こんにちは。
今日は、４月にリリースされた、薄井いろは先生の『口の中に甘く触れて』をご紹介します。
作品データ
口の中に甘く触れて
薄井いろは
刊行年月：2025年05月14日
出版社：竹書房（moment）
どんな作品？
薄井いろは先生のmomentからの５作目。
密室のエロスを繊細かつ巧みに描く薄井いろは先生の2025年の新作は、高校のクラスメイトのお話。
美容師アシスタントとして社会人している島崎と、大学を卒業して就職する友人の立山のお話です。
島崎は学生時代に立山に自分の指向を告白しています。それでも友人関係を続けている二人の関係は、スイーツ好きという共通点を介して。
でも、島崎はそれ以上の感情が……。
立山にのめり込まないようにしようと抵抗する島崎と、社会人を期にルームシェアをしようと誘う立山の駆け引きが楽しめます。
物語は島崎の視点で進みますが、最後に立山サイドからも描かれるため、どちらの気持ちの揺れも覗くことができます。
いつものごとく、薄井先生のエロス描写も健在で、繊細ながらしっかりとした線画で描かれる美しい男性たちが、様々な角度から描かれています。薄井先生の描く口元は色気満載ですが、目線の描写も素晴らしいです。
登場人物はほぼ主人公の二人のみなので、二人が堕ちていく様子をただただ追いかけていきます。
カップリング
攻め：立山（島崎の高校時代のクラスメイト。甘いもの好き仲間で、社会人になりたて。）
受け：島崎（美容院のアシスタントとして働く。友人関係を続けている立山に気が……）
あらすじ
美容院アシスタントとして働く島崎は、高校時代からの友人・立山とたまにスイーツを食べる仲。
学生時代に自分の性的指向を伝えても友人関係を続けてくれる立山は、社会人になるのを機に、ルームメイトにならないかと島崎を誘う。
一緒に暮らし始めた二人だったが、立山との距離が少しずつ近づいていってーーー。
薄井いろは先生『口の中に甘く触れて』：ネタバレ！？感想レビュー
読み終わって、全体的な感想は、薄井いろは先生の作品は今のところハズレなし。主人公二人の駆け引きを堪能できます。
作品の魅力１：心情描写
薄井作品の最大の魅力は、心情描写です。
主人公二人の行動、心の内、本音と建前が複雑に表現されています。
微妙な心情を描写するためには、画力が必要になりますが、薄井先生が描く繊細な二人の男性像は目や手の動きを描写することで、巧みに描かれています。
島崎は、学生時代に自分がゲイだということを立山に伝えました。それでも友人関係を続けています。島崎はそんな立山に昔から思いを寄せていた……と、はっきりとは描写されていませんが、気になる存在だったと思います。
ただ、友人以上の関係は期待できないとわかっていたせいか、特別な感情は抱かないように心を抑制していたようです。
そんな島崎のルームメイト（元カレ）が突然出て行ったことを聞き、自分をルームメイトにしてくれと誘う立山。友人以上に熱を持った瞳で島崎を覗き込む立山の気持ちこそ、想いがあるように見えるのですが、それもはっきりとはわかりません。
そんな二人が、酔った勢いで唇を重ねます。
そこには駆け引きがあるのだけど、駆け引きの意図は不明です。
物語は島崎の視点で描かれているため、立山の熱い視線の意味は、読み進めていくと彼のターンで明らかになります。
決して大きなストーリーがあるわけではないのに、物語が濃厚に感じるのは、やはり薄井先生の巧みな心理描写ならではだと思います。
面白い物語だけなら、一度読むと終わってしまいますが、濃厚で複雑な心理描写が描かれている物語は、何度も読んで二人の思考を覗いて考察したり、本音と行動がマッチ・ミスマッチしているのを楽しんだりと、とにかく読める角度が様々。
セリフやモノローグで丁寧に描写されていはいますが、それを後付けするキャラたちの繊細な目線やジェスチャーが、好奇心を燻ります。
言葉で伝えても通じたり、通じなかったり……。
過去の記憶をも含めて探っていく島崎と立山の関係性は、４年という歳月を経て、どのように通じていくのか、ぜひ本編でご確認ください。
作品の魅力２：エロス
薄井先生の魅力は、エロス描写です。
特徴としては、目、そして口元です。
唇を重ねる描写がとても色気があり、リアルに描かれているわけではないのに、なぜか動画で見ているような錯覚さえしてしまう描写。おそらくゆっくりと動く口元の描写があるからだと思いますが……。
目線も魅力的です。お話にたくさん散りばめてありますが、特に絡みシーンにおける目線描写は、色気倍増にしてくれます。
私がBLを読む理由はエロスではないですが、薄井先生の作品に限っては、エロス目的です。w
気になった点
主人公二人のやりとりで物語が終わるため、読者の許容範囲のキャラでなかった時は、物足りなさを感じるかもしれません。w
今回のお話。島崎も立山もお互いに興味があるのですが、どちらもはっきりと攻めない。はっきりとした押しや引きが好きな人には、少し焦ったく感じるかもしれません。
が、薄井先生を好きで手に取ったのなら、それでも楽しめてしまうから不思議です。
薄井いろは先生『口の中に甘く触れて』を今すぐ読む方法
薄井いろは先生『口の中に甘く触れて』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「ebook japan」かレンタル本が豊富な「
Renta！レンタ」です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
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薄井いろは先生『口の中に甘く触れて』：特典情報
薄井いろは先生『口の中に甘く触れて』は、2025年4月30日に発売になりました。
紙本では、アニメイト限定特典である有償小冊子がありますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。（なくなり次第終了）
まとめ
今回は、薄井いろは先生の『口の中に甘く触れて』をご紹介しました。主人公二人のテリトリー内で行われる蜜事。二人の間に引かれた境界線を超えて、溶け合っていく二人の物語、ぜひ読んでみてください。
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