腰乃先生『嘘みたいな話ですが』:1巻完結のコメディワールド

腰乃
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こんにちは。

今回は、腰乃先生の連作集『嘘みたいな話ですが』をご紹介します。

2005年からの作品が収録されているので、少し古い絵柄のものもありますが、作品そのものは面白かったですし、私のように作家読みをする方や、腰乃先生にハマって先生の作品に全部目を通したい方には、ぜひ読んでほしい作品です。

作品データ

嘘みたいな話ですが

腰乃 Koshino

刊行年月:2010年1月10日

出版社:リブレ(BE x BOY COMICS)

どんな作品?

本のリリースは2010年ですが、収録作品は2005年頃の作品から収録されているため、絵柄にはかなり変化があります。

また、この頃の紙本は、単行本にすると文字も今のものより小さいため、少し読みにくく感じました。この作品は電子で読むのがベストだと思います。

タイトルになっている『嘘みたいな話ですが』の村上 x 北川を中心に、他2組のカプのお話が収録されています。2024年の今読むと、さすがに2005年の作品は絵柄的にはレトロ感を感じますが、キャラ的にはまだ行き過ぎていない腰乃先生といったところでしょうか。個人的にはこれくらいのテイストがちょうどいいのすが、いかがでしょう。w

連作と短編のバランスもよく、それほどお腹いっぱいいっぱいにならない1冊になっています。

短編もありますので、カプごとにエピソードをご紹介します。

腰乃先生『嘘みたいな話ですが』ネタバレ!?感想・レビュー

ストーリー1:嘘みたいな話ですが(全10話)

カップリング

攻め:中村(片思いが拗れ気味でオタク気質)

受け:北川先輩(中村よりは、まとも)

雑誌『MAGAZINE BExBOY』2006年4月号から2009年2月号まで不定期に掲載されたお話たち。第3話は2008年2月号なので、少し間が置いており、その間に絵柄が変わっています。

そういえば、短編をまとめたものとはいえ、腰乃先生のお話は初期段階で体の関係になるカプが多いですね。当時の作風がそうだったのか、それとも、もともと短編のみの予定だったのか。

この『嘘みたいなお話ですが』も、ずっと片思いをしていた中村が、1話目で北川先輩と肌を重ねます。しかも、先輩はやったこともないのに中村のために下準備までしてきたという。w

無事に肌を重ね、お付き合い?!することになります。

片思いを拗らせ気味の中村は、電気屋で乗馬マシンに乗る先輩で白昼堂々と妄想し、勝手に隠し撮りをしては写真を加工してコラージュしてみたり、ちょっと個性強すぎますが、先輩はそんなに俺のことを思ってくれているのだと大変ご満悦な模様。

ただ、たまに先輩が中村の後ろを狙おうとすると、頑なに断られます。w

エピソードは8ページから20ページと、自由に描かれています。しかしどのお話にもしっかりとオチがあり、二人の距離もちゃんと縮まっていきます。

付き合ってはいるものの、冒頭では中村のこじれた片思いっぷりに笑えましたが、最終的には北川先輩もしっかり中村を好きになり、終了です。

お話そのものはもちろん面白いのだけど、みどころの1つは、絡み描写です。腰乃先生の絡みは決してきれいで少女漫画のようなものではなく、なんとも言えないリアリティがあります。

それは、例えばポーズやアングル、局部の書き込みとかでしょうか。そこにパッションはあるのだけど、強い愛情よりも、ただただ欲望がみなぎった感じのそれで、2020年代の読者には好き嫌いがあるかもしれませんね。(「きれい」ではないので。)

しかし、個人的には絡み描写の移り変わりを垣間見ることができて、とても勉強になりました。

また、短編の話の作り込み、会話、感情の揺れは、ユーモアたっぷりで楽しく見せてくれますが、そこにはしっかりとしたお互いの愛情があります。

面白くもしっかりと愛情表現するセリフと、行動がたまに相反しており、絵柄だけでお話を追っていると、言葉とのギャップを見落とすことがありますのでご注意を。

ストーリー2:嘘みたいな話でした

上記カプの描き下ろし。中村が北川先輩を攻めます。w

ストーリー3:意外性の発展

カップリング

攻め:神崎(ちょっぴり性悪なゲイ)

受け:荒巻(年上の上司:酔って鉄道マニアなのがバレてしまった)

『小説 b-BOY』2009年7月号掲載の短編。

43歳の上司・荒巻さんが完全によっぱらったところから物語は始まります。仕事の打ち上げの帰り、すっかり酔っ払い、終電を逃してしまった荒巻さん。

部下の神崎は、めんどくさがりながらもどうしようかと考えながら上司を送っていたところ、上司がスーツにケロケロしてしまい、結局、神崎の家につれていくことになります。

酔っ払いの荒巻はふらふらしているのだけど、介抱しているうちに、ゲイの神崎はムラムラと来てしまいますーーー。

腰乃先生の酔っ払い描写はいつも好きで、たとえ素の荒巻を知らなくても、酔いすぎている(漫画で読んでいる分には)可愛らしい荒巻さんがなんとも愛おしい。行動も可愛らしくなる酔っぱらリーマン、もっと見たいですね。

神崎が、単なる酔っ払いと化して謎の行動を繰り返す荒巻を見て、行動のギャップだけでなく、肌の白さや、それでいて毛は真っ黒などという細かなギャップに少しずつヤラれていく描写が面白く、最初は全く興味がなかった神崎も、徐々に荒巻に興味を持っていく様が伺えます。

短時間で起こっていることではありますが、心が近づいていく描写がぎゅっと詰まっていて、濃厚な短編です。

神崎の視点で描かれているため、まれに荒巻さんの見せる若干酔いが覚めているような顔描写の数コマが光ります。そこには荒巻の意識があるような、ないような……。

とても面白い短編ではありますが、愛情はあまり感じられないです。w だからか、コメディ調で締め括っています。

ストーリー4:明けの明星

ストーリー5:暴露の夜

カップリング

攻め:島田(ただただ、流されます。w )

受け:小峰(密かに島田のことが好き。自分がゲイだということも隠している。)

同僚の二人。ゲイの小峰は、しずかに島田のことを思い続けていた。残業の多い二人は、この日も午前4時まで仕事。何気に恋バナをしたがる島田に、小峰は少し困っていたが、この日もそんな話が始まった。話は方向を変え、なぜか二人は肌を重ねます。

初期の作品なので絵柄や表情は硬いのですが、会話や文字の使い方はやはり腰乃先生らしさを感じます。

最初は片思いをしていた小峰(受け)が仕掛けていくのだけど、一度肌を重ねると、攻めの島田のターン。

そういえば、腰乃先生の作品は、片方の愛情が強く、もう一人は体の接点が出来るとすぐに流されて相手を好きになっちゃいますね。w お話の尺の問題もあるでしょうが、この先生は葛藤の見せ方が他の先生と全く違います。

今のところ、読んでみた作品はすべてコメディもしくやユーモアで誤魔化して、葛藤になりえるポイントも笑い話として取り扱っています。(話の盛り上げ方や面白さはそこじゃない。)

この作品も、ゲイでもない島田が、行為の後で「ありがとう」と言われたことが妙にうれしかったのか、すぐに小峰をかわいく思い始めます。そして2Rに。

この作品が描かれた2000年代後半のBL作品といえば、ヨネダコウ先生の初期作品や草間さかえ先生の作品などは読みましたが、ここまでコメディに特化し、かつ男同士のリアルな描写が描かれた作品はまだ読んでいませんでした。

腰乃先生の人気の理由がわかった気がします。😊

腰乃先生『嘘みたいな話ですが』を今すぐ読む方法

腰乃先生『嘘みたいな話ですが』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。

私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。

どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。

コミックシーモア:クーポンが魅力。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。

Renta!レンタ:レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入が可能。この作品もレンタルできます。

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まとめ

今回は、腰乃先生のコミックス『嘘みたいな話ですが』をご紹介しました。2005年からの作品が収録されているということで、絵柄は少しレトロ感がありますが、逆に今より肉付きのいい体格で、男っぽさもありますね。キャリアが長い先生ですが、単行本自体はまだまだすべてチェックできる範囲だと思います。(BLのいいところですよね。)先生の作風の移り変わりをみたい方は、必読の1冊ですので、よろしければぜひお手に取ってみてください。

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