イイモ先生の『悪癖』シリーズ。3巻を読みました〜。
毎巻、ボリュームがあって、とにかく読み応えありすぎ!
そして、お話がどんどん面白い方向に展開していって、胸が痛い…。
面白さも倍増です〜。(涙)
作品データ
悪癖 3
イイモ
刊行年月:2022.05.11
出版社:竹書房(バンブーコミックス)
どんな作品?
イイモ先生の初の長編かつ代表作です。老舗BL雑誌『麗人』2017年7月号から連載開始したシリーズで、全4巻完結です。
3巻には、『麗人』2020年11月号から2021年9月号までのお話が収録されております。
表紙のイラストが素晴らしい‼️
もともとデビュー当時から画力のある先生ではありましたが、3巻のこの表紙イラストといい、作中の画力もかなりアップして、脂が乗ってきております。お話も巻を増すごとに新たな方向にずんずんと進んでいる。
2巻の名シーン、謎のクラブに大門が乗り込み、小島を救出したところからお話がスタート。病院でプレイが開幕するイイモ先生の性癖オンパレードと、それに並行して進む大門と小島それぞれのストーリー。
1巻を読み始めた時に、誰がこんな純愛作品になると想像できたでしょうか。
ファンサービス、いや先生が描きたいだけなのかはわかりませんが、毎巻たっぷりの偏ったエロスとw、山男の正体、そして大門と小島の純愛ストーリー。すべてが交差して、いいスピード感で進んでいきます。
カップリング
攻め:大門(心の闇も収まり、あとは小島への愛情を伝えるだけに。)
受け:小島(愛されることを知らず、愛す方法に戸惑う男)
3巻のあらすじ
謎のクラブからの小島救出作戦が無事に遂行されたのも束の間、怪我をした大門は1ヶ月ほど入院することに。その間、小島が忍び込んできたりとお楽しみもあったが、退院した大門の前からは、なぜか小島は消えていなくなっていた。そして6ヶ月後、大門は同僚の須藤と婚約していた。
人の嘘も、本音も、何が欲しいかもわかる小島にとって、「大門が欲しいもの」は自分には与えることができないと悟り、大門の幸せのため、準備をする必要があった。そして、小島自身も、自分がずっと苦しめられている「山男(やまお)」が何者なのかを探ろうと、自分のルーツをたどり始める。
イイモ先生『悪癖』3巻のみどころ
作品の魅力1:ストーリーは驚くべき展開へ!?
3巻の読みどころは、なんといっても目まぐるしいストーリー展開。
この作品、ラストってどうなるんだろうって、多分ほとんどの読者は思っていたと思います。単純にハピエンっていっても、この二人の性格だから、愛を誓い合って終わりってことはないんじゃない?かといって、バドエンにしようにも、何がバッドなのかもわからず。
そんな中、話がどんどんと、予想していなかった方向に展開しはじめます。
距離がかなり近づいた二人。なのに、小島が…消えます。
えええ?愛さえ語り合った二人だったのに、なぜ?
そして小島が消えたことで、自暴自棄になる大門。
そりゃそうだよ。これは理解できましたよ。
しかし自暴自棄になりすぎて、会社の同僚、須藤と婚約してしまいます。
えええ?おいおい…
そしてこの大門と須藤との不思議な婚約関係を辿っていくと、1巻からずっと描かれていた小さな出来事が、まるで小さな点と点が線でつながるように、ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーンとすべて繋がるんです!!!
何度も本当に失礼ですが、イイモ先生の作品に、こういう素晴らしい漫画的な展開を想像していなかったので、読んでいて背筋がぞぞぞっとしました。BL要素満載の上さらに、漫画としてのお話の作り込みがすごい!いわゆる伏線回収なんでしょうが、回収の仕方が一個一個じゃないんです。もうビビビって、一気に回収しちゃうところ!晴天の霹靂。
大門は、消えた小島を見つけられるの?
一緒になれるの?
この二人の結末って、なに?
漫画ってだいたい着地点は想像できるけれど、この作品は正直まだわからない。
全然わかんない。
だって、イイモ先生ですもん。w
作品の魅力2:小島と「山男」との過去
山男(やまお)。
この男が小島の今を作ったと言っても過言ではない。断片的にしか描かれていなかった山男と幼少時の小島との関係が、3巻でより深く描かれています。
田舎町ではクラスのみんなに馴染めなかった小島。
嫡子としての教育を受けた彼は「男」の概念に悩まされます。男になれば友達ができるかも、と思い、泳げるようになって男として認めてもらいたい。そんなことを子供ながらに考えながら、泳ぐ練習をしてみたり・・・。しかし、泳げなかった小島が溺れかけたときに、川から助けてくれたのが山男でした。
この山男の存在。彼が小島の目の前で炎の中に消えていったトラウマのせいで、小島の心は山男に支配されたままでいる。山男が誰だったのか、彼の思考を読もうにもどうしてもわからない。「普通」に生きていても、狂人の考えはわからないのかと、自ら女装をして狂人に近づこうとした。
小島は「わからない」ことへの恐怖を感じます。あの幼少期の事件以来、小島の心は山男によって支配され続けてきました。
そして、たとえ命と引き換えても、そこから解放されるために、大門を見つけたーーー。
究極のどMだと思っていた小島。永遠に誰かに心を支配されたいと思っていたのですが、本当はその支配された心から解放されたかったのではないでしょうか。
小島が女装するシーンが数回でてきます。どうやら、元々は「非普通」になることで、山男の考えが理解できると思ったからのようです。でも、3巻の冒頭でも女装のようなものがありましたね。今では彼の性癖の一部になったのか?そういえば、スキンケアもしっかりしている小島。彼の性癖には、やはり一癖も二癖もありそうです。
大門と小島。別々に暮らすようになって約6ヶ月。
お互いを想いつつも、大門はまだ小島の居場所がわかりません。小島を見つけ出すことができるのでしょうか。そして、小島は心の平和を求めて、山男が住んでいた小屋にやってきます。そこでなにか手掛かりはないか、幼少期の思い出と共にルーツを探り始めます。
イイモ先生『悪癖』を今すぐ読む方法
イイモ先生『悪癖』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
サンプルを今すぐチェックすることができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「
Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)
どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
コミックシーモア:頻繁にクーポン割引があり、また同人誌や特典冊子の作品もたまに読めたりします。
Renta!:レビューを書くとスタンプがもらえる機能などあり。レンタルも豊富です。
この作品、もちろん電子書籍でもいいのですが・・・個人的には紙本をオススメしたいです。表紙イラストはどれも素敵でゾクゾクしますし、全4巻とも、かなりボリューミーです。1巻1巻、物語の厚みを感じながら楽しむのも悪くないですよ。
まとめ
1巻冒頭の無理矢理Rシーンから、一体誰がこんな深く、考えさせられるお話を想像できたでしょうか。あんな狂気じみた大門や小島をかわいいと思って読んでいる自分が一番怖いです。w
間違いなくイイモ先生の代表作ですし、BLの歴史を追う上でも読んでおいていい作品です。いよいよ4巻で完結。山男の正体、そして大門と小島のラストはどうなるのか、楽しみです。
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