京山あつき先生『見えない星』:溢れる気持ちに涙する引田のジェラシー

京山あつき
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こんにちは。

今回は、京山あつき先生の野球男児シリーズから、2作目にあたる『見えない星』をご紹介します。

先生の心情描写に毎回唸らされておりますが、2巻も素晴らしかったです。

作品データ

見えない星

京山あつき Atsuki Kyoyama

刊行年月:2008年06月10日

出版社:大洋図書(ミリオンコミックス HertZ series 038)

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どんな作品?

京山あつき先生の代表作の一つです。京山先生の作品は心情表現が非常に豊かで、どれも秀逸ですが、こちらの作品も素晴らしい作品です。

全3冊の野球男児シリーズで、『見えない星』は2巻になります。

BL雑誌『HertZ』band.17 (2006)、band.19-22, 24 (2007 – 2008) に掲載された全6話に、1つの描き下ろしが収録されています。

高校の野球男児のお話。部室で起こった事件!?をきっかけに、ブサかわな引田とかっこいい先輩の今井が付き合うことになった1巻。

2巻では、二人がどうやって関係を深めていくか、また1つ上の先輩は部活を引退するというイベントもあり、盛りだくさんの1冊です。

決してイケメンではない二人だけど(いや、今井はイケメン設定かな)、どこか可愛さがあり、また彼らの青春や思春期の情欲や感情にどう対処するか、みどころがたくさんあります。

何が正しいのかわからず、狭い自分たちの世界の中で手探りで駆け抜ける思春期をリアリティある表現で楽しませてくれるこの作品は、BLではあるのだけど、どんあ読者にも覚えのある感情ではないでしょうか。

京山あつき先生「野球男児シリーズ」:読む順番

このお話は、全3巻です。以下、読む順番です。

  1. 聞こえない声
  2. 見えない星
  3. 枯れない花

今回は、2巻にあたる『見えない星』をご紹介します。

カップリング

攻め:今井(引田のいじらしさに惹かれる今井。気持ちが昂り、情欲が…… w)

受け:引田(ちょっぴりブサイクながらも可愛くていじらしい。今井に押されて、尊敬から恋心に変化?)

あらすじ

野球部で人気の今井は、なぜか一つ後輩の引田のいじらしさが可愛くてしょうがない。

うっかり自分を抑制できなかった部室での一件を経て、引田は今井と付き合うようになる。

部活の練習が終わるたびに、部室でキスを重ねる二人。何気ないスキンシップが幸せに感じる日々。

幸せも束の間、時は過ぎ、憧れだった今井の引退試合が近づいてくるーーー。

京山あつき先生『見えない星』:ネタバレ!?感想・レビュー

作品の魅力1:青春

しっかりBLしてますが、青春もしてます。それがこの作品の魅力でもあります。

野球

主人公の二人は根っからの野球男児。甲子園を目指して日々練習しているわけで、恋する暇はあってもやはり優先順位は野球です。

引田は一生懸命練習はするのだけど、残念ながら結果が出ない。ただただ憧れの今井を追って、がんばります。健気で応援したくなるんだけど、結果が出ないという悲しい事実も妙にリアリティがありますね。

ちなみにスポーツの才能は、遺伝子で決まるという悲しい事実。

たしかに、トレーニングをすることで、ある程度の能力はあがるのですが、ある一定のレベルに達した後は、遺伝子で決まるそうです。

『AERA』(2019年7月26日)の記事によると、スポーツの才能は85%ほどが遺伝子によって決まってしまうという……。悲しい現実よ……。ちなみに音楽は92%で、音楽を頑張っていた自分には当時かなりショックな記事でした。w

ただ、これは才能の話であって、トレーニングすることである程度のレベルまでは上達も出来ますし、トレーニングの過程にも意義がありますので、全く努力の無駄ということではありません。

男らしさ

そんな引田が憧れているのが先輩の今井です。

今井は、練習もするが、結果も伴う才能の持ち主で、引田はそんな男らしい先輩に憧れています。

引田に比べると、今井は女性にも人気がある。だから、野球をしている今井もかっこいいし、男としての今井にも憧れます。

それなのに、引田自身は女子ともうまくコミュニケーションも取れないし、パッとしない。

そんな自分なのに、今井は自分のことが色っぽいと言い、うれしいのだけど本当なのかと不安になる引田がいます。

女の子と会話をする今井を見て、もやもやとジェラシーのようなものを感じたりする引田の微妙な心の揺れなど、とにかく心情描写が秀逸です。

今井へ対する恋心とは別に、どこか「男らしくなりたい」という気持ちもある引田は、恋心とは別に、引田が思う男らしさへの憧れや戸惑いに悩まされていきます。

恋心と情欲

この物語では、ゲイという言葉や、相手が男なのに……という表現は出てきません。

純粋に、今井と引田の間にある恋心を描いており、多少の戸惑いはあるにせよ、それは決して男を好きになる自分は変なのだろうかという葛藤はありません。

本人たちには、この気持ちを主観的に見ています。

「憧れ」という気持ちから「好き」という気持ちへと変化した引田の心境はかわいらしく、引田の心が今井からの愛情で満たされていくのが見て取れます。周りが見えなくなるような恋心こそ初恋や思春期のそれで、青春らしいです。

情欲は、今井がイニシアティブを取ります。彼らの関係も今井の情欲からはじまったといっても過言ではありませんが、先輩らしく!?今井が仕掛けます。

そしてそれを受け止める引田の心境は、後輩ではあるのだけどどこか大人な感じもあり、これは京山先生が女性だからこういう素晴らしい描写ができるのだろうか、と思いました。

女性は感情的でありながらも、客観的に自分の状況を判断することが多いですが、引田はそんな感じです。

作品の魅力2:引田

とにかく引田のブサかわにやられました。w

昨今のBL界ではイケメンパラダイスとなってはおりますが、この作品がリリースされた2008年はどうだったのか……。

心情描写目的でBLを読んでいる自分としては、可愛さやかっこよさのあるキャラに惹かれるので、引田は本当にかわいらしく、惚れ込みました。

引田視点というのも理由の一つかもしれませんが、イケメンキャラな今井先輩はキザなイメージで、どこか田舎っ子っぽい感じがします。

2巻では、憧れから恋心に変化した引田が、さまざまな感情に振り回されるのがユニークで、愛らしい。

居残り練習後の部室でのあれこれや、今井先輩からの愛情を感じて、胸がいっぱいになっちゃうシーンなども、京山先生のなんとも言えないイラストで描かれると、心に響きます。

さりげないジェラシーなんかも登場します。初めての恋に奮闘する引田よ…… w

京山あつき先生『枯れない花』:引田、いよいよ野球部引退です。
京山あつき先生の『枯れない花』は、野球男児シリーズの最終巻になります。ぎじぎじ眉毛の引田も、いよいよ野球部を引退することに。大学野球に精を出す今井先輩ともなかなか会えず不安ありですが、最後の野球生活を精いっぱいがんばる引田の成長を最後まで見送りたい。

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まとめ

今回は、京山あつき先生の『見えない星』をご紹介しました。高校野球男児シリーズの2巻です。

ブサかわな引田とキザな今井先輩のハッピーエンドは来るのか!?3巻で完結です。

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