こんにちは。
今回は、ハヤカワノジコ先生の『夜空のすみっこで、』をご紹介します。
ハヤカワノジコ先生は独特な水彩画カラーが魅力的な先生で、1枚の原稿をキャンバスに見立てて自由に作品を表現する作家さんです。表現方法が素敵で大好きなんですが、コミックスがなっかなか出ません。w BLならではですね。今読める限りの先生の作品をゆっくり楽しんでいます。
作品データ
夜空のすみっこで、
ハヤカワノジコ
刊行年月:2013年08月02日
出版社:大洋図書(ihr HertZ series)
どんな作品?
ハヤカワノジコ先生の2冊目のコミックス。
星がモチーフの作品で、表紙の水彩画イラストもとっても素敵です ❤️❤️❤️
1巻完結の作品ですが、のちに続編の『夜明けにふる、』(上下巻)もリリースされており、世界観が続いていきます。この1冊と、後の上下巻の2冊を並べて置くと、表紙のイラストが続いているという粋な演出も楽しめます。(紙本がオススメです!)
HertZ band.46-49 (2011-2012), ihr HertZ 2012年7月号〜11月号、2013年3月号〜5月号までに連載されたものが1冊にまとまっております。かなりボリュームある1冊になっていて、ノジコ先生のオリジナリティあふれる世界観をたっぷりと楽しめます。
小学校の教員である星野と、高校時代の先輩である須藤のお話。星野の生徒の父親が須藤先輩だったと知り、そこから忘れかけていた学生時代の思い出と共にお話が進んでいきます。生徒の翔太の初恋や、父親としての須藤との関係性、そして翔太のクラスメイトとのちょっとしたイザコザなど、ノジコ先生の世界観とともににぎやかな人間関係が広がっていきます。
カップリング
攻め:須藤昭弘(翔太の父親。星野の憧れの先輩。)
受け:星野(翔太の担任。なぜか昔の気持ちを封印していた。)
あらすじ
小学校教員の星野は、ある日生徒の父親が、高校時代に憧れていた須藤先輩だということを知った。
生徒である翔太の父親、須藤とは、高校時代に同じ天文学同好会に所属していた。断片的に思い出していく彼との思い出。星野はなぜか須藤先輩の記憶を心に封印していたようだった。
星野と須藤との高校時代の記憶、そして須藤と翔太の関係性、翔太のほのかな恋心に対応しようとする星野。昔の記憶と今の狭間で揺れ動く須藤と星野は、それぞれどう前へ進んでいくのかーーー。
ハヤカワノジコ先生『夜空のすみっこで、』のみどころ
作品の魅力1:星のモチーフと共に
表紙からも読み取れますが、作中、星がモチーフとして使われています。
須藤と星野が知り合ったのは、高校時代の天文学同好会。須藤は大好きな星、大好きな空にもっと近づきたいという思いから、パイロットになるのが夢だった。
そんな先輩に憧れ、いつしか想いを寄せていた星野は、11年経った今でも、先輩からもらったフローティングペンを今でも大切に使っていた。このフローティングペンにも星のモチーフが使われています。
二人を引き合わせたのが星で、それは翔太との会話にも微かにつながっていきます。
須藤は結局パイロットの夢を諦めるんですが、実は、一度再挑戦しようとした経緯があります。そこに関係してくるのが、ある女性ーー翔太の母親になります。
須藤と翔太には特別な関係がある。星野は冒頭ではそれを知らず、ラストにかけてゆっくりと知っていきます。
星のモチーフ、そして高校時代の記憶と現代の時間の度重なるクロスオーバーが、宇宙空間の時空を行き来する感覚がして、独特の世界観が楽しめます。
原稿はアナログで仕上げていらっしゃるんだと思いますが、1ページ、もしくは見開き2ページをキャンバスと捉えて創作されているとインタビューでも語られており、漫画としてストーリーを追うだけでなく、細かなコマ作りや表現の仕方など、オリジナリティがあります。
読者としても楽しめるし、あなたがご自分で何らかの創作をされている方なら、いいインスピレーションが得られるかもしれません。
作品の魅力2:ハヤカワノジコ先生のエロス
ノジコ先生は同人誌活動もされていたようですが、商業作品しか読んだことのないので、同人誌ではどうだったかはわかりませんが、この先生の作品はライトBLになっています。
キスシーンはありますが、それ以上のシーンはありません。しかしながら、主人公の気持ちの昂りは冒頭からも汲み取ることができ、追うごとに気持ちの抑揚とエロスが広がっていきます。
絵柄はセクシー系ではないんですが、セリフや雰囲気、そしてさらっと拾っている仕草やシーンにやられます。また、シルエットや影などの使い方からもエロスを感じます。
最近の作品は、直接的なシーンをいかに見せるか、といった作風が多いように感じますが、見せてもそこにパッションが感じられなければ盛り上がらない。
ノジコ先生のこの作品のように、露出は少なくても、揺れ動く心情がゆっくりしっかり描かれて、それが読者に届けば、十分なエロスが感じられると思います。
作品の魅力3:世界観
ノジコ先生の作品の魅力は、なんといっても世界観です。
絵柄、構図、水彩画のイラスト。1冊の本がノジコ先生の創作作品となっています。
もちろん、他の漫画もそうでしょうが、1ページ1ページをキャンバスに見立てて創作している感があり、物語だけでなく、本全体から世界観が漂っているのが素晴らしいです。
冒頭でもお話しましたが、このシリーズは、後に『夜明けにふる、』という上下巻の続編がリリースされています。成長した翔太と、彼といつも喧嘩してる樋口のお話なんですが。w その3冊を並べると、表紙絵が1枚の絵につながっています。1冊の本のレイアウトだけでなく、より空間的な粋なアプローチが素敵だなと思います。
大洋図書の作品は、強い世界観の感じられる作品が強いですね。
作品の魅力4:紙が上質
漫画の紙。重要です。できる限り上質で、軽すぎず、重すぎず。
この作品は2013年の作品ですが、私が持っている初版のもの、非常に紙が上質です。
紙質が非常に良い!
(一般漫画だったら、秋田書店がそれですよ。秋田書店の昔の紙質は非常によかった……。)
大洋図書の他の本も確認しましたが、この頃の作品は比較的紙が上質です。今現在の紙質は少し変わっていますが、古い作品はとにかく、いい。これは小説にも同じことが言えて、少し古い作品でも、紙質が良いため、非常に良い状態の中古本を見つけることができます。
もしあなたが私のように紙本派でしたら、実際に足を運んでみると、状態の良いお宝を見つけることができるかもしれませんよ。
ハヤカワノジコ先生『夜空のすみっこで、』を今すぐ読む方法
ハヤカワノジコ先生『夜空のすみっこで、』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
コミックシーモア:クーポンが魅力。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。
Renta!レンタ:レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入が可能。この作品もレンタルできます。
コミックシーモアの月額コミック読み放題が一番お得!BLも読み放題!
まとめ
今回は、ハヤカワノジコ先生の『夜空のすみっこで、』をご紹介しました。
ノジコ先生の書籍はあまり多くなく、ここ最近しばらく作品がリリースされておりません。現在『おやすみ深海』などが不定期で連載中ですので、近々1冊にまとめてくれるのではないかと期待しております。たしか『天点白城』もコミック化してほしいなぁ。カラーイラストが素晴らしく良かった……。
もし先生の作品を未読の方がいましたら、ぜひ読まれることをオススメします。ライトBLではありますが、本当に素敵な作品です。
ハヤカワノジコ先生、応援しています。❤️
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