こんにちは。
今日は、木原音瀬(このはらなりせ)先生のBL小説『深呼吸』をご紹介します。
私が読んだのはオリジナルの紙本で、登場するガジェットは少しレトロなものがありましたが、木原先生が描く男性像の人間的な魅力や表現に惹かれます。木原先生にはちょっと珍しい、温かみのあるお話です。
作品データ
深呼吸
木原音瀬 (イラスト:あじみね朔生) Narise Konohara
刊行年月:2011年11月20日
出版社:リブレ(ビーボーイノベルズ)
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どんな作品?
木原音瀬(このはら なりせ)先生の2011年作品。
漫画には絵柄にトレンドが現れるため、古さを感じられてしまいますが、文字(小説)は登場する街並みやガジェット以外からはそれほど古さを感じられることがないので、それほど時代を気にせず読むことができるのがうれしいですね。
外資系会社をリストラされたアラフォーの谷地(やち)と、アメリカ大学院卒のエリートで、仕事しかしてこなかった年下である榛野(はるの)のゆっくりじっくり進む恋物語です。
前半は『小説b-BOY』2002年11月号に掲載、そして後半は書き下ろしになっています。BL小説は読み始めたばかりで、雑誌や単行本化の過程はよくわかりませんが(どなたか教えて欲しい!)ずいぶんと時間がかかるものなんだなとびっくりしました。
木原先生の作品は、私がこれを書いている段階で6冊ほど読んでいますが、いつもどこか癖があり、普通の甘い恋愛ものではありません。
しかし、この作品はそれほど事件も起こらずじわじわと距離が近づいていく二人の関係に、妙にドキドキしてしまい、今までで一番好きな(まともな!?w)木原作品となりました。
前半は谷地の視点、そして後半は榛野の視点で描かれており、後半はなんと舞台がロンドンに移ります。ほどよいロンドン描写に、旅行などで行ったことのある方はより楽しめる内容になっています。
カップリング
攻め:谷地(やち。外資系に20年ほど勤めていたが、上司として入社した榛野によりリストラを告げられる)
受け:榛野(はるの。アメリカの大学院を卒業したエリートで、谷地の上司となった。年下。)
あらすじ
外資系の会社に20年ほど勤めていた谷地(やち)。出世に興味がなく、穏やかに仕事を熟していたものの、上昇志向がないと判断され、リストラされてしまう。そんなリストラを谷地に告げたのが、年下でアメリカの大学院卒のエリート、榛野だ。
そんな榛野が、お弁当屋でアルバイトを始めた谷地のところに、定期的に足を運ぶようになる。会社の嫌な思い出を忘れたいのに、定期的に足を運んでは谷地に話しかけてくる榛野。彼は一体何の目的があるのだろうーーー。
木原音瀬先生『深呼吸』:ネタバレ!?感想・レビュー

作品の魅力1:正統派ストーリー
木原先生の作品は、登場人物のスパダリ度は低く、少し暴力的な表現も多いお話を読みました。
王道のお話や、読者が求めていそうな癒し系のお話は、今のところまだ読んだことがありませんでした。
だからこそ、私はこの先生が好きなんです。
少し極端なキャラの中に見られる仄かな人間らしさや、人間の不可思議さが描かれており、そこが好きなんです。
この作品は、そんな木原先生にしては、比較的大人しい作品です。
雑誌に掲載された前半のお話は、アラフォーの谷地の視点から描かれています。
谷地は、自分には上昇志向がなく、強い野心もない。でも仕事はきちんとこなします。積極性がないため、残念ながら外資系企業には向いていなかったようですが、決してダメ男ではないんです。が、今はお弁当屋さんでアルバイトをしている。
谷地はプライドが高いわけではありませんが、やはり自分の年齢に比例しないプライベートの現状に引目を感じています。
そこに登場するのが、元上司で年下の榛野です。
谷地は彼なりに榛野を分析しているのですが、前半のお話からはそれがあまりわかりません。
なぜか定期的にお弁当を買いにきて、さらには小説を借りるという名目で谷地の家に毎週末立ち寄ることになります。榛野の目的は一体なんなんだと不思議に思いながらも、ゆっくり榛野という人間を観察していく谷地のペースが楽しいです。
後半は書き下ろしで、榛野の視点から描かれています。
エリート志向で、何事も効率的にこなそうとする榛野は、ゆっくり分析モードの谷地とは波長が合いません。でも、そのギャップに惹かれていきます。そして、榛野も少しずつ谷地の魅力を感じていく描写は、決して詩的で繊細な文章ではないにの、心に響くんです。
また、前半では年の差を感じませんでしたが、後半の描写から、谷地が年相応に落ち着いて物事を捉えるように描かれており、年の差の魅力を感じられました。
恋愛に関しても同じで、谷地はそれほど恋愛経験がないとはいうものの、自分のペースで、自分で納得して前へ進んでいきます。決して流されない。彼の性格もあるのでしょうが、穏やかながらしっかりとした決断力のようなものも、この作品で気に入った描写の一つです。
作品の魅力2:ロンドン

後半は、ロンドンが舞台になります。
仕事の関係で、榛野はロンドンに引っ越します。付き合っているわけではないものの、定期的にエアメールを交換している榛野と谷地、というポジションから後半戦がスタート。
手紙……。みなさん、書いてますか?☺️
榛野は自分の恋心を谷地に伝えましたが、谷地は友達だと思っている。
榛野の性的感情と、谷地の人間的な愛情の差に、榛野は苛立ちを感じ、友達ではないと言い放ちます。しかしながら、谷地の忍耐強さもあり、不思議な関係は続きます。
そして、ある日、谷地が突然ロンドンに遊びにきます。
これも、榛野に会いにいくという目的ではないんですが、そこら辺の詳細は別にリリースされている『番外編』に描かれているようですので、後日読んでみようと思っています。
ロンドンのフラットで繰り広げられる二人の接近戦。w
榛野の中には、当然谷地に対する強い気持ちが残っています。そして、突然好きな人を目の前に、いつも完璧にこなす仕事やプライベートでも小さなミスを連発する榛野。
大したことではないのに落ち込む榛野は、完璧主義で、効率を求める男なのがわかります。そんな彼が徐々に崩れていく様子を楽しめます。
感情をあらわにしながらも(うれしくなったり、嫉妬したり、忙しい奴 w)たまに谷地の小さな行動や発する言葉に気を取られるところも、魅力的な描写です。
また、お互いのセリフも、決して脳裏に引っかかる強い主張や難しい言葉もありません。自然の会話。榛野の方がどちらかというと作られたキャラの感じは否めませんが。
ロンドンの街並みの描写はさらっとあります。が、旅行などでロンドンにいかれたことがある方は、より物語がイメージしやすく、楽しめると思います。
ベーカー街と聞いて、あの地下鉄駅のホームズのロゴ、浮かんできませんか?パブと聞いて、ぬるいビールやまずいフィッシュ&チップスもすぐに浮かんできます。そんな楽しみ方もできたのがうれしいです。
作品の魅力3:谷地の攻め

数少ないBL小説を読んできて、それほど「萌え」のようなものはまだ感じたことがありませんでしたが、この作品の後半の谷地の描写に少し萌えました。
後半は榛野の視点で語られていますが、谷地が榛野を観察している様子が窺われ、さりげなくボディタッチを仕掛けてきます。そこに「……ほほぅ❤️」と思ってしまいました。
恋愛の兆し(少なくても谷地側の)がほとんどなかった前半でしたが、後半ロンドンまでやってきた谷地は明らかに変化している。そこにどんな変化があったのかは、番外編(デジタルで読めるようなので、本当に助かる)で後ほど確認しますが。
感情(欲情?)をコントロールできなくなった榛野は、勢いに任せて谷地に迫るシーン。
その攻めをさりげなくかわす谷地の行動や考え方は、木原先生のじっくり煮詰めた谷地のキャラ描写があったからこそで、マイペースながらも物事をきちんと観察、理解しながら物事を進めていく谷地の性格がとても魅力的に描かれています。
また、前半ではそれほど魅力的には感じなかった谷地が、後半繰り広げるマイペースな行動や彼なりの攻め方に、ドキドキしてしまったのは私だけでしょうか。また榛野を受け入れる際も、勢いに任せず、しっかりと距離感を縮めてくるところ……。
パブに行ったり、観光で外出してフラットに帰ってくるたびに「この後、何かあるのか!?」と年甲斐もなくドキドキしながら読み続ける自分にも笑いがこみ上げてきます。
そして、それは突然きます。
ロンドン版谷地の雰囲気に少し(良い意味で)違和感を感じていましたが、ある時を境に谷地の攻めが開始されます。前半では自分に引目を感じていた谷地が、急に年上の包容力を醸し出して攻めるのがすごく楽しめます。
谷地の甘い攻めにドキドキし、またずっと強がっていた榛野がぐだぐだに崩れて翻弄されていく姿を見るのも可愛く感じてなりません。以前読んだ木原先生の作品からはそれほど感じたことのなかったような甘い展開に驚きを隠せない自分もいます。
たった1週間弱のロンドンでの二人の時間が濃厚に感じられるのも、やはり木原先生の引きつける文章力や世界観なんだろうなと思います。
ふと思い出した作品があります。
作風は全く違えど、クリント・イーストウッドとメリル・ストリープが共演した『マディソン郡の橋』という恋愛映画を思い出しました。オリジナルはRobert James Wallerの小説ですが、映画も大ヒットしました。
この作品で、いわゆる不倫関係となった二人演じるキャラクターが過ごした4日間。そしてこのたった濃厚な4日間で知った本物の愛。
時間の概念をも考えさせれた作品でしたが、この『深呼吸』でのロンドンでの二人も6日ほどの時間。恋に落ちるのも、人を愛するのも、時には時間はそれほど関係なく、いとも簡単に自分が変わってしまうのだと考えさせられる作品となりました。
木原音瀬先生『深呼吸』を今すぐ読む方法
木原音瀬先生『深呼吸』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「ebook japan」かレンタル本が豊富な「
Renta!レンタ」です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
ebook Japan:クーポンが魅力です。無料漫画も多々あり。小説や実用書もあって便利です。
Renta!レンタ:レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入が可能。
紙本は楽天を利用しています。電子書籍もありますし、洋書の取り寄せも安心。
日本企業を応援しております。
紙媒体の本は、残念ながら販売終了となっていますが、中古本で見つけることは可能です。
また、この『深呼吸』の番外編がデジタルで読むことができます。
この番外編では、イギリス旅行の前後の谷地の様子、そしてその後の二人の様子が描かれた短編が収録されているとのこと。気になる方はぜひ!
まとめ
いかがでしたか。今回は、木原音瀬(このはらなりせ)先生の穏やかな恋愛もの『深呼吸』をご紹介しました。
木原先生の他作品を読まれた方のは、いや、少なくても私には、それまで読んだ先生の作風とは少し違って甘くじっくりと関係性を育んでいく二人が妙に新鮮で、すごくドキドキして拝読しました。
この作品のご感想、またBL小説でオススメなどありましたら、コメントいただけるとうれしいです。
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