こんにちは。
今回は、ハヤカワノジコ先生のえんどうくんシリーズから、『えんどうくんの実験ノート』をご紹介します。
長身でちょっぴり不良な津田と、無口だけど津田が気になる遠藤の二人のお話です。
作品データ
えんどうくんの実験ノート 上下巻
ハヤカワノジコ
刊行年月:2017/07.07
出版社:大洋図書(ihr Hertz)
どんな作品?
カラーイラストがとっても素敵なハヤカワノジコ先生の、『えんどうくんの観察日記』の続編。
主人公の高校生、津田と遠藤のわずかな心の揺れが描かれた作品です。
BL雑誌『ihr Hertz』に2013年1月号から2017年1月号まで不定期で掲載されたお話が上下巻に収録されています。不定期連載だからか、緊張感が続く描き方ではなく、何気ない日常が切り取れたスタイル。
また、おそらく手描きの原稿と思われるページの構成は、最近のデジタル画とは違ったオリジナリティある作品に仕上がっています。
絡みのないライトBLなんですが、作中には、程よい緊張感、色気が漂っていて、ドキドキさせてくれる世界観。
また、高校生のピュアでクリーンな、いたたまれない青春感が表現されていて、胸をくすぶられます。
ハヤカワノジコ先生の商業BLは、残念ながらまだ多くはありませんが、同人誌も出版されている(いた?)ようで、おそらく昔からご自分のペースで創作活動をされている方なのかなと思います。もしくは描きたいものを描かれる方。
この作品、そしてこの後にリリースされた夜空シリーズも拝見しましたが、どちらも素敵な作品です。どの年代の方にもおすすめしたい作品です。
ハヤカワノジコ先生『えんどうくんシリーズ』読む順番
ハヤカワ先生のえんどうくんシリーズは、全部で3巻でております。
読む順番は、以下の通りです。
- えんどうくんの観察日記
- えんどうくんの実験ノート 上下巻
今回は、『えんどうくんの実験ノート』の上下巻をご紹介します。
カップリング
攻め:津田(長身のちょっぴり不良な男の子。ふと油断すると妄想してしまう癖。)
受け:遠藤(小柄でちっちゃな男の子。昔から津田に惹かれていたようです。)
あらすじ
クラスメイトの津田と遠藤。座席が前後になり、交流が生まれ、一緒にいるようになった二人。
はっきりしない関係性だけど、たまに抑えられない衝動に駆られる津田。そんな津田に密かに想いを寄せるクラスメイトの女の子、千葉は、二人を見てはイライラしていた。
津田の兄も帰省し、ばたばたしながら、津田の気持ちの揺れ、遠藤と離れ離れになるかもしれない進路の話、兄との関係がごちゃまぜになって、ついに自分の心と向き合わなければいけなくなった津田はーーー。
ハヤカワノジコ先生『えんどうくんの実験ノート』のみどころ
作品の魅力1:独創的なコマ割り
アナログで描いていたのか、コマ割りがユニークです。
80s, 90sあたりの漫画(特に少女漫画)を読んでいた自分には独創的には感じませんが、デジタルでシンプルなコマ割りしか見なくなった現代の他の作品に比べると、ハヤカワ先生のコマ割りは自由度があり、新鮮に感じます。
電子書籍は、昨今のトレンドや生活習慣などもあり、主流です。
でも、漫画はやっぱり紙で読みたいんです。そして、できれば雑誌で読みたいです。
少しざらついたページをパッとめくった時に目に入ってくる絵からくるインスピレーション。
ストーリーを追いながらも、絵そのものも語りかけてくる躍動感のようなもの。
私は、それが大好きです。
この作品は、そんな感覚を思い出させてくれる。
ページの使い方。アップはあまりないんですが、見開き2ページを使った描写がとても素敵。
強いて言えば、自分の老化(老眼)のため、たまに手書きのセリフが読めないことがあります。w
作品の魅力2:気持ちがわかったり、わからなかったり
高校生。しかも進路を考えねばならない時期のお話。
もともと人に興味がなかった津田が、ふと前の席になった遠藤に目を引かれます。
何気なく視界に入ってくるようになって、遠藤のことをちょと考えるようになって・・・。そうしたらへんな妄想に駆られ。ケモノのような衝動を抑えようとする津田の心理描写が面白いです。
「好き」という言葉は使っていません。
だって、二人の間にある気持ちは、何かわからないから。
離したくない、触れたい、という気持ちはあるのだけど、お互いにとって、その存在がなんなのか、はっきりしないんです。
周りの友人たちの影響もあってか、男の子だから、とか、そういう葛藤はありません。
あくまで、各々の心の中にある気持ちがなんなのか、探ろうとしている姿があります。
二人の関係を後押しする形になりますが、クラスメイトの女の子たちの存在もとてもいいスパイスになっています。
津田の友人である神崎も、達観しながらちょっかいだすのも面白い。
「好き」「嫌い」とはっきり言葉にしない、非直接的な描写が多いのは、おしゃれな作風だからではなく、高校生の気持ちがそんな透明不透明な感じだからではないでしょうか。
作品の魅力3:ノジコ先生のカラーイラスト
ノジコ先生の作品を知ったのは、表紙のイラストです。
たまたま本屋で『夜空のすみっこで、』を目にして、すぐに手に取りました。
水彩画の、透明感のあるカラーがとても素敵です。
表紙の絵や先生の他のイラスト全体がこのテイストで、イラスト好きな方にもぜひ手にとってほしいです。
気になった点:ライトBL
ライトBLだから気になったのではありません。
ライトでも、BLにカテゴリーされることで、より多くの方に届かないのではないか、という余計な心配。w
この作品は、緊張感、そして色気がずっと漂っている。
この世界観は、ハヤカワノジコ先生がもった感性なんだろうなと思います。
ライトBLなのに、なぜここまで色気を感じるのか……。w
ただ、逆に「BL」というカテゴリーに括られることで、多くの読者に届かないのではないか、と勝手ながら心配してしまいます。
最近こそBLのイメージが少し変わってはきましたが(読者層も変わったし、作風も変わってきたが)、それでもやはり、BLと聞くと、どぎつい絡みシーンがあるものと思われる方も多いのではなかろうか。
自分も数年前まではわからないことだらけでした。
こんな素敵な空気感を出せる先生がいらっしゃることを、より多くの方にぜひ知ってもらいたいな、と思います。
絡みがあるなしに関わらず、根底にあるストーリーがいいもの、魅力ある作品は、心に長く残るものなのだな、と思うのです。
ハヤカワノジコ先生の作品には、それがあるんです。
ハヤカワノジコ先生『えんどうくんの実験ノート』を今すぐ読む方法
ハヤカワノジコ先生『えんどうくんの実験ノート』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。
コミックシーモア:クーポンが魅力。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。
Renta!レンタ:レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入が可能。この作品もレンタルできます。
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まとめ
いかがでしたか。今回は、ハヤカワノジコ 先生の『えんどうくんの実験ノート』上下巻をご紹介しました。
さわやかな高校生のお話。でも思春期の、はっきりしない、どこかもどかしい処理のできない感情がノジコ先生の世界観で描かれています。
激しいBLが苦手な方にも安心して読めるライトBLですので、ぜひ手に取ってみてください。
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