今回は、薄井いろは先生が描く人気カプ、良平 x 悠馬の続編『僕は君だけのもの』をご紹介します。高校卒業時の悠馬のまさかのアプローチから交際に発展した二人のその後。
良平、どうなる!?
作品データ
僕は君だけのもの
薄井いろは
刊行年月:2022年01月07日
出版社:竹書房(moment)
どんな作品?
薄井いろは先生の4冊目の単行本。そして、先生のデビューコミックでもあった『俺しか知らないカラダ』の続編にあたります。
タイトルを見てもわかりますが、前回の俺しか……は、攻めの良平の視点で描かれた作品であり、今回の作品は、どちらかというと悠馬にフォーカスした描写になっています。
ほだされた悠馬が徐々に変貌していく過程が描かれており、二人の親密度もますます深まっていきます。
シュークリームによるBL電子コミックレーベルで『moment』からのリリースで、全6話収録されております。連載もオンラインで行われおり、2021年6月から、12月までに発表されたエピソードです。
いろは先生の作品は、一応全部目を通しましたが、カップル二人の時間をのぞかせていただくタイプのお話がほとんどなんですが、このシリーズは1作目が人気が高かったのか、少し周りの人物描写や設定環境(良平のバンドや悠馬の学校生活)の描写も増えており、二人の心理描写を描いていく上で、読み手にとっても考察ポイントが増えているのも魅力の一つです。
また間違いなく二人の親密度は前回よりもアップし、シリーズの読者にとってもうれしいかぎりですね。
薄井いろは先生『僕は君だけのもの』読む順番
良平 x 悠馬シリーズは、以下の通りです。
- 俺しか知らないカラダ
- 僕は君だけのもの
- 僕は君だけのもの【シーモア限定BOOK】(描き下ろしの社会人編)
小冊子などもリリースされていますので、チェックお忘れなく!
カップリング
攻め:良平(ギタリスト。おとなしい悠馬にすっかりハマり、気づいたら我を忘れるくらいハマっいた)
受け:悠馬(大学生。勉強ができる。大人しかった悠馬も徐々に開放的になり……)
あらすじ
良平と悠馬が付き合い始めて半年が経った。
大学に進学した悠馬、そしてバンドで音楽の道を歩み始めた良平。時間を見つけては二人の時間を楽しむ。
存在すら気にならなかった悠馬に告白されて以来、逆に良平の方が悠馬の可愛さにぞっこんになってしまった。
そんな良平は、時々悠馬の会話に登場する奥村に嫉妬したり、なかなか心を開かず、自分で解決してしまおうとする悠馬を心配したりと、二人の想いが行ったり来たり。
すれ違いもなんとか乗り越え、二人の心は近づいていきます。
薄井いろは先生『僕は君だけのもの』のみどころ
作品の魅力1:悠馬
いろは先生の作品は、基本カップル二人の濃厚な心情描写がポイントです。二人がどんな駆け引きで心を解放していくのか。そこに魅了されます。
今回の作品でも、作中、もしくは1巻からの変化が見られます。
特に今回みどころなのが、悠馬の変貌です。
無口で大人しかった悠馬は、高校卒業の時に勇気を振り絞って、良平へ一度だけでいいので自分を抱いて欲しいとお願いします。(どんなお願いだよっ!w)
そんな奇妙なお願いが、まさか二人がつきあうことになるとは誰が思ったかーー。
そしてこの2巻。付き合って半年した頃から物語はスタートします。
相変わらず続いている二人の関係にホッとする私たち読者。w
しかし悠馬に少し変化が。大学のスタディグループで一緒の「奥村」という名前が、悠馬の会話に出てくるようになります。そしてそれが気に食わない良平。
無自覚に奥村の名前を出す悠馬ですが、良平のイライラが募ります。
気持ちはわかっているのだけど、悠馬の意識全てが自分に向かないと気が済まないのが良平。
そんな良平のイライラを少なからず気づいているはずの悠馬なんですが、無意識に良平を挑発してきます。いや、悠馬は自分のからいたい気持ちに気づいているのかも……!?
体を重ねるたびに、自分の変化にも気づいていく悠馬。
自分はこんなに強い情欲をもっていたのか。そんな自分の感情の変化に驚きながらもどこか嬉しく思う悠馬は、良平からの誘導もあり、少しずつ自分が思っていること、そして情欲にも素直になっていきます。
良平がほしいあまりに、自らイニシアティブを取る悠馬。
思わず自ら良平にキスをしてしまい、ハッと我に返る一コマは、名シーンの一つです。
良平に見つめられるとついつい目を逸らしてしまっていた関係から、自らすり寄っていける関係に、そして自分が思っていることを打ち明けられるようになっていきます。
悠馬よ……。(涙)
悠馬の内気な性格、どこか自信のなさは、家庭環境からくる圧力によるものでしょうか。
自分は勉学をがんばらねばいけないというプレッシャーと、時間があれば良平に会いたい、ずっと一緒にいたいという感情の板挟みになり、感情を処理できなくなるところも描かれております。
二人が揉めたときに、別れ話だと思ってしまう悠馬の自信のなさと、すぐに問題を解決しようと言葉に出す良平の性格の違いや考え方の違いの描写も、読み手の考察力を刺激します。
全体を通して、悠馬の表情がやわらいでいくのも、感情が深くなっていくのもたっぷりと読み取れ、物語のクライマックスへと一気に読んでしまいます。
作品の魅力2:良平
良平はそれほど変化していません。良い意味で。w
ソフトな俺様主義な部分があります。が、悠馬を深く想うがゆえに、ですね。
悠馬にとって、自分は特別な存在でなければならない。だから、悠馬の気持ちは痛いほどわかっていても、奥村の名前が出ただけでイライラしてしまう。一緒にいても、嫉妬してしまう。
お付き合いも1年が経ち、一緒に住むようになった二人。
眉間にシワを寄せながら寝ている悠馬を見て、
俺がいない夢でもみてるのか
と思う良平の俺中心の性格は相変わらずで、もはや愛らしい。
ただ、彼なりの愛情表現、考えは要所要所で悠馬に伝えているのはやはりポイントが高く、最後まで二人をただただ見守りたくなります。
作品の魅力3:画力
いろは先生の画力は、1作目から好きでしたが、この作品からより構図が魅力的になりました。もともとアングルが魅力的ではありましたが、カメラワークがより映像のようで、今まで以上に二人の心情を追うことができます。
どのエピソードにも絡みシーンがありますが、今までにない息遣いの聴こえるようなコマ絵は、おそらく構図がより魅力的に、映像的になったからではないかなと思います。
また、線画も細みのある1本線でビシッと決めています。先生が拾う線は相変わらず魅力的で、ファンも多いと思われる良平のヘアスタイル、口元、そして目元からもゾクゾク感が味わえます。
……それにしても、本当にいろは先生の作品はアダルトだ……。
作品の魅力4:モブの存在
今までの作品は、CPの二人の心情、さらには絡みに一点集中した描写がほとんどでした。
たまに登場するキャラたちの描写はさらっとしかなかったのですが、今回は、勝手に当て馬キャラと化した奥村の存在、そしてバンドメンバーのジュンなどの描写は、存在感ある使われ方だったと思います。
登場人物が少し増えると、物語にもよりリアルになりますね。
ジュンの存在は興味深く、付き合っていることを明かした時も、驚きがなかった。男だから……という概念はここには存在していません。
その他にも、「プレゼント」が登場します。
プレゼントが登場する漫画、好きです。w
このプレゼントの重み、このシーンの良平と悠馬がなんとも素敵で……。
あぁ……、よかったね、二人。
この作品には、今までのいろは先生の作品以上に、脳裏に残るシーンがいくつかあります。
プレゼントのシーンとか、玄関先のシーンとか、外で密会する二人とか……。
2巻目といこともあり、キャラにより思い入れがあるのかもしれませんが、それ以上に物語の作りが深く練られているのでは、と思います。
感想:気になった点 – 表紙
唯一、困った点といえば、この表紙。
いろは先生の作品はどれもかなりアダルトな表紙です。
R18ではないんですが、紙本派の自分としては、書店購入は非常に難易度が高いです!
ただ、どうしても、模写の練習をさせていただく時にやはり紙本がいいという個人的な理由、そして事実として、紙で読んだ方が、頭に情報が入りやすく、また残りやすい。それもあり、がんばって紙本を購入しております。w
薄井いろは先生『僕は君だけのもの』番外編・特典
この『僕は君だけのもの』は、番外編が2つ読むことができます。
アニメイト限定16P小冊子
アニメイト限定セットの特典でついてきた小冊子です。16Pとボリューミーで、当時BLを読んでいたら絶対に入手したいアイテム。今は電子版で読むことができます。
僕は君だけのもの(シーモア限定BOOK)
コミックシーモア限定の描き下ろし番外編!
社会人になった悠馬。仕事がうまくいかずにちょっと疲れて落ち込み気味。早く良平に会いたい……。しばらく新作がなかったいろは先生ファンも歓喜した久々の新作でもあります。
薄井いろは先生の現在
薄井いろは先生は、2017年あたりからBL作品を発表してきた先生です。
X(旧Twitter)でもたまに投稿がありましたが、2023年1月より新しい作品の発表が停止しました。
当時連載していたのは『キスとスキのあいだ』で、デジタルにほぼ定期的に連載されていましたが、3話発表の後で更新が止まっております。(このお話も好きなんです〜)
勝手ながら、当初はもしかして体調でも崩されたのだろうかと心配していましたが、『僕は君だけのもの【シーモア限定BOOK】 』の描き下ろしが2023年12月にリリース。
創作活動は続けていらっしゃるようです。
その後は、今のところニュースがありません。
創作活動はまだ続けていらっしゃるようなので、ひたすらニュースを待ちたいと思います。とにかく、お元気でいらっしゃれば、何よりです。
薄井いろは先生『僕は君だけのもの』を今すぐ読む方法
薄井いろは先生『僕は君だけのもの』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
コミックシーモア:クーポンが魅力。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。
Renta!レンタ:レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入が可能。この作品もレンタルできます。
コミックシーモアの月額コミック読み放題が一番お得!BLも読み放題!
そうそう、16P小冊子もお忘れなく。アニメイト限定の特典小冊子ですが、しっかりと電子で読むことができるのがうれしいです。
アニメイト限定セット小冊子
そしてこちらが最新版!
コミックシーモアで描き下ろしの社会人編を読むことができます。
まとめ
今回は、薄井いろは先生の『僕は君だけのもの』をご紹介しました。
壮大なストーリーというよりも、カップルの二人がどうやって恋愛関係、人間関係を築いていくのかがじっくり描かれた作品です。
そしてそこにアダルトな要素が入ってくる、親密度の高い濃厚な作品。
未読の方はぜひ、シリーズ1巻の『俺の知らないカラダ』と共に読まれることをオススメします。
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