こんにちは。
今回は、ゆき林檎先生の教師もの『グッドバイライラック』をご紹介します。
作品データ
グッドバイライラック
Good Buy Lilac
ゆき林檎
刊行年月:2016年06月14日
出版社:大洋図書(CRAFT)
どんな作品?
ゆき林檎先生のBL作品。ゆき先生は非BL作品も描いているようですが、私にとってはこちらがはじめてのゆき先生の作品になります。
BL雑誌『CRAFT』vol. 61, 63, 64, 66, 67 (2014-2016)に連載されたものと描き下ろしが1冊にまとまった、1巻完結の作品です。
漫画では定番の「教師と生徒」のお話。高校教師の笠井(かさい)は、教え子の加藤に想いを寄せられます。何もなく卒業していった加藤でしたが、数年後、新任教師として母校に帰ってくることに。二人は同僚として新たな関係性を築いていくお話です。
教師と生徒のお話は、いつの時代も人気で、いつの時代も萌えポイントなのか。w
実は以前は苦手なテーマでしたが、ここ最近すっかりお気に入りのシチュになった教師もの。この作品は生徒が卒業しているので、正確には「同僚」という関係性ではあるのですが。
このお話は、受けの加藤が学生時代のエピソードもありますが、加藤が卒業後に新任教師として母校に戻ってきてからのお話がメインなので、少女漫画のような学生とのああだこうだはありません。w
カップリング
攻め:笠井(かさい:高校教師。なかなか熱しないです。)
受け:加藤怜二(急に人が変わったように笠井にアプローチをかけていく w)
あらすじ
高校教師の笠井は、生徒の加藤に想いを寄せられていた。しかし生徒とのトラブルをさけるためにも、誤解のないようにそれに応えることもなく、加藤は卒業していった。
それから5年後、加藤は新任として母校に戻ってきます。
生徒から、教え子であり同僚になった加藤は、どうやらまだ笠井への想いが断ち切れないようで、笠井と同じアパートへと引っ越してきてはアプローチをかけはじめるのだがーーー。
ゆき林檎先生『グッドバイライラック』のネタバレ!?感想・レビュー
私にとって初めての、ゆき林檎先生の作品です。
落ち着いた絵柄と、1冊に漂う雰囲気も馴染め、まとまった1冊になっていると思います。
それを踏まえて、2点ほど気になった点がありましたので、記しておこうとう思います。
加藤の事情
生徒の加藤。もともとはバレーボールの選手だった。
舞台となっている学校はバレーボール強豪校であり、戦力として期待されていた加藤だったが、残念ながら膝の故障のせいで選手生活を断つことになります。
生活や環境の変化に苦しんでいた加藤を見かけて、笠井が声をかけたところから二人の関係が始まります。
ただ、この加藤のキャラがなかなか戦力を期待されていたスポーツマンという雰囲気がしないのです。
確かに選手としての希望は断たれてしまったかもしれませんが、それまで厳しい環境の中でトレーニングを行なってきたはず。
それなのに、彼のキャラからはストイックさが見えてきません。
さらに、新任教師として母校に帰ってきてからの笠井と同僚になることで、昔の想いが再燃する加藤。自分の想いを笠井に伝え、アプローチを開始します。
そこまではいいのだけど、なぜか人が変わったようなキャラ変貌。w
ほぼ毎日のように笠井の家にやってきては、料理をしたり、お弁当を作ったり、さらには笠井に抱きついたり……。それをアプローチというのかはわかりませんが、不思議な関係が始まります。
加藤の笠井に対する想いはわかるのだけど、加藤のキャラが今ひとつつかみにくいのが残念でならないのです。
また、元カレとの関係も粗末で、結局それがあだとなり、後に大変な自体を引き起こします。
お酒に弱く、ハプニングバーなどに通ったりもする。
やはり学生時代にスポーツをやっていたとは想像し難い性格で、そこに魅力を感じるのが難しかった。
ただ、キャラの親密な関係が描かれるBLでは、必ずしも素敵な男性が描かれる必要はなく、やはりどこかポンコツだったり、笑えたり、そういったキャラが描かれるのは多いと思うんです。
スポーツマンというところのつじつまがあったキャラ設定ならもう少し馴染めた感じがするのですが……。
お話の展開、そして加藤のキャラは、残念ながら彼に共感する部分がなかなかみつからず、消化不良を起こしてしまいました。
笠井の事情
教師の笠井。こちらの描写も謎な部分が多かった。w
加藤が学生の時から、笠井はゲイではないという。しかしそう言いながらもどこか加藤を可愛がっている笠井がいます。
想いをしっかりと伝えてアプローチをかけてくる加藤に対し、腕を組まれたりしてもすっかり受け入れてしまっている笠井の流されモードにも疑問符。
流されモードだとしても、ある一定のラインがあって、そこを死守してほしかったのだけど、特にそれもない様子。
加藤のキャラは、好き嫌いはあるにせよわかりやすい性格で、読み手にもわかりやすく描かれていると思うんです。
でもその反面、笠井の方は、なぜ加藤に想いがなかったのに少しずつ惹かれていったのか、心情変化の過程を読み取ることができませんでした。
笠井が頑なに守っていたものーー。加藤と一線を超えてしまってから、それが崩れていくのを感じています。
でも、その守っていたものとはなんだろう。
教師としてのプライドですか?
そこに至るまでに、加藤へのわずかな恋心のようなものは感じたのだけど、熱量は感じられず。
笠井は加藤に対し、恋心というよりも、愛しさを感じたのでしょう。また加藤よりも年上と言うこともあり、熱量の差が表現されていたのかもしれない。しかしながら、笠井のキャラがやはり定まらず、私には流されているようにしか見えなかったです。
この二人のキャラには共感は難しかったのだけど、作品全体としては問題なくまとまっており、読みやすい作品でした。
ゆき林檎先生『グッドバイライラック』を今すぐ読む方法
ゆき林檎先生『グッドバイライラック』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「
Renta!レンタ」です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
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まとめ
今回は、ゆき林檎先生『グッドバイライラック』をご紹介しました。なぜ教師と学生の恋物語に惹かれてしまうのか……。漫画ならではのファンタジーに、いつの時代も妄想を広げてしまう自分ですが、少女漫画でもBLでも、このシチュエーションはこれからも読んでしまいそう。w
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