薄井いろは先生『ハダカより奥深く』はアダルトな1巻完結の癒し本

薄井いろは
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こんにちは。

今日は、ユニークな世界観を醸し出す薄井いろは先生の作品『ハダカよりも奥深く』をご紹介します。頬骨が特徴のイラストがずっと気になっていたなんですが、ついに手に取りました。結果、とてもよいです。^^

作品データ

ハダカよりも奥深く

薄井いろは

刊行年月:2019.11.13

出版社:竹書房(moment)

どんな作品?

薄井(うすい)いろは先生のデビュー作。

事務員と大学生が徐々に近づいていく過程を描いた作品。事務員の萩原の視点のみで描かれているため、相手(攻め)の高木の感情は、セリフと彼の表情から読み取っていく形です。表情で読み取らせるスタイルは画力がないと難しいのだけど、薄井先生の画力、これまた素晴らしい。

先生のイラストの特徴である頬骨、眉、そして魅力的な唇からゆっくりと読み解いていきます。やらしさというよりも、作品全体にペアの間にあるintimacy、親密なエロスが漂い、二人の駆け引き一点集中。しかしこの駆け引きが丁寧に描かれており、緊張感が最後まで続きます。

この本にはあとがきがなく、薄井先生がどんな感じの人なのかまったくわかりません。そのミステリアスなところも込みで、先生の世界観が魅力的で、すごく気になります。

ちなみに、表紙のイラストは結構攻めたもので、紙本で購入している自分にはかなり勇気のいる買い物でした。w

カップリング

攻め:高木悠斗(たかぎゆうと:大学1年生。クラブで偶然萩原に声をかけられた。)

受け:萩原(はぎわら:偶然高木に声をかけたが、その後も忘れられず、徐々に気持ちが…)

薄井いろは先生『ハダカよりも奥深く』のあらすじ

大学の事務員である萩原は、ある日クラブで声をかけた男の子と一夜を過ごす。その男の子は実は大学1年の高木だった。

同じ大学にいることを知っていながらも一夜を過ごした高木に腹を立て、わかってからも自分のところへ何度となく訪れる高木を拒否しながらもどこか忘れることができずに悩む萩原。

きっと自分が初めての男だからに違いないと思い込もうとするのだが、やはり断ち切ることができずに、二人の関係は続いていき…。

薄井いろは先生『ハダカよりも奥深く』のみどころ

1巻完結の『ハダカよりも奥深く』。大変満足の1冊でした。

大きな事件が起きないので、ドラマ色の強い作品がお好みの方には少し物足りなく感じるかもしれません。が、読み進めていくと、二人の間にある心の距離感、そして体の距離感もどんどんと近づいていく緊張感がひしひしと伝わってきます。行為はそれほど激しくはないのですが、そこにあるエロスな空気感がなんとも言えません。

気持ちの方向性は大体わかってはいるのだけど、それがどうやって表現されるのかが最後まで気になりました。

作品の魅力1:萩原の視点で語られ、高木の表情で読み解くバランス

物語は、受けである萩原の視点で語られます。セリフやモノローグによって説明される彼の心情や事情。

逆に、高木の視点ではセリフ以外では語られません。しかも高木は無口な性格で、表情も硬い。寡黙な彼のわずかな表情から、高木の心情を読み解いていくのが読者の楽しみでもあります。このバランスが、魅力の一つだと思います。

セリフを追ってさっと読むこともできるし、二人の表情をじっくりと汲み取りながら二人の揺れる心情を追っていくと、より深く作品を楽しむことができます。

ストーリー自体は非常にシンプル。いわゆる葛藤というものは深く(わかりやすく)は表現されておらず、また事件も起こらない。w

全部で6話なんですが、よく絡みシーンが出てくるんです。でも、じゃぁ内容がないか?と言われると、そんなことないです。この絡みの表現から、二人の感情の変化が見えてくるのも面白い。激しいシーンはそれほどないんですが、どこか緊張感があり、このエロティックな空気感が最後まで漂っています。

中途半端に他のサブストーリーと絡めるよりも、二人の関係をじっくりと描いてくれるだけで、満足度がかなり高くなります。

続編を匂わせるようなサラッとした1冊よりも、派手ではなくてもしっかり凝縮した1冊の方が、重みがあって読後の充実感がいいし、作品が脳に残ります。

作品の魅力2:体のパーツで表現されているエロス

何度か登場する体を重ねるシーン。この先生のエロスは、直接的なものだけでなく、絵柄そのものから感じます。

頬骨

薄井先生の男性像の特徴とも思っているのが、この頬骨。目の位置のせいなのかもしれないけど、頬骨のラインが少し強調されている感じがします。こういうフェイスラインの人、いますよね。でも漫画の世界ではなかなか見かけなかったので(私だけ?w)、妙に新鮮で、先生の特徴のような気がします。

実は、この作品を読む前に『アンダーマイスキン』の表紙を見かけたことがある。
その時は、正直、今ひとつイラストに惹かれなかったんですよね。この頬骨のラインが妙にリアルすぎて…。

でも、何度も先生の名前や表紙を目にしたので、やっぱり魅力ある先生なのかな、と思い、サンプルをチェックしてみました。いくつかのサンプルを見て、およよ?この頬骨、逆にセクシーじゃない?と思い始めたんです。で、結局手に取ったこの『ハダカよりも奥深く』、すごくセクシーでした。❤️

髪の色

片方に黒を入れることで描き分けています。正直、髪の色が同じでも見分けのつく絵柄ではありますが、私のような老婆には、ありがたいことです。

ただ、黒髪の高木、ちょっとふわっとした髪質で、一方萩原はさらっとしてる。細かなことだけど、そういった「質感」も、すばらしいです。

この先生の絵柄は、目そのものの表現、そして視線にも魅力がある。
顔の表現が乏しい高木。彼の目元を追っていくと、視線、目の開き(渇き)具合、まゆや眉間の変化からわずかな心情の揺れを垣間見ることができます。ゆっくり、読み返して彼を追っていくと、彼の魅力も感じることができるかも。

ただ、先生がどこまで意図的に描いているのかはわかりません。もしかしたら私の妄想なだけかも。w 太めの眉も、特徴ですね。

作品の魅力3:二人の心情、一点集中

物語はシンプルです。CPの心情が描かれております。他の余計なシーンは一切なし。当て馬なるキャラも出てきませんし、家族や友達などの他のキャラもほぼ皆無。本当に二人に何が起こっているのかをギュッとまとめてくれた1冊です。

ですので、葛藤が〜とか、トラウマが〜とか、そういったものをお探しの読者には物足りなく感じます。

ただ、二人の心情に特化した作品をいくつか読んだことがありますが、二人の親密度(エロス)が最初から最後まで続いた作品はあまり読んだことがありません。

絡みシーンはあるのだけど、激しいものではなく、ごく普通なんですよ。なのに、緊張感が伝わってくるのは、間違いなく画力ありきですし、コマ表現の仕方、とでもいいましょうか…。いや、やはり画力ですね。

指の絡むシーンも、魅力的で男らしい手だからドキッとするわけであって。キスする時も口元をしっかりと見せてくれたり、その時の二人の目線とか、細かいことを言い始めたらキリがない。こういった詳細、私には刺さりましたし、余計なお話がない分、ディテールを汲み取って、どんどん物語に引き込まれていく自分がいます。☺️

気になった点

緊張感ある中、ずーっと楽しく拝見しましたが、1点だけ、急にBL目線の緊張が切れたシーンがあります。それが、最後の温泉のシーン。

萩原が「腹が立ってしょうがない。」と、駅で目撃したシーンについて話しているシーン。次のコマで高木が「なんかちょっとうれしいです。」と言うのです。

この一コマ!

なぜかはわからない。でも、私にはすごくコメディに見えて、吹き出して笑ってしまった!😅
本当に理由はわからない。このコマまでずーっとBL目線でただただ二人をのぞいていたのだけど、このコマに来て、急に私の緊張の糸が切れてしまった。笑っちゃいました。多分、ものすごくシリアスな高木が、温泉で、首から上しか見えてないのにそんなセリフ言ったからかなぁ…

このシーンで笑ったのって、多分私だけですよね。でも、このコミカルな一コマを見て、ますます高木が好きになりました。(この作品は、全体を通してコミカルなシーンは皆無。至ってシリアスな作品です。w)

薄井いろは先生『ハダカよりも奥深く』を今すぐ読む方法

薄井いろは先生『ハダカよりも奥深く』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。

サンプルを今すぐチェックすることができます。

私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。

コミックシーモア:頻繁にクーポン割引があり、また同人誌や特典冊子の作品もたまに読めたりします。

Renta!:レビューを書くとスタンプがもらえる機能などあり。レンタルも豊富です。


この作品は、レンタではどうやらレンタル対象になっているようですね。

薄井いろは先生の現在

薄井いろは先生は、2023年は執筆活動をお休みされているようです。

先生が連載されている『キスとスキのあいだ』は、2023年1月の更新が最後となっており、それ以降の更新はX(旧Twitter)も含めて、ありません。理由もわかりません。

特に先生に関する公式な発表もないので、何らかの理由でお休みしているのだと思います。体調だけは心配ですが、何らかの更新や告知があることをただただ待つのみです。それまで、既存の作品を熟読します。

<2024.01.15追記>

2023年12月、電子書籍サイト「コミックシーモア 」限定で、『僕は君だけのもの』限定BOOKが更新されました。先生、お元気そうで何よりです。またいろは先生の作品が読める幸せ。引き続き、手持ちの既存作品を熟読します。w

まとめ

今回は、薄井いろは先生のデビュー作である『ハダカよりも奥深く』をご紹介しました。コミックとしては2冊目だったと思います。薄井先生の作品には間違いなくエロスがあり、画力もオリジナリティがあって素晴らしいです。1巻完結の作品で、癒しになりそうな作品。未読の方は、ぜひ一度お試しください。感想教えていただけるとうれしいです。

コミックシーモアでサンプルチェック

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