こんにちは。今回は、イイモ先生の代表作『悪癖』の2巻をご紹介します。
1巻と同時発売だったこちらの2巻。読み応えたっぷりでした!
1巻では、大門の怖そうな過去と、小島の過去が少しだけ描かれておりましたが、お互いの過去は想像以上に深かったーーー。
作品データ
悪癖 2
イイモ
刊行年月:2021.03.13
出版社:竹書房(バンブーコミックス)
どんな作品?
イイモ先生の初の長編かつ代表作です。老舗BL雑誌『麗人』2017年7月号から連載開始したシリーズで、全4巻完結です。
2巻には、『麗人』2019年7月号から2020年9月号までのお話が収録されております。
自分の中に、相手を標本にしたいという怪物のような欲望が宿っていることを知ったヤバいやつ、大門燈弥。そして、相手に命を取られることで永遠に支配されたいというどMのヤバいやつ、小島楊平。歪んだ二人が知り合い、なんだかお互いが気になってしょうがない。2巻では、二人のより深い過去があきらかになっていきます。歪んだ性癖も含めた人格なるものは、やはり幼少期の影響が大きいですね。
1冊のお話のスピード感と内容の濃さが素晴らしく、漫画としてもぐいぐいと読者の好奇心を駆り立ててくれる作品です。
そして2巻は、BL作品の歴史においても名シーンではないかと思える大門の1ページシーンが見どころになっています。
カップリング
攻め:大門燈弥(急に甘くなってきた。やっぱりやさしい子なんですね。)
受け:小島楊平(営業のエース。6か国語も話せるらしい。すごっ。)
2巻のあらすじ
お互いのニーズを満たすべく、不思議な関係を続ける大門と小島。大門がなぜ標本を作りたいと思うのか、そしてその背景にあった家族(母親)との過去が明らかなになっていきます。そして、小島との関係も、自分なりに愛情のようなものを伝えていく大門。
小島の方も、なぜか徐々に大門の笑顔に惹かれ、自分の感情がコントロールできなくなっていきます。そして、小島の過去である家族の話と山男(やまお)の存在をゆっくりと大門に話すことで、過去の記憶を自分の中でなぞっていきます。
しかし小島は、死への執着、そこから得られるのではないかと思っていた過去のトラウマの答えを探すべく、大門と知り合う前に通っていた謎のクラブへと足を運ぶのですがーーーー。
イイモ先生『悪癖』2巻:ネタバレ!?感想・レビュー
作品の魅力1:大門の過去の正体
怪しげな大門の過去。1巻でうっすらとほのめかしていた祖母の思い出。2巻で明らかになりました。大門が祖母を殺したのか。そんな匂わせがあるのだけど、その裏に潜んだ彼の心理が、事実とともに描かれています。見事です。
1巻で、大門の欲望は「小島の標本を作りたい。」と。
聞いたこともないような台詞に、すっかり私は心を奪われてしまいましたが、2巻ではなぜ代紋が「標本を作りたい」と思うようになったのか、その原因が描かれています。小島の一人プレイのせいで話は腰を折られてしまうのですが(w)、非常に興味深い背景でした。
大門の祖母は、博物館で働いていました。祖父の部屋には、剥製や標本が飾られていた。子供の大門はおばあちゃんに聞きます。
生き物を剥製や標本にするなんて、野蛮じゃない?
おばあちゃんは答えます。人間はもともと野蛮な動物。それを理解できてない方が、よっぽど恐ろしい。
おばあちゃんから聞いた言葉。「この仕事は世界で唯一の時を止める魔法」
そんなおばあちゃんの言葉が忘れられなかった大門は、ある事件を起こします。そして、その事件こそ、大門よりも恐ろしい存在だった大門の家族(母親)によって間接的に引き起こされたのではないか。まさにおばあちゃんが大門に語っていた通りで、人間は野蛮な動物だということ。
大門の「死」の定義は、小島が執着している「死」と違います。
大門が思う「死」とは、一体なんだろう。大門が「殺してしまった」と思った祖母の存在。大門は、病気で自我をなくした祖母がどう見えたのだろう。身体は生きていても、孫の存在もわからなくなった祖母をどう思ったんだろう。自我(自己)のない祖母を見た大門は、どう思ったんだろう・・・。また、おばあちゃんは豆腐の入った鍋を落としたのだけど、それこそが事故だったのか、故意だったのか・・・。今となっては誰にもわからないのです。
1巻からは想像できなかった大門サイドのお話の展開に、驚きと共に、いろいろと考えさせられました。そして、これだけイイモ先生の性癖が溢れている作品なのにも関わらず、お話の展開や表現に無駄がないのも素晴らしいです。
作品の魅力2:小島の過去の正体
一方、小島サイドのお話も出てきます。1巻では大門と出会う前の謎のクラブについて、少し描写されていました。2巻ではこのクラブが再登場。そして小島の火が苦手な理由、謎の「山男(やまお)」について、少しずつ描かれています。山男も怖いけど、単純に小島のバックグラウンドが面白い。坊ちゃんですね。どうりで6か国語を話せるわけだ…。
幼少期のの体験、経験は大人になっても気づかないところでフラッシュバックが起こったり、潜在意識に残りますよね。自分がどういう人や事柄を好み、求めるのか。イイモ先生は、その部分を作品を通して描きたかったようですね。この二人は特に厳しい幼少時代を過ごしたようですね。それがのちにこういう歪みになって出てきた、という。
作品の魅力3:謎のクラブ、明らかに
1巻で少し登場した謎のクラブ。2巻で再登場。映画のような設定ですが、イイモ先生のあとがきによると楽しんで描かれたとか… この先生は、とにかく性癖が面白い!w
会員制のクラブ。政財界の大物や大企業のトップなどが、厳しい審査をくぐり抜けた高い地位のものだけが入会でき、己の欲望にうそをつく必要のない場所。いや、フィクションでよくありそうな怪しげな場所ですが、フィクションに出てくるものって、半分はノンフィクションで存在するのも確かですよね。この謎のクラブも、なんだかどこかにありそうだなぁ。
その日の「主人」が、自らの欲望を満たすが如く、ステージで好き勝手するのですが、2巻に登場するのが「蠍(さそり)の間」。小島はここに5日間閉じ込められている模様。というか、ドア大きい!ホテル並ですよ。闇クラブでそんな大きなところってあるんでしょうか!? w
そして、フラフラになっている小島の前に突然、椅子に縛り付けられた大門が登場。
この名シーン、BLの歴史にしっかりと刻んでほしいです。
非BL漫画を読んでいても、こんな名シーン、滅多にありません!
イイモ先生の作品でこんなシーンを見られるなんて!(先生ごめんなさい。)
大門登場からの一連の流れが、2巻のハイライトとなっていて、本の流れも素晴らしいのです。
作品の魅力4:二人の距離感がすごくいい!
1巻のラストがかわいらしかった二人ですが、2巻では大門の甘さがパワーアップ!
節々に彼の小島を思う気持ちが表れていました。
小島もなんだかんだといいながら、すっかり恋しちゃってます。でも、自分ではまだはっきりと自覚していない。もしくは、気持ちの変化を認めたくない。
水族館でデートするシーン、すっごくよかった。
楊平、とーやと名前で呼び合い始める二人。
こんな甘々な二人のやりとりを、イイモ先生の作品で見ることになるとは・・・。
(まだ言ってる。w 先生、ごめん。)
暗い過去のエピソードや、痛々しいプレイシーンもありますが、背景には、二人の愛情がしっかりとベースになっています。大門のお話は少し落ち着いたようですが、小島のほうの過去のお話は、まだまだありそうですね。そして、彼はどのように恋心と向き合っていくんだろう…。
イイモ先生『悪癖』を今すぐ読む方法
イイモ先生『悪癖』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「ebook japan」かレンタル本が豊富な「
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この作品、もちろん電子書籍でもいいのですが・・・個人的には紙本をオススメしたいです。表紙イラストはどれも素敵でゾクゾクしますし、全4巻とも、かなりボリューミーです。1巻1巻、物語の厚みを感じながら楽しむのも悪くないですよ。
まとめ
今日は、イイモ先生の『悪癖』2巻をご紹介しました。1巻からそうですが、このシリーズは、とにかく漫画としての完成度が高いです。1冊のスピード感、高揚感、ファンサービス(Rシーンなど)、そして時には言葉の定義さえ考えさせられる・・・。
とにかく奥が深い作品で、何度も読み返したくなる作品です。
間違いなくBLの歴史にしっかりと刻まれる秀作だと思っています。
クセのある性癖オンパレードですが、しっかり純愛してる歪んだ二人。もう最後まで追いかけるしかありません。3巻どうなるの〜!?
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