京山あつき先生『すのーふれーくす』:唯一無二という存在の面白さ

京山あつき
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こんにちは。

今日は、京山あつき先生の2015年作品『すのーふれーくす』をご紹介します。

雪の結晶のように、自然のように、人間は十人十色。

作品データ

すのーふれーくす

京山あつき Atsuki Kyoyama

刊行年月:2015年05月05日

出版社:大洋図書(ihr HertZ series 167)

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どんな作品?

京山あつき先生のihr HertZシリーズ。

大洋図書からは『聞こえない声』シリーズも大好きですが、このお話も思春期真っ只中、高校生のお話です。

雑誌『ihr HertZ』2013年7, 11月号、2014年3, 7, 11月号、2015年1月号に不定期連載されたお話、そして描き下ろしを収録。

タケルは抑えきれない性欲にどう対応していいのかわからず、自分が変態になったと真剣に悩む高校生。そんなタケルをたまたま教室で見かけ、見守ることになった化学の押間先生。そして、タケルの弟の友達・シュウくん

気になる人、爆発しそうな欲、そして不安。いろんな感情、いろんな人、日常。

高校から大学へと成長していくタケルと、彼にまつわる面々のお話が1冊に纏まった良作です。

BLカテゴリーというよりも、高校生の性に対する興味や不安な気持ちが繊細に描かれている作品です。

それとはつながっているようで、別のところにあるような「恋」という気持ち。胸が詰まるような気持ち。それを好き、というのかな。わかっているようでわかっていない、体の変化や気持ちの揺れに不安や怖さを感じるタケルの描写が秀逸です。

カップリング

攻め:タケル(思春期真っ最中の高校生。押間先生や弟の友人・シュウ君に恋をする忙しい奴)

受け:押間先生(化学の先生。タケルの謎の行為を目撃してしまった大人)

あらすじ

思春期真っ只中のタケルは高校生。爆発しそうな性欲の対処方法が分からず、わけのわからない行為に励む日々。理科教室の試験官で謎の行為をしているところを科学の押間先生に見つかり、先生に自分の性癖がバレてしまう。

先生への想いや、弟の友達・シュウくんへの憧れなど、落ち着かない気持ちと、どこかで知り合った年上との情事、先生との何気ない会話。タケルの周りはいつも忙しいーーー!?

京山あつき先生『すのーふれーくす』:ネタバレ!?感想レビュー

2015年に大洋図書からリリースされたこちらの作品、相変わらずの良作です。

京山先生の作品は、初期作品も含めてどれもハズレがなく、絶妙な心情描写で楽しませてくれます。

作品の魅力1:思春期のあれこれ

この作品のみどころは、なんといっても思春期の不安定な心理描写です。

高校生といえば、男女どちらも性に興味を持つお年頃。特にJDなら、多感な時期かと思います。

この作品の中で、主人公のタケルは、自分の爆発しそうな性欲をうまく対処できず、しかも男子に興味があるということで、誰に相談することもできず、奇妙な行動へ走ります。

学校の化学の先生に興味を持てば、理科室の試験管を使って怪しい行動をしてみたり……。その現場を先生に見られてしまいます。w

思春期の奇妙な行動を、先生は温かく!?目を瞑り、たまに理科室にやってくるタケルの話し相手になります。

友達もおらず、性癖について話す相手もいないタケルにとって、貴重な相談相手でもありました。

また、自分の性癖、または性的指向が人とは違い、自分は変態なんだと思っているタケルを、ある程度抑制することになります。

タケルの弟の友達・シュウくんは、どことなく押間先生に似ているところもあり、気になり始めます。そして、ある日、シュウくんがタケルの家に忘れたシャーペンを見つけ、それを舐めては興奮するタケル。w

そのシャーペンはシュウくんにとってとても大切なもの。そんな話を聞き、慌てて理科室に行って消毒しようとするのですが、シャーペンが変色してしまう。😆

普通に生活しているようで、いろんなことが空回りしたり、変な行動になったり……。そんな謎の高校生活の描写は、決して表面的な行動だけではなく、そこにあるタケルの不安定な心情が現れています。

物語は高校生を経て、大学時代の描写、そして先生との再会など、続いていきます。

1冊なのに、厳選された描写と時間の流れがとにかく見事で、読み甲斐があります。

この作品に、イケメンは出てきません。w

イラストにイケメン性を求める方、またドラマチックなストーリー展開を求めている方には向いていません。

映画のようなストーリーではなく、文芸小説のような、心情を巧みに描写した作品です。

作品の魅力2:共感

京山先生の作品を好きな理由の一つは、なんといっても心情描写が巧みなところです。

決してドラマチックなストーリー展開ではありませんが、恋する気持ち、人生や自分、または恋心を不安に思う気持ち、そんな繊細な描写が素晴らしいです。

この作品では、高校生の思春期を描いています。

男の子が好きなタケルなので、BLではあるのだけど、男女関係なく思春期のあの不安定な気持ちには共感するところがあるのではないでしょうか。

性に対してもそうで、何が正しいのかわからない感情、また不安。そんな描写が秀逸だなと思います。

作中、自分の性欲を制御できず、奇妙な行動に明け暮れるタケルは、弟にも変だと言われ、自分でもそれを止めることができません。

かといって、誰に相談できるわけでもない。自分は変態になってしまった、と、真剣に泣き悩むシーンは、今までに感じたことのなかった気持ちに対応できないティーンがそこにいます。

女子にも性欲はあるのだけど、男子のそれはより衝動的で、タケルが自分の変化に恐怖を感じているのがわかります。

作品の魅力3:自然とは

タイトルになっているスノーフレーク、雪の結晶。

雪の結晶は、同じものがひとつもありません。

自然には、同じものがないのです。
どれもが唯一無二。人間もそう。

だから、タケルが「自分は変だ。人と違う。」と不安になるけれど、人と違うのは当たり前なのです。同じものがあってはならない。それが自然。

そんなユニークな環境の中で、人はどうやって他人、そして自然と対話し、付き合っていくかが生きていくことなのかなと思います。

これは、私が時々読む養老孟司先生が昔からおっしゃっていることでもあります。

養老先生は、私たち日本人が自然に接する大切さを訴えていますが、そんなお話も私の中ではこのお話とつながっていきました。😊

京山あつき先生『すのーふれーくす』を今すぐ読む方法

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まとめ

今回は、京山あつき先生の『すのーふれーくす』をご紹介しました。

BLというジャンルでありながら、巧みなストーリー展開と哲学的メッセージをも感じさせるこの作品は、京山先生ならではの表現だと思います。

先生の作品はどれもオススメです。よく涙する男が登場する作品が多いですが、涙しながらも前へと進んでいくお話には、いつも考えさせられ、共感し、読後は胸が温かくなる。そんな作品でした。

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