今回は、草間さかえ先生の人気作品をご紹介します。
さかえ先生はシリーズものよりも、1巻完結作品が圧倒的に多く、どれも魅力的なCPのお話です。奈良出身の先生ということで、どこか懐かしい日本の情景描写が魅力的です。日本だけでなく、世界のBLファンにも読んでほしい作品がたくさんです。
作品データ
外村探偵社の招かれざる客
草間さかえ
刊行年月:2022.01.24
出版社:幻冬舎コミックス(リンクス)
どんな作品?
草間さかえ先生のほのぼの商店街探偵もの。外村探偵社で地域の依頼を受け持つ松田と、依頼を介して再会した高校時代の同窓生、神子が、不思議な関係になりながら依頼された事件を解決していくバディものです。
実はこの作品、私の初めての草間先生作品です。先生の絵柄は少し癖があり、読むまでちょっと心配でしたが(絵柄が合わないと、読むのにすごく時間がかかって途中でギブすることがあるんです)、読んでみると、あっという間に世界観に引き込まれ、また二人の微妙な関係性がよく描かれていて、最後まで楽しく読めました。
1巻完結なのに、グッと縮まる二人の関係。魅力的なストーリーで、BLを超えて、良質の漫画として楽しめます。ほんと、質の良いBL作品を見つけると、うれしい反面、残念。だって、BLというだけで、読まれる読者さんがかなり限られるから。質の良くない一般漫画シリーズ(ごめんなさい)をダラダラと読み続けるより、良質のBL漫画を1冊読む方がずっとコスパもタイパもいいですね。
カップリング
攻め:神子(なぜか学生時代から松田のことが気になっていた様子。)
受け:松田(常にプンプン怒っているの、どうにかして。w)
あらすじ
探偵の松田は、仕事はぼちぼちこなすのだが男運には恵まれない。ある日、とある女性から受けた依頼で高校時代の同窓生・神子(かみこ)と再会する。神子といえば、高校時代に接点はなかったものの、目立たない女の子と付き合っては別れ、の繰り返しをしていた男子。そんな彼に苛ついていた松田を、神子も覚えていた。そして住むところがなくなった神子は、数日の約束で松田の探偵社に寝泊まりすることになる。
松田の性癖もわかった神子は、するりと松田の懐に入り込み、関係を持ち始める。そして数日の約束が、数ヶ月探偵社で寝泊りすることになるのだ。ほのぼのとした商店街に存在する探偵社。近所ののんびりとした依頼をこなしながら、商店街の人々、高校時代の友達、松田の元セフレ… 人々とのつながりと、松田と神子の距離が徐々に縮まっていく。
草間さかえ先生『外村探偵社の招かれざる客』のみどころ
作品の魅力1:魅力的な登場人物たち
草間さかえ先生の作品の魅力は、なんといっても登場人物すべて。全員が癖があってどこか惹かれるのだけど、普通の人たちなんです。決してイケメンとか、スパダリとか、そんな感じではない。昔なつかしい商店街にいそうな、普通の大人たち。そんなキャラがああだ、こうだと繰り広げるちょっとした商店街アドベンチャー。☺️
BLのみでなく、一般漫画も描かれている先生だからか、キャラクターがとにかく豊か。そこにひょこんと登場する動物も登場することで、リアリティがあり、身近に感じます。小物を丁寧に描いたり、動物や植物を描き込むことで、作品がリアルに活きてくるんですよね。
主人公の松田。冒頭ではわかりませんが、受け、でした。いつもプンプン怒っていて、ストレス溜まってそうなキャラですが、仕事もしっかりこなすし、なんだかんだ神子との関係を気にしてる。高校生の時に好きだった男子はいるものの、その時からどこか神子のことを覚えていた。何か惹かれるものがあったのか。この描写からも学生時代には自分の性癖は気付いていたようです。
一方、神子も松田のことを覚えていた。高校時代に言われた一言が気になり、間接的に松田のことを知ろうとしていた。そして再会して、なぜか二人は体の関係を持つ。神子がなぜこの流れになったかはわからないが、この不思議な距離感がよく描かれていると思います。(これって、草間節なのかな?!)
二人のイチャイチャ時もどこか荒く、男同士のガツンとした感じがセリフや表現から読み取れるのも妙にリアル。初めて読んだときには、絡みシーンを毎回入れる必要はあるのか!?と疑問に思ったのだけど、この二人の性格からして、物語の最後にがっつり絡むよりも、だらだら関係が続くほうが彼ららしい。怒りん坊の松田が神子を想って芝居を打とうとするシーンも面白く、みどころです。
松田が高校時代に好きだった阿久津もちょこっと登場するのだけど、巻末にかけて彼の登場で妙にバランスが取れた感じ。というか、松田は隠していたと思われる阿久津への昔の想いと性癖。ここら辺の衝撃!?が神子ののんびりペースに巻き込まれてあやふやになっちゃってるのも面白いですね。w
このメンバー、もう少し、見てみたいです。
作品の魅力2:ほのぼのとした商店街と等身大の事件たち
依頼(事件)は非常に単純なものが多いのだけど、よくありそうな事件。じいちゃんの様子が変だ、とか、(商店街内の)ストーカーじゃないか、とか。
依頼そのものは複雑でないため、ちょっと物足りないのでは?と思ったら、神子が絡むことで面白おかしくなるんです。松田のように仕事をしっかりこなすキャラだと、話は広がらない。w 神子ののんびりキャラが、こういう事件で輝くんです。
でも、そんな神子も、松田が事件に巻き込まれたことで焦る。そこでいろいろ挽回していくっていう、読者にとっては、展開的には読んだことのあるような流れなんだけど、それでも神子のキャラと阿久津の登場で、面白おかしくなるんです。そこは、草間先生の力量なんでしょうね。❤️
気になった点
ここに書いてもしょうがないですが、リンクスのコミックスって、簡単な漢字にもルビがふってありますが、あれはどうにかならないでしょうか。文字起こしのためでしょうか?読みにくくて、あまり好きじゃありません。
草間さかえ先生『外村探偵社の招かれざる客』を今すぐ読む方法
草間さかえ先生『外村探偵社の招かれざる客』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
コミックシーモアはクーポンが魅力。無料書籍や試し読み部分が多めです。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。
Renta!は、レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入することもできます。お好きな先生の情報をチェック。
草間先生の作品は、作品数が多く、1巻完結作品が多いので、紙本も電子書籍もどちらでも読みやすいと思います。電子書籍なら場所を取らないので、ぜひ先生の作品をいくつかまとめてチェックするのに電子書籍がいいですね。
まとめ
いかがでしたか。今回は、ベテラン作家さんでもある草間さかえ先生の『外村探偵社の招かれざる客』をご紹介しました。もしサンプルを見て、クセのある絵柄だなぁと思った方も、草間先生の作品をぜひ1冊だけでも読んでみてください。この先生の作品、ストーリー、食わず嫌いにしておくのはもったいない!読んでみると、すぐに先生の作品の虜になると思います。
ところで、タイトルは外村探偵社なんだけど、主人公は松田です。w バディものというか、仕事する松田、そしてふらっとつきまとう神子といったところか。どっちもどっちな二人の日常、覗いてみてください。
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