作品データ
催眠術なんて信じない!!
イイモ
刊行年月:2019.07
出版社:竹書房
どんな作品?
2つのお話が収録されています。催眠術にかかり同僚とイザコザを起こすお話、そして教師と二人の生徒の三角関係!?のお話。
『イノセント』からイイモ先生を読み始めた自分には、普通のお話も描く先生なんだな、という印象。w あの『イノセント』の衝撃はいずこ!?
もっと絡みとショタ系に特化した先生かと思いましたが… あ、ショタ系、またありますね。w いわゆる地雷がある方は、読む前にご確認されたほうがいいかもしれません。
2話目の『土中の繭』がバドエン、闇、と言われているようですが、BLはいつからハピエンのみになったのでしょうか。漫画や小説など全体を通しても、もっとバドエンあってもいいのでは?読者が求めているかどうかは別として、ですが。w
地雷のない自分ですが、『イノセント』よりもかなり読みやすかったです。
イイモ先生の『催眠術なんて信じない!!』のあらすじ
3つのお話が収録されております。
1:催眠術なんて信じない!!
2:土中の繭
3:顔(描き下ろし)
ストーリー01:催眠術なんて信じない!!
課長の早乙女は、ふと目を覚ますと、部下の杉本と関係を持っていた。会社の忘年会でお酒を飲み過ぎ、さらにはどうやら余興で経理の人に催眠術をかけられたらしい。そんな設定でお話が進みます。
課長は杉本を明らかに気にしてるんだけど「これは催眠術のせいだ!」と頑なに自分のもやもやを否定する。結論として、実際に催眠術にはかかってたんですが、全然違う内容のもので… 結局普通に杉本とそういう関係になってしまっただけという…。
第2話は杉本サイドの気持ちの変化が少し描かれております。初めて会った時から早乙女課長のことをドライな人だと思っていた杉本ですが、そんな彼の慌てふためく姿にふと惹かれ、弱みを見せてもいい相手なんだという安堵感から、惹かれていくところがきっちり表現されています。
ただ、何せ2話で完結なので、深層描写はありません。それでも、このフィクション的なお話をきれいにまとめているので、やはり『イノセント』のイメージが強かったこともあり、この手の普通のお話を読めて、安心。w
ストーリー02:土中の繭
こちらの作品は、ダークでショタもの。
イイモ先生の特徴とも言えます。
前後編に分かれております。
田舎のとある学校。ケンカっぱやい葛西と、黒髪の美術部員、宇津井がなにやら揉めている。そこに仲介に入るのは、新任の沢先生。黒髪の宇津井は美術部で、男の子が好き。そんな彼を見て、イライラし、喧嘩ごしになる葛西。なんとか二人の仲を保とうと、二人の生徒たちのことを考える沢。そんな中、学校の周りでは不審者が現れ始め…
『イノセント』では見受けられなかった心情描写、メッセージが含まれておりますが、サイコパスなお話。先生の立ち位置はすぐにわかったけど、葛西と宇津井のポジションは最後まで読まなければわかりにくかったと思います。
てっきり宇津井、そして葛西にのりかえるだけかと思ったら、最初からターゲットは葛西だったのかな。少なくても宇津井からはそう見えていたらしい。
田舎という閉鎖的な環境の中で、他の先生との会話から、異性を好きになるのが当たり前、という概念を植え付けられた生徒が、そうでないものを見たときに抵抗する気持ち(この場合は葛西の怒り)について描かれいる。
宇津井に「異常者」という言葉を使うシーンもあります。が、実際には葛西の怒りの原因は宇津井に対してだけでなく、葛西の自分自身に対してじゃないだろうか、そして宇津井への嫉妬心もあったよう。
宇津井が妙な行動で先生に近づいていくのは、どうやったら先生に自分だけを見てもらえるか、という気持ちの現れであり、冒頭から彼の視線を追うとわかります。
ストーリー03:顔
描き下ろし。沢のトラウマのお話です。なぜ彼がそうなってしまったのか、おそらく原因の一部だとは思いますが、描かれています。人間には表と裏の顔がある。大人になりきれない自分。そして鏡に映った自分の顔を眺める沢。闇、一般的な人とは違う部分、隠したい部分、もしくは変態性。そんなサイコパスの内はイイモ先生にもわからない、ということですね。w
イイモ先生の『催眠術なんて信じない!!』を今すぐ読む方法
イイモ先生の『催眠術なんて信じない!!』を今すぐ読むには、電子書籍になります。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「
Renta!レンタ」です。どちらもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
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まとめ
全くタイプの違う2つのお話。
興味深いカップリングでした。なぜイイモ先生の作品を手に取ったか。それは、先生の『悪癖』という作品のリリースで先生の名前を知ったからです。ダークな内容だったことは知っていたけど、やはり読んでみるべきかなと思いました。
この2つのお話、読み解いていく上では、心理描写は深くありませんでした。短編ですと、どうしてもそうなっちゃいますよね。サイコパスのお話は少し深く描かれていて、興味深かったです。もしあなたの「地雷」でなければ、ぜひ読んでみてください。
『イノセント』『催眠術なんて信じない!!』の2冊を読んで、この先生自身には魅力を感じました。『悪癖』は、先生の癖と読者目線を考えた作品になっているようなので、早く読みたいです。読まれた方はぜひ感想を教えていただけたらうれしいです。☺️
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