イイモ先生の『悪癖』1巻:冒頭の狂気から巻末恋に落ちるまで

イイモ
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こんにちは。

今回は、イイモ先生の代表作『悪癖』をご紹介しようと思います。

私は、『イノセント』という作品でイイモ先生のことを知りました。それはそれは、びっくりしました。w でも、どこか忘れられない先生で、その後も先生の作品を読み続け、この作品にたどり着きました。

漫画としてもクオリティがとても高い作品で、間違いなくBLの歴史において、読んでおいて良かったと思う作品です。

作品データ

悪癖 1

イイモ

刊行年月:2021.03.13

出版社:竹書房(バンブーコミックス)

どんな作品?

イイモ先生の初の長編かつ代表作です。老舗BL雑誌『麗人』2017年7月号から不定期に連載したシリーズで、全4巻完結です。

1巻には、『麗人』2017年7月号から2019年1月号までのお話が収録されております。

はっきりいって、イイモ先生の性癖にはクセがあります。なので、好きな人とそうでない人がいるかもしれません。初期の1巻完結ものは特にそうでした。しかし、商業漫画を描かれるようになってから、先生自身が描きたい(と思われる)癖(くせ)と、読者に受け入れられるラインのバランスが取れてきたのかなと思います。その代表作がこの『悪癖』です。

穏やかで優しい性格でありながらも、人間を標本にしてしまいたいと思ってしまう大門(だいもん)と、究極のどMで、殺してもらうことで永遠に命を支配されたいと考える小島。

歪んだ二人のキャラクターが、不思議なことにエピソードを追うごとに、驚き、そして心の変化が垣間見られて、物語から目が離せなくなっていきます。ましてや、この二人がカッコよく見えてくるなんて、私自身どうかしてるんじゃないかとさえ焦った次第です。w

第1話からあっという間に心を奪われて、引き込まれた、イイモ先生の代表作。

2023年に見られる平和でラブラブなハピエンとは違った作品ですが、こういうエッジの効いた作品、どなたか描き続けてくれないでしょうか。

カップリング

攻め:大門(平和主義者といわれているおとなしキャラ。会社でいいように使われている)

受け:小島(営業トップ。大門の同期。大門にちょっかいを出しているが、実はとんでもない野望の持ち主。)

あらすじ

営業トップの小島は、同期の大人しい大門にちょっかいを出しては嘲笑っていた。

平和主義者でおとなしい大門は、気にしていなかったのだが、ある日、もしかすると小島は俺のことが好きなのか?と変な疑問を抱く。行動ではそれが見えるのに、何も入ってこない小島に嫌気がさして、自ら小島に聞こうと思ったところ、それを見透かされ、小島に笑われてしまった。それが逆鱗に触れたのか、つい衝動が駆られ、大門は小島を家に誘い、無理矢理自分のものにしてしまう。

自分の心にある怪物のようなモノが見え隠れする大門と、それを見抜いてちょっかいをかけていた小島もそれを喜び、さらには大門に自分の願いを叶えてくれと頼む。その願いをかなえることで、永遠に自分を支配して欲しいと願う小島。

歪んだ性格を持った二人が、なぜか少しずつ相手に興味を持ち、ゆっくりと近づいていくのだが、歪んだ原因は、お互い過去に何かあったようでーーーー。

イイモ先生『悪癖』1巻のみどころ

作品の魅力1:小島は実は、ドMだった件

冒頭。変哲もない冒頭のシーンから、少しなんだかんだがあり、いきなりRシーンへと突入します。w しかも、強引なんです。同意のないもの。イイモ先生の作品にはたまにでてきますね。
まぁのちに小島がそうしむけたことがわかるのですが、ここで、まず大門の心の闇が提示されます。

自分が無理矢理してしまった小島への行為をどうにか葬ってしまいたい。例えば、ここで小島の首を閉めたら、どうなるだろうーーー。

しかし怖いのはそれだけではない。

小島の体はあざだらけ。古い傷やあざがたくさんあるのです。小島は小島で、根っからの… どM。Sに見えるんだけど、どM。小島をMとしているところも、イイモ先生らしく、ちょっとひねってる感じがします。大門をいじめるところとか、Sっぽいんですけど、実際に強引にやられ、さらには首に手をかけられて興奮してしまう小島。w

小島には究極の野望があります。
それは「支配されたい」ということ。
支配される快楽のために、命を差し出したいんです。
相手に命を奪われることで、永遠に相手に支配されたい、という欲望。

そして、さらにお話を進めて読んでいくと、彼にはもう一つの闇があるんです。
どうやら、幼少期に知り合った人とのいざこざがあり、炎にトラウマがある、と。

どうやら、小島サイドとしては、過去の炎のトラウマ、そしてSとMの関係から来る歪みがお話のポイントとなります。

作品の魅力2:大門も結局変態だった件

一方、大門の方は、自分を差し置いて、小島を「変態」と位置付けている。

しかし彼もなかなかのもの。

冒頭から無理矢理小島を襲っているし、その後、小島の首に手をかけています。未遂に終わってはいるものの、自分を時々抑制できなくなる。彼の中には「怪物」が存在する。それが1巻でもところどころ見え隠れします。人間、何らかの闇を持っていると思いますが、大門の闇は「怪物」と表現されており、どうやらそれは、彼が幼少期にあった祖母との何かからきているのでしょうか。過去の事件のようなもの、そして現在時々彼を襲う不思議な感覚がチラチラと見え隠れしており、大門サイドの方にも幼少期のトラウマがあるようです。

そして、大門の欲望。
それは小島の標本を作ること。
今までいろんな漫画や小説、映画を読んできましたが、この表現は初めて見かけました。
共感はしないものの、こういったみたこともないようなセリフや設定が出てくると、ゾクっとしてしまいます。この『悪癖』に出会ってよかった、という謎の快感。これこそエンタメ。ただ、共感はしてないので、私の癖ではないですが。w

もう一つ面白い点は、大門の小島に対する感情は、初期の段階からしっかりとした愛情として芽生えているのが面白いんです。セリフからも、しっかりと小島を観察している大門がいます。観察対象として見合うように、小島のギャップ(しっかり朝ごはんを作ったり、ハンドクリームで肌をお手入れしたり)も面白く描かれているのもイイモ先生の作品作りの素晴らしいところだと思います。

大門の内に怪物なるものが存在しているのだけど、基本的に彼は心優しい人間なんですよ。標本のくだりで喜んでる小島を見てキュンとなるってどういうこと!?w 大門さん、あなたも十分変態の世界に住んでますよ。w

作品の魅力3:イイモ先生の画力

イイモ先生の作品は、商業デビュー作である『イノセント』からチェックしておりますが、読者の好みはあるにせよ、この先生の画力は昔からすごいですよね。

主人公の描き分けはもちろんのこと、モブの存在感も、まるでAV男優のようなモブ感から、しっかり脇役まで描き分けているし、年齢層も豊富。

BLというか、漫画の完成度が高く、全く問題なくすーっと自然に読めるので、お話に没頭できます。

作品の魅力4:イイモ先生の性癖

画力は素晴らしいのだけど、イイモ先生の性癖も面白いです。
ごく普通のBLも読んだことがありますが、多くの読者はイイモ先生にはそこを望んでいるわけではなくて、やはり先生にしか描けない世界観があります。

この1巻だけにおいても、無理矢理な行為があったり、首に手をかけたり、はたまたおもちゃが出てきたりと、とにかくいろんな要素がてんこもりになっています。絡みシーンも豊富なんですが、ユニークな癖がありつつも、二人の距離が徐々に縮まっていく描写が興味深いです。

個人的には、具体的な性癖はよくわかりませんが、そういったことを考えているイイモ先生自身を考えるのが楽しくて、またセリフも先生独特の言い回しや間の取り方があるんです。それが、私にとってはツボです。w

作品の魅力5:ゾクゾク感

1巻の魅力はとにかくたくさんありますが、1冊でこれだけゾクゾクする作品、ここのところずっと出会っておりません。こういったエッジの効いた作品、すっかり見なくなってしまいました。

面白い漫画はBL、非BL、たくさんあります。でも、本当にオリジナリティがあって、読んで脳が覚醒するような作品はめっきり減ってしまいました。その感覚が楽しめたのがBLだったんですが・・・私の感覚が麻痺しただけでしょうか。w

イイモ先生の作品をまだ読まれていない方は、ふわふわ可愛らしいハピエンのお話ではありません。クセのある歪んだ二人の愛のお話。

一筋縄では行かないし、ひどい、痛い描写があるのもイイモ先生です。w

でも、オリジナリティ、勢いがあり、それでいて純愛。こういう作品を読んだ時のスリル、ゾクゾク感がやめられないのです。

1巻や2巻の表紙絵を見た段階で「ゾクゾク」を感じる方は、今すぐこの本をお手に取ってみてください。w

イイモ先生『悪癖』を今すぐ読む方法

イイモ先生『悪癖』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。

サンプルを今すぐチェックすることができます。

私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。

どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。

コミックシーモア:頻繁にクーポン割引があり、また同人誌や特典冊子の作品もたまに読めたりします。

Renta!:レビューを書くとスタンプがもらえる機能などあり。レンタルも豊富です。

この作品、もちろん電子書籍でもいいのですが・・・個人的には紙本をオススメしたいです。表紙イラストはどれも素敵でゾクゾクしますし、全4巻とも、かなりボリューミーです。1巻1巻、物語の厚みを感じながら楽しむのも悪くないですよ。

まとめ

今回は、イイモ先生の代表作『悪癖』の1巻をご紹介しました。大門と小島、どちらもかなりクセが強く、私にとっては共感はできない二人です。しかし妙な設定に興味が湧くし、この二人は最終的にどうなっていくんだろう、という物語を追いたくなる気持ちが芽生えるのも事実。

イイモ先生の作品に登場するおもちゃプレイや周りのモブの顔が描かれていない情景(イノセントにもあったね…笑)もあり、先生の作品が好きなファンの方も惹かれる作品かと思います。

なにはともあれ、とんでもない作品を手に取ってしまいました。
最後まで、読みます。
どんなラストが待っているのか、すごく楽しみ〜!
…って、楽しみに感じちゃってる私もやばいですね。

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