こんにちは。
今日は、さちも先生のオメガバース作品『かしこまりました、デスティニー』の下巻をご紹介します。上巻もよかったですが、下巻は私も大好きな執事・宮内のお話。こちらは上巻よりももっと切なくなっております 😭
作品データ
かしこまりました、デスティニー 下巻
さちも
刊行年月:2016.06.10
出版社:ふゅーじょんぷろだくと
どんな作品?
さちも先生の代表作の一つ。
上巻は、2016年2月24日にリリースされたアンソロジー『オメガバースプロジェクト season 2-4』から『season 2-6』(2016/4/23発売)までに収録された3話。
下巻では、次郎と葵のそれぞれの執事である久藤と宮内に焦点がうつり、二人の葛藤が描かれております。
オメガバースがテーマになっていますので、世界観に馴染みのない方には理解するのに少し時間がかかるかもしれませんが、上巻を読まれた方なら、なんとなく仕組みがわかってきたかと思います。
また、下巻の巻末にも説明ページがありますので、そちらで設定を確認することもできます。
そもそも今時、オメガバースに馴染めないのは私だけかも。w
この紙本、本当に装丁がすばらしいです!
思い出話はしたくありませんが、昔は紙質やレタリング、口絵など、すべて含めて素敵な装丁の本がたくさんあったんですが、最近は物価上昇も理由なのか、紙質なども変わってきてしまいましたね。
さちも先生『かしこまりました』シリーズの順番
シリーズで4冊でております。
かしこまりました、デスティニー 上下巻
かしこまりました、デスティニー -Answer- 上下巻
今回は、全ての始まりである『かしこまりました、デスティニー』下巻をご紹介します。
カップリング
攻め:久藤(α。次郎の執事。イギリスで執事の勉強もしてきたクオーター。)
受け:宮内一郎(β。葵に仕えてきた執事。葵に想いを寄せ、葵と共に西園寺家で働き始める。)
あらすじ
西園寺家の執事長でもある久藤は、なぜか葵の執事である宮内と口論が絶えない。
仕事はできるがどこか口達者でイラついていた宮内の、葵への恋心を知ってしまった久藤は、宮内が自らの幸せへの追求をあきらめていることに苛立ちを感じながら、もっと宮内を知りたいと思うようになる。
久藤の揺らぐ心と、βの自分は幸せになれるのだろうかと不安に思う宮内は、どう関係していくのか。
さちも先生『かしこまりました、デスティニー』下巻のみどころ
作品の魅力1:宮内の葛藤
上巻で区切りがついたように見えたお話は、下巻になって、葵の執事である宮内にフォーカスがシフトします。
執事の宮内は「β(ベータ)」。
βは、普通の人種という設定らしいのだけど、優勢とされるαに比べると、能力は劣らないのにもかかわらずβというだけで「普通」に扱われます。Ωよりもポジション的には優位なものの、「番(つがい)」の仕組みがないため、Ωと特別なつながりを持つこともできません。
執事の宮内は、葵が幼い頃から見守ってきました。そして、想いを寄せてきた。
しかし、オメガバースの世界には宿命というものがある。Ωである葵を番にできるのはαのみであり、βの宮内は何もできない。
しかも、このお話では、次郎と葵が「魂の番」という設定になっているため、βの宮内の想いは到底叶わないのです。
自分が葵の一番になることができない。
では、葵の幸せが自分の一番の幸せ、と割り切ろうとします。
執事長の久藤は、犬猿の仲だった宮内の想いを知り、心が揺らぎ、もっと彼を知りたいと思うようになります。
久藤はα。オメガバース社会的にも優位で、家系にも恵まれいる久藤。しかしそんな彼にもトラウマとなった過去があります。そして、宮内のことを知っていくたびに、誰かのしあわせのために自分の幸福を犠牲にしている彼の姿に惹かれていきます。
そう、この二人、どちらも少し複雑な過去があります。ぜひゆっくりと読んでみてください。
それぞれのつらい過去から、宮内と久藤の距離が近づいていきます。
でも、たとえ宮内の気持ちが久藤に向いたとしても、αの久藤にはいずれ「Ωの番」が現れるはず……。
自分は幸せになれるのだろうか、やはり相手の一番になることはできないと思う宮内は、久藤との関係とどう向き合って、対応していくのかが読みどころです。
・・・正直、上巻で描かれていた次郎と葵のお話よりも、個人的にはこちらの方に心に響きました。いわゆる「普通」になるのがどれだけ難しいか……
また、どうしても変えられない運命のようなもの(ここではαβ云々)は、本当に自分で切り開くことができるのか。
自分の力ではどうしようもない不公平なこと、理不尽なことが世の中たくさんある。昨今のクレイジーな地政学の情勢に思いを馳せつつ、読みました。
作品の魅力2:ギャップ萌え
話の展開上、下巻では、ガードの硬い宮内がちらほらと自分の素を久藤に見せていきます。
宮内のいろんな顔をみられるのが面白いです。
それに、さちも先生が使うオノマトペや手書きのセリフはおもしろいものが多く、全体的にはシリアスなんですが、さらっとユーモアが散りばめられています。
もちろん、絡みシーンもあります。
下巻では、あまり想像していなかったところで絡みシーンがぶちこまれていて、意表をつかれました w
そして、ちょっとずるいなって思ったのは、幼少時代のお話や子供が登場すること。
さちも先生が描く子供のイラストが、これまたかわいいんですよ〜 ❤️❤️❤️
さちも先生『かしこまりました、デスティニー』を今すぐ読む方法は、いつもなら電子書籍なんですが、この作品に関しては、電子書籍がありません!!!
さちも先生のX(旧Twitter)でも事情が説明されていましたが、出版元であるふゅーじょんぷろだくととトラブルがあったようで、契約終了となったようです。
そのため、電子および紙媒体はどちらも販売終了となっております。
今現在は、中古本でのみ読むことができます。
どちらにしてもこの作品、装丁がとても素晴らしいので、ぜひ状態の良い中古本を見つけてお読みいただければと思います。(先生のファンなら、新品でほしいですよね。。。)
さちも先生『かしこまりました、デスティニー』をより楽しむ方法
こちらのお話、ドラマCDがリリースされております。
中古では見つけることができるかもしれませんので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
オフィシャルサイトはこちらです。
まとめ
今回は、さちも 先生の代表作である『かしこまりました、デスティニー』をご紹介しました。お話は上下巻で完結していますが、シーズン2として『かしこまりました、デスティニー – Answer –』もリリースされています。そちらもとてもよかったので、もしこの作品が気に入った際には、続編もチェックしてみてください。
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