こんにちは。
今日は、山田ユギ先生の『ピクニック』(1巻完結)をご紹介します。
先日、無事に山田ユギ先生の勉強会が終わり、主要な作品に目を通し終わりましたが、どの作品も先生らしい描写、せつなさがあって、とても充実した読書タイムでした。
作品データ
ピクニック
山田ユギ Yugi Yamada
刊行年月:2004年09月15日
出版社:芳文社(花音コミックス)
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どんな作品?
山田ユギ先生の2004年発売のコミックス。
タイトル作『ピクニック』を筆頭に、花音コミックス『俺にだって言い分がある』番外編や読み切りが詰まった短編集になっています。元ネタが分からなくても楽しめるので、ご安心を。
しっかりとBLしながらも、コミカルに、時にはシリアスで切なく魅せてくれる男性キャラたちの魅力がたっぷりの1冊でした。
BL雑誌『花音』2002年9月号から2003年11月号までに掲載されたお話、そして同人誌発表のものなどが収録されています。
山田ユギ先生は、1994年にデビューしたようですが、高口里純先生(花のあすか組!)のアシスタントもされていたようで、このあたりの時代に馴染みのあるものにとっては、興味深いです。
漫画はどうしても絵柄や表現にレトロ感を感じてしまうかもしれませんが、BLの歴史を追えるような作品を探している私、さらには初老の域に達した自分は、少し古い絵柄でも、古いガジェットにも馴染みがあるので、問題なく楽しめました。w
2000年前後の作品は、読み切りの作品が多く、人情味溢れるお話が魅力。
1冊の読後の満足感が素晴らしいのです。
山田ユギ先生『ピクニック』:ネタバレ!?感想レビュー

ストーリー1:ピクニック
このタイトル作は、1、2、3(前後編)に区切られ、80ページほどにまとまっている可愛らしいお話。
野田は、同じゼミ仲間の是枝(これえだ)といい関係。でも、是枝は以前女性の先輩と付き合っていたことがあり、ノンケだった是枝を自分と関係を持たせてしまったと、野田は罪悪感を感じています。
物語は野田の視点ではじまりますが、チャプターごとに是枝にも視点が移ります。そのため、あまり感情を表情に出さない是枝がどれだけ野田にメロメロなのかが窺えます。そして、是枝の素直な愛情を感じ取った野田の照れ隠しが愛らしく、照れながらも大胆に肌を重ね合う二人… w 萌
ユギ先生のお話は、セリフも素敵ですが、互いの視線が熱い!
BLらしい表現の中にも、信頼、愛情が深まっていく二人の関係性がぎっしりと詰まっています。
山田ユギ先生は北海道出身。先生の作品にはたびたび北海道が登場するのも、北海道大好き人間の自分には嬉しいポイントです。
ストーリー2:5秒で忘れる

ちょっと変わったタイトルのこのお話は、16ページの短編……なのに、しっかりと魅せてくれる作品です。
高校生・克巳が、自分の父親が通う雀荘を取り仕切る岸岡とのちょっとしたあれこれを楽しむお話です。
岸岡に恋心を抱く克巳のピュアな気持ちと、大人のフリをする岸岡の淡いお話……のはずなのだけど、読み進めると、克巳は『ピクニック』の野田の元カレです。
さりげないスピンオフストーリーになっていました。
ストーリー3:僕にだって言い分がある・番外編1
ストーリー4:僕にだって言い分がある・番外編2
ストーリー5:君が隣で眠るわけ

この3つのお話は、1999年発行の花音コミックス『僕にだって言い分がある』の脇キャラのお話。残念ながらまだオリジナルの方は読んでいませんが、コメディ色が強い及川と橋本(18歳と19歳)のお話。
ユギ先生が描く及川の顔の表情が、鬼の形相でとにかく笑えます。だけど、お話そのものは、しっかりBLしていて、仄かに切なくて、楽しめるそれです。
及川と橋本は同居しているのだけど、まだしっかりと体を重ねたことはないようで、重ねるまでのあれこれがコミカルに描かれています。
及川はガングロで、見た目は結構経験豊富に見えるのですが、実は彼氏彼女いない歴18年でした。対する橋本の方は、経験豊富なキャラのようだけど、及川の前では急にピュアのように錯覚します w
ストーリー6:だけど時々やさしいの

身寄りのない子供と、枕さがしで日暮しする男のお話。
このお話は当然フィクションなのだけど、昨今、身寄りのない子供はフィクションの世界だけではなくなってきたし、それ以上に増えているのが身寄りのない大人(高齢者)たち……。
何気ない短編ですが、社会問題も考察させられた作品です。
厳しい環境の中にも希望や小さな幸せが描かれていたこの時代の背景や、BL作品の存在と意義をも考えさせられたお話です。
ストーリー7:わたしたちどうなるの
ストーリー8:どうなるもこうなるも

札幌の支社に勤める会社員の小西主任と新人の安藤。本が好きな小西と、本は好きだけど文章が書けない安藤の不思議と心地よい関係性。
二人の恋物語は、安藤の東京本社への転勤が決まってからスタートします。互いになんとなく自覚している秘めた思いも、言葉に出すこともできず、安藤は東京へと向かいます。
二人の間の何気ない会話や仕草、空気感から描かれる絶妙な距離感がユギ先生らしく、また哀愁があります。でも必ずコミカルさを漂わせて希望へと繋ぐ物語の展開の手法が大好きです。
この物語に「文通」という言葉が登場します。
すっかり手紙を書かなくなってしまった現代だけど、自分の指の振動から文字を書いて、相手へ伝える手紙は、やっぱりパワフルだなと思う。
生まれてからデジタルで育った世代はわかりませんが、アナログからデジタルへの移り変わりを見てきたものとしては、アナログがなくならないでほしいし、もっと五感を使って楽しみたいものです。イラスト・漫画や手紙だけでなく、音楽や映像など全てにおいて……。
山田ユギ先生『ピクニック』を今すぐ読む方法
山田ユギ先生『ピクニック』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
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まとめ
今回は、山田ユギ先生の短編集『ピクニック』をご紹介しました。ちょっぴりはちゃめちゃなキャラも添えつつ、やはり切なさのある物語で楽しませてくれるユギ先生。BL作品からわずかな希望、元気をもらう。この当時のBL作品は、そんな作風が多かったかもしれません。
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