彩景でりこ先生『蟷螂の檻』1巻:誰が蟷螂になりうるか

彩景でりこ
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今日は、彩景でりこ先生の人気問題作『蟷螂の檻』をご紹介します。

いやー、強烈でした。そして大好きです。

人間の心の奥底にある闇、歪み。そんなところに焦点を当てた作品。でりこ先生の魅力的な絵柄とともに、楽しみました。今現在、本編しか読んでいませんが、同人誌で発表している番外編はまた違った世界観の作品のようで、そちらも面白いです。

作品データ

蟷螂の檻 1

彩景でりこ

刊行年月:2016.12.05

出版社:祥伝社(onBLUEコミックス)

どんな作品?

彩景でりこ先生の代表作ともなった長編です。5巻完結。

2014年から連載された物語で、昭和を舞台にしたお話。昭和のどろどろした雰囲気に、地方名家である當間(とうま)家の跡取りであるはずの育郎と、それに仕える使用人の典彦の執着した関係。

時代背景、そして名家ならではの複雑な人間関係、金、建前と本音。いろんな執念や嫉妬、そういった灰色の感情がたくさんでてきそうな作品です。

昭和という時代を知らない世代には特にゾクゾクする設定ではないでしょうか。

また昭和を知っている世代には、わかるよね、このどろどろした感じ…。

まぁ昭和といっても、服装などを見ると初期の頃をイメージした感じでしょうか。妾とか、そういったお話、そして地方のお話なので近所の人たちがひそひそと噂話をするような、(今でもあるかな?)そういった世界観です。

ハッピーな作品ではなく、どろどろした人間関係がお好きな方におすすめの作品。

カップリング

攻め:典彦(のりひこ:純真なものが壊れるところが見たい人)

受け:育郎(いくろう:自然と受けになってます)

1巻のあらすじ

地方名家である當間家の跡取りといて教育を受けてきた育郎。

しかし母親は自分に見向きもしなくなった父親への嫉妬や憎悪で精神を病み、父は奥の間(ま)に忍んで、なにやら誰かと会っているようだ。

誰からも愛情を注がれていないと感じた育郎と、當間家に仕え、近くで人間が壊れる瞬間を見てきた使用人の典彦。

純真な育郎を愛しながら、「彼が壊れるところが見たい」と、徐々に育郎へ手を掛ける。

彩景でりこ先生『蟷螂の檻』1巻のみどころ

作品の魅力1:彩景でりこ先生の世界観

正直、でりこ先生の作品はそれほど読み込んでいるわけではありません。

が、この先生の最大の魅力って、先生の絵柄と語りから来る「世界観」だと思います。

もちろん、物語の面白さなどもあるのだけれど、淡々と小説のように進む先生の作風。これこそが魅力だと思います。

ハピエンが見たい、もっとモダンなお話云々、希望もあるかもしれませんが、この先生にそれを求めるかは疑問です。絵柄も、きれいさはありながらも、どこか古臭い(ごめんなさい w)。

アジア系の美が似合う絵柄だと勝手ながら思っております。だからこの「昭和感」がなんとも魅力的というか…。

実は、私は洋物和物に限らず、時代物は好みではないんですが、この作品は冒頭からすぐに引き込まれました。

でりこ先生の作品はどうしても惹かれるし、特にこの作品は長編になった、つまりより多くの読者に受け入れられたわけで。だから、読んでみる価値はあると思います。

作品の魅力2:育郎と典彦の情念

もう一つの魅力は、この家庭の入り組んだ情念。

1巻では、育郎と典彦を中心に、兄の蘭蔵(らんぞう)、そして混血の健一などが登場します。

蘭蔵は父親の妾の子であり、奥の座敷に長い間閉じ込められておりました。しかし父親の死をきっかけに、表へとでてくるのです。しかも、父親の跡取りは蘭蔵とされているようで、育郎のアイデンティティが非常に複雑なものへ描かれていきます。

愛を感じたことのない育郎。突然(正式に)表に出てきた蘭蔵への厭悪、そして恐怖。そして典彦との秘事で感情を揺さぶられ… 。この蘭蔵への恐怖は、おそらく自分が食われるのではないかという恐怖なのではないでしょうか。

典彦は、年上の使用人。育郎が子供の頃からの様子をみており、また育郎の病んだ母親とも関係をもっています。

典彦は、人が壊れていくところに惹かれるのでしょうか。

育郎よりも年上、そしてどこか物事を達観した落ち着いた着眼点。じっくりと人間模様を観察しています。

育郎が典彦へ近づいてくる理由を探したり、彼が蘭蔵へ暴力的に当たる際も、育郎が怯えていることを察している。

そんな典彦自身の心のうちは、1巻ではまだちらっとしか見え隠れしておりません。

1巻の段階で、育郎との関係を描く作品だとはわかるのですが、育郎も典彦もまだまだ波乱がありそうで、目が離せません。

彩景でりこ『蟷螂の檻』1巻のネタバレ!?感想・レビュー

彩景でりこ先生の作品は、残念ながらまだ1作しか読んでおりません。和風の顔立ちの絵柄、そして重々しい雰囲気の作品だなぁと思っていたら、やはりこの作品もそうでした。しかも時代は昭和まで遡った。w

エンタメは洋モノが好きな自分にとって、時代モノはちょっと苦手なのだけど、この作品は昭和、そして田舎町(すくなくても都会ではないですよね)の日本的な環境がうまく表現されて、ミステリアスな雰囲気が漂っております。非常に魅力的です。

また登場人物も、メインと思われる育郎と典彦だけでなく、突如登場する混血の健一、そして蘭蔵。心を病んだ父親と母親の描写など、今後期待できるキャラ展開がなんともぞくぞくします。

とにかく、この典彦が… 強烈なキャラクターです。仕えるお屋敷の奥方(育郎の母親)とも関係を持ち、目の前で壊れていくのを見てきました。持った典彦は、育郎が壊れるところが見たい、という願望が。そして、育郎に対して歪んだ愛情、執着も持っています。ゆっくりと、無垢な育郎を調教していくんです。恐ろしいですね〜。その調教の仕方も、なんともまぁ… w

そして、私は紙本で読んでおりますが、装丁がなんとも素晴らしい。黒ベースに赤やピンク、そしてゴールドと、色合いがすばらしく、紙質も絶妙にマッチしております。もちろん、電子でイラストを楽しむだけでも十分だとは思いますが、この作品に関しては、この紙質、ぜひ手に取って感じてほしいです。

ところで、でりこ先生は商業を描いている今も、同人誌も精力的に描かれております。すごいですよね。このシリーズも、同人誌による番外編がいくつかリリースされています。うれしいことに、電子で購入も可能なんです。世界観が本編とは違うんですが、これがまた面白いんです。こちらも要チェックです。

彩景でりこ先生『蟷螂の檻』を今すぐ読む方法

彩景でりこ先生『蟷螂の檻』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。

私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。どちらもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。

コミックシーモアはクーポンが魅力。無料書籍や試し読み部分が多めです。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。

Renta!は、レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入することもできます。お好きな先生の情報をチェック。

この『蟷螂の檻』の魅力、本編だけでは終わりません。でりこ先生の魅力でもある同人誌も、電子書籍サイトで読むことができるんです!最初の数ページをサンプルで確認できますので、確認してみてください。世界観が全然違うんです。☺️

蟷螂の檻 わたしの坊っちゃんがかわいすぎる

演技の裏側、お見せします。~蟷螂の檻の中の人~(1)

蟷螂の檻~艶屋敷~

 

まとめ

今回は彩景でりこ先生の『蟷螂の檻』1巻をご紹介しました。全5巻で、ゆっくりと読んでいこうと思っています。この作品は奥が非常に深く、じっくりと掘り下げて描かれた作品です。

嫉妬、劣情、愛憎、家柄… いつの時代もありそうな情欲が入り乱れそうな世界の開幕です。過去のフラッシュバックもすばらしいタイミングで描かれており、不気味な雰囲気が漂っております。

きれいごとだけじゃない人間模様、お好きな方はぜひ手に取ることをおススメします。

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