こんにちは。
今日は、海野幸先生の『黒衣の税理士』をご紹介します。
タイトル通り税理士と、中古車店を経営する893さんのお話。暴力的なシーンのない健全な!?お話ですが、受けの玲司を可愛いと思ってしまった私は、やっとBL小説の読み方をわかってきた!?
作品データ
黒衣の税理士
海野幸 Sachi Umino
イラスト:麻生海
刊行年月:2010年8月20日
出版社:二見書房(シャレード文庫)
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どんな作品?
海野幸先生の2010年作品。二見書房から8冊目の作品。全2巻。
海野先生は、2007年に二見書房のシャレードパール文庫から『ビューティー&ゴースト』でデビューされた先生です。今現在も、毎年数冊リリースされ、精力的に活躍されています。
この『黒衣の税理士』は、タイトルからもわかるように税理士のお話ですが、お相手は893。自分の仕事に自信が持てない税理士の玲司と、彼が担当することになった893が経営する中古車会社の社長・加賀美のお話。
加賀美は893ではあるのだけど、アクティブではありません。そのため、派手な争い事もなく、平和な日々を送っている。ですので、893の闘争をお探しの読者向けではありません。また、対する玲司も地味な税理士。
つまり、作品は全体的に地味です。w
しかしながら、二人のキャラの内面が丁寧に描かれています。麻生海先生のイラストも良き。
スピード感はあまりありませんが、二人には心に秘めた過去があり、その過去からどうやって前へ進んでいくかが描かれていて、楽しめました。
カップリング
攻め:加賀美(北川組。ミラー中古車店の社長。着崩した浴衣が色っぽい)
受け:黒崎玲司(加藤会計事務所から派遣された税理士。自分の存在価値がわからない)
あらすじ
税理士・玲司は、浴衣で過ごす社長の加賀美を筆頭に、クセのあるメンツが働くミラー中古車店の担当になる。
北川組の息がかかったこの中古車店は、社長含めて皆、税金の知識が全くない。
そんなメンバーたちを指導しようとする四苦八苦する玲司だったが、徐々に組のイザコザに巻き込まれていくーーー。
海野幸先生『黒衣の税理士』:ネタバレ!?感想・レビュー
全体的に面白かったです。
前半少しゆったりしていますが、後半はしっかりと物語が進んでいきますのでご安心を。
作品の魅力1:過去のわだかまり

物語の魅力は、丁寧に語られる玲司と加賀美というキャラ。
玲司
玲司は税理士ですが、クライアントの要求をすべて受けるような税理士ではありません。クライアントを教育し、手続きの基礎を身につけてもらうよう促します。893にも冷静に対応する彼の性格は、実は玲司の父親から来ています。
玲司の父も税理士でした。そして、困っているクライアントを助けたい。そんな一心で、相手の素性に関わらず仕事をしていた。そんな父親の性格に託けて、893のクライアントがどんどんと増えていきます。
玲司の父は、ある日事故に巻き込まれ、他界してしまいます。
事故そのものに懐疑的な玲司は、父親のようにはなりたくない、という思いから、帳簿を丸投げするようなクライアントには、徹底して帳簿管理の指導をします。
そんな性格、そして仕事のスタイルからも、クライアントから受け入れられないことも多く、玲司は自分の仕事の必要性、そして自分自身の存在価値がわからなくなっていきます。
そんな玲司は、加賀美から自分の仕事のやり方や成果を認識・評価してもらうことで救われていきます。
加賀美
893の加賀美にも、いくつかの過去の出来事がわだかまりとなっています。
加賀美の父親も北川組にいました。そして、父は組長に近い存在だった。ある日、闘争に巻き込まれて他界してしまう父親。加賀美も負傷します。
その事件をきっかけに、加賀美は父親がなぜ躊躇せずに組長のために命を捧げたのか、わだかまりとなり、心の底に残ります。
自分も父のように誰かを助けたい。守りたい。そうすれば、父親の気持ちがもっと理解できるのではないだろうか。そんな思いが加賀美にはあります。
自身が負傷したこともあり、組の中では価値がなくなり、中古車店の経営だけを平和にこなしていた加賀美でしたが、玲司と知り合い、彼と心に秘めていたわだかまりを共有したことで、加賀美のやる気スイッチが入ります。
作品の魅力2:恋愛譚

物語の前半は、中古車店のメンバーたちや組の事情、玲司や加賀美のキャラ背景が続き、スローペースで物語が展開します。玲司の心の変化はチラホラと見え隠れはするのだけど、そもそも玲司の恋愛対象が男性なのかどうかもわかりません。
玲司が加賀美に惹かれていく過程はわかるのだけど、彼の中に生じる葛藤は、加賀美に惹かれている事実を認めたくないのか、それとも同性に惹かれる抵抗なのか、読者にはわかりにくくなっています。
クライマックスのご褒美!?に向けて、徐々に気持ちは盛り上がって行きますが、それ以上に楽しめるのが、二人の立場が入れ違いになるところ。
お話は、中盤で転換点がやってきます。
心を許した玲司は、自分の秘密(父親のこと)を加賀美に打ち明けます。
読者にとっても、二人の過去にそんなことがあったのか……と、魅せられていくわけですが。
それまでは玲司の方が仕事に没頭していたのですが、その会話をきっかけに、また玲司が加賀美を鼓舞することで、だらけていた加賀美がやる気を出して変わっていきます。なんとも爽快です。
中古車店のメンバーたちも程よい存在感があるので、加賀美の変化はもちろん、周りも社長の変化に引っ張られてパワーアップしていくところに読み応えがありました。
気になった点:組の闘争

この物語はのちに続編がリリースされ、全2巻のシリーズです。
第2巻はわかりませんが、少なくても第1巻では、893の大きな闘争はありませんでした。派手なバイオレンスやドンパチもないので、893ものと聞いてハードコアなそれを期待している読者には向いていません。
ポジティブで、本格的なお話ではなく(いい意味で)ラノベ 感があり、読みやすかったです。
海野幸先生『黒衣の税理士』を今すぐ読む方法
海野幸先生『黒衣の税理士』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
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まとめ
今回は、海野幸先生の『黒衣の税理士』をご紹介しました。続編もリリースされていますが、この1冊だけでも十分に楽しめる作品です。税理士という地味な職業ではありますが(税理士さん、ごめんなさい w)それでも魅せてくれるのが、海野作品かなと思います。
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