえ
刊行年月:2011.04.15
出版社:新書館(ディアプラスコミックス)
どんな作品?
BL雑誌『Dear+』に2008年9月号から不定期連載されたシリーズが1冊にまとめられた短編集。既刊『イロメ』の2巻。学校を舞台に、そこから派生する人間模様が描かれたオムニバスで、1巻のCPたちのその後が楽しめます。
幼なじみのナオシと光彦、生徒にイロメを使ってた野田先生と生徒・桃山、そして学生時代に自分も教師に恋をしていた白山先生と卒業生の壬生谷(みぶや)の関係。
2巻は白川と野田の過去のお話がみどころですが、ショートなどもあって、たっぷりと楽しめます。この1冊だけでも楽しめる内容ではありますが、やはり1巻を読んだ方が、カプの関係性を理解しやすいですし、いろいろと妄想ポイントもあると思います。
さまざまな魅力的なCPが多い草間先生の作品ですが、2巻で完結としてくれているのも読みやすい。ファンとしては続きが読みたくなるものもありますが、この先生の作品は、余白があるのが良い。読者おのおのが妄想でその余白を埋めるのが楽しいんです。
もし読後に、ずいぶんあっさりしているな、と感じたら、ぜひそのカプのその後を妄想してみてください。❤️
草間さかえ先生『ヌレル(イロメ2)』のネタバレ!?感想・レビュー
ショートを含めた短編をまとめたものなので、感想を含めて、カプごとにご紹介します。
少し長いので、ゆっくりお付き合いください。
ストーリー01:よい子わるい子
攻め:ナオシ(強がりでしっかりもの!なんだけど、初めての恋愛に試行錯誤中)
受け:光彦(ちょっぴり嘘つきでわがまま。ナオシのために受けになるのを試行錯誤中)
導入部分に使われる幼少時代のエピソードがとても効果的で、二人の性格がちらほら、そしてただただこんな可愛らしい男の子たちがお互いに惹かれて、ああだこうだする姿を見れて、母性!?をくすぐられる。特に光彦の切ない想いや無垢な笑顔に、私はやられた。
2巻では、二人の関係を深めようと、肌を重ねようとするのだけど、ナオシは初めて、そして光彦も男は初めてで、ああだこうだと四苦八苦するのが面白いです。光彦の視点で描かれているのだけど、彼の考えがとてもユニークで、笑える。
ナオシは時々思ったことを口に出してしまうのか、寝ぼけてなのか、光彦との関係をじいちゃんに言っちゃったり、1巻エピで目撃した光彦の「現場」の話をしたりと、てんやわんやです。
ストーリー02:かたくてやわらかい
ナオシ x 光彦 のお話。これで完結。
肌を重ねようとがんばるものの、なかなかうまくいかない二人。光彦は、なぜナオシは行為の途中で止めることができるんだろう、坊さんになるんだろうか、なんてことを考えながら、再度ナオシを誘います。坊さんなんてセリフが出てくるところも、さかえ先生らしい。w
ナオシはどうしても次のステップに進めない。物理的に無理だと悟ったようなのだけど、それでもやはり挑戦しようとする。このどうでもいいやりとりが本当に可愛らしく感じてしまう自分は老婆でしょうか。
どうでもいい、目的や意味があるようなことのようでそうでもないことを、ああだこうだと奮闘する若かりし日々。でも、人生そのものがソレの連続ですね。
結果はどうなるのか。きっとこの二人は、なんやかんやと問題を解決して、幸せになってるに違いない。じいちゃんと無事に赤飯食べたと思います。お幸せに。😊
ストーリー03:サイン
高校2年の野田と、1つ下の白川との出会いを描いた作品。
ここでは、白川の学生時代のトラウマ、そして野田の性癖について描かれています。
男子校に通う野田と白川。1年に可愛い男子が来たと学校で話題になった白川。身を守るために剣道を教えてほしいと剣道部にやってきた白川。
それを喜んで受け入れる主将を見て、剣道部2年の野田はイライラ。なぜか剣道部の主将である先輩が妙に気になるような、そうでないような、そんな気持ちが何なのかわからずモヤモヤとしていた野田。野田はまだ自分の性癖に気付いていないようです。
そんな野田に、白川は色眼鏡で見られていないのが安心だと寄り付いてくる。
そんな二人の学生時代の出来事が描かれている。
二人はその後、高校教員として母校(今は共学になった)で同僚として働くことになります。弱々しかった白川は、すっかり剣道もマスターし、今では野田に男性との恋愛指導さえするくらいまで成長したのが微笑ましい。w
そして、野田は桃山との関係も順調なのが見受けられて、お幸せに、と言いたくなります。
ストーリー04:ヌレル
ストーリー05:メガネ
ストーリー06:ミソカ
ショートです。無人駅に写真を撮りに来た桃山と野田。雨が降ってきたので駅で一休み・・・のはずが、先生のスイッチが入っちゃった『ヌレル』。
草間先生が大好きなメガネ男子、野田。母校で彼の同僚となった1つ後輩の白川。そしてそんな野田がいつも待っているのは大切な桃山。たった2ページでメガネ男子の魅力を存分に語る草間先生。そんな『メガネ』。
そしてやたらヒゲに嫌悪感を表す白川と初詣に行く予定の野田。壬生谷や桃山も一緒で、なんだか仲のいい人たちな『ミソカ』。
ストーリー07:フロウ(前後編)Flow
壬生谷と充実した毎日を送っている白川。思わず壬生谷の前だと顔がほころぶほど心地よい関係になっていた白川だが、壬生谷の方は何かどこか心にひっかかることがあるようで……。この心のモヤモヤを解決すべく、白川をよく知る野田に直接聞きにこうと高校に立ち寄った。
壬生谷は野田と話をすればするほど、自分は恋人であるはずの白川のことをあまり知らず、もしかして野田と白川は過去に関係があったのだろうか、とさえ不安になり始めた。そんな矢先、白川は剣道部の生徒とトラブルを起こしてしまうーーー。
白川と壬生谷がメインのお話ではあるのだけど、学校が舞台のため、野田と桃山も登場してクライマックスを迎えます。
白川の色気が急に倍増。w 偶然学校で壬生谷を見たときの白川の顔のほころびが本当に幸せそうで…。野田と白川の学生時代を知らない壬生谷は、白川が本当は野田を好きなのでは?という不安に駆り立てられます描写も自然です。
お気に入りのシーンは、白川のために丁寧にミルクティーを作るところ。この壬生谷がなんとも愛らしく、また白川への愛情が感じられるシーン。些細なことで野田と張り合っていることや、白川のために恋敵!?と決闘しようとするところなど、本当に可愛らしい奴。
壬生谷は攻めですが、さかえ先生の描く年下攻めは本当に可愛らしく、大好きです。
野田と桃山の登場で、物語がさらに盛り上がり、いいスパイスになってます。
ストーリー08:オーバーフロウ Overflow
上記エピの事件が解決した後のお話。壬生谷は自分に心を開いてほしい、恋人としてもう少し頼って欲しい胸の内を白川に話します。どこか遠慮して、はぐらかそうとする白川に、壬生谷のどこかもどかしい気持ちが表現されたお話。
野田と桃山も、なんだかんだと落ち着いた感じです。いつもイライラしている野田だけど、時折見せる笑顔が魅力で、桃山もそれにやられちゃってますね。でもやっぱり野田のお部屋はごちゃごちゃしちゃってた。桃、また掃除しないといけないね。そんな細かな妄想ポイントも残してくれてる草間先生でした。
草間さかえ先生『ヌレル(イロメ2)』を今すぐ読む方法
草間さかえ先生『ヌレル(イロメ2)』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
コミックシーモアはクーポンが魅力。無料書籍や試し読み部分が多めです。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。
Renta!は、レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入することもできます。お好きな先生の情報をチェック。
まとめ
今日は、草間さかえ先生の『ヌレル(イロメ2)』についてご紹介・・・というか、感想をおしゃべりしました。
草間先生の作品を未読の方は、さかえ先生の作品に漂う優しい空気感を、一度味わって欲しいです。
もし、今のあなたに合わなくても、1年後、5年後、10年後、ぴったりと合う時がくると思う。さかえ先生の作品は、そんな価値があります。
色褪せず、どこか懐かしい日本の情景でひっそりと繰り広げられるBLの世界。
あなたのお好みに合うことを願っています。
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