こんにちは。
今日は、海野幸先生の『三百年の恋の果て』をご紹介します。
海野先生の初期の作品ですが、がっつりファンタジーを書かれていたようで少し驚き。
雑誌に掲載されていたお話ということもあり、お話の長さやスタイルなど、とても読みやすくて楽しめました。
作品データ
三百年の恋の果て
海野幸 Sachi Umino
イラスト:三池ろむこ
刊行年月:2008年12月20日
出版社:二見書房(シャレード文庫 う3-2)
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どんな作品?
海野幸先生のシャレード文庫から2作目の作品。
まさかの!? ファンタジーものです。彫刻師・秀誠と白狐の像に封印されていた妖し・紺のお話。
海野先生といえばお仕事BL!と聞いていましたが、あまりにリーマンものを続けて読んだので、少し違う系統のものを……、と手に取ったこの作品、意外と可愛らしくて読みやすいお話でした。
3つのお話が収録されております。BL小説雑誌『シャレード』2007年11月号に掲載されたタイトル作、そして秀誠と紺のその後のお話である『水鏡』、さらに秀誠の幼なじみである祥真と緋耀(ひよう)のお話『光の先』が収録されています。
海野先生の初期作品であり、文章には初々しさが残っており、逆にそれもこの作品を楽しめた理由の一つ。
2組のカプのお話が楽しめるのはうれしいのだけど、妖しの紺と緋耀ははっきりとした年齢設定がないため、挿絵のイメージだけで物語を妄想すると、少し幼い感じがします。
ですが、タイトルのごとく、紺は300年秀誠を待っていたことになっており、そう考えると紺は秀誠よりも遥かに年上ということになりますね。w
あらすじ
彫物師の秀誠(しゅうせい)は、神社の境内の片隅にある白い狐の木像に心を奪われます。高校の同級生だった祥真が神社の神主になり、訪れた神社で見つけた一体の木像。しかしその像には妖しである紺が封じ込められていた。
呪いが解けて現世へと戻った紺は、三百年前に「必ず迎えに来る」と約束してくれた秀誠を見つけ、一途に思いを寄せてくる。しかし秀誠は当然三百年前の話など知らず、生まれ変わりも信じないのだがーーー!?
海野幸先生『三百年の恋の果て』:ネタバレ!?感想レビュー
3つのお話が収録されていますので、ストーリーごとにご紹介します。
ストーリー1:三百年の恋の果て

タイトル作は、表紙のイラストに描かれている秀誠と紺のお話です。
雑誌に掲載されたお話ということもあって、展開は早いです。
神社の境内に、柵に囲まれてひっそりと存在する白い狐の木像。彫物師の秀誠は、その木像のあまりの美しさに目を奪われます。そして、ひょんなことから、その木像に閉じ込められていた妖し・紺が解き放たれる。
紺は、初めて目にするはずの秀誠を、300年前から待ち続けていたという。そこから二人の関係が展開されていきます。
一途に思いを寄せる紺、そんな紺を可愛く思う秀誠。でも紺が思っているのは300年前の秀誠で、現代の秀誠は過去のその男に嫉妬心を抱きます。
紺は、現代の秀誠は300年前とそっくりで、生まれ変わりだと信じるのだけど、現代の秀誠はそれを頑なに否定します。そこには彼が祖父と比べられてきた苦悩が見え隠れしています。
海野先生の作品は、決して複雑ではないのですが、しっかりとキャラには過去のトラウマや葛藤といった心情描写があります。
決して、不必要にドラマチックには描かない。ファンタジーではありますが、極端すぎる演出もありません。葛藤そのものは、誰もが経験しそうな事柄で、共感を呼びます。
ストーリー2:水鏡

秀誠と紺の後日譚。
秀誠のマンションで一緒に住むようになった二人。家事をこなしながら秀誠に尽くす紺ですが、ある日、秀誠の仕事場を見てみたいと頼みます。
なぜか断られてしまうのですが、どうしても見たくなった紺は、勝手にマンションを抜け出して、秀誠の後を追います。
しかし、仕事場で彼が作っていたのは狐の木像。もしや、また像の中に閉じ込められるのでは、とパニックになった紺は、妖しの術を使って自分の姿を消すのですが……。
短いお話ながら、人間と妖しとの複雑な関係性が描かれています。
タイトル作にも登場した神社の神主・祥真とその妖しの緋耀も再登場し、物語を盛り上げてくれます。
紺は、言葉遣いや言動から幼いイメージがあるのですが、300年以上は生きている設定です。ですから、一応年下攻め、なんですよね。www
ストーリー3:光の先

神主・祥真とその妖しの緋耀(ひよう)の関係を描いたお話です。
『水鏡』でチラッと登場する緋耀は、「自分の想いが叶うことはない」と語ります。そんな緋耀は一体何者なのか、そして祥真に対する想いは成就するのかがが描かれています。
長いお話ではないのに、祥真の生い立ち、妖しである緋耀の存在意義から恋愛成就までがしっかりと描かれていて、3つのお話の中でも特にこのお話が面白かった。
妖しである緋耀と紺もキャラや性格が違い、比べて読むのも楽しいです。
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まとめ
今回は、海野幸先生の初期作品から『三百年の恋の果て』をご紹介しました。
妖しというファンタジーもの、さらに3つのお話に分かれていて読みやすく、二組のカプについて楽しめるお得な!?1冊。個人的にもかなり楽しめた海野作品となりました。
さて、海野勉強会、まだまだ続きます。❤️
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