木下けい子先生の『17 初恋』:三島先生に幸せは来るのか

木下けい子
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こんにちは。

今日は、可愛らしい絵柄が素敵な木下けい子先生の『17』シリーズより、最終巻『初恋』をご紹介します。

攻めも受けもちょっとシリアスで暗い感じの二人でしたが、どちらも前へ一歩進める…のかな!?

作品データ

17 初恋

木下けい子

刊行年月:2019.03.15

出版社:大洋図書

どんな作品?

恋ごころを拗(こじ)らせた有岡と三島が繰り広げる年の差カップルのお話。

17歳の高校生男子、有岡。彼がふとしたことから学校の教師、三島に恋をするところからシリーズのお話が始まります。

『17シリーズ』は全3巻でておりますが、こちらはシリーズの最終巻(3作目)。

「初恋」と題された最終巻で、長年の三島の恋と、有岡の卒業、それぞれの想いが前へ動き出します。

17シリーズ(全3巻)
17 生徒
17 教師
17 初恋

カップリング

攻め:有岡敬広(ユキちゃんとも呼ばれてる)

受け:三島(少しずつ心の揺れを感じ始めた)

あらすじ

長年親友へ片思いをし、叶わぬ恋に絶望し、一生ひとりで過ごそうと思っていた三島。自分の親友への想いの苦しさを、有岡に重ねて見ていたが、夢中で前へ進もうとする有岡を見て、自分だけが動こうとしていないのだと気づきます。

そして、やっと親友へ自分の気持ちを伝え、有岡との関係も断とうとするのだが、どこか有岡を拒否できなくなっていきーーー。

木下けい子先生『17 初恋』のみどころ

作品のみどころ1:三島の一歩

三島先生、やっと一歩を踏み出します。(よかった…。)

はっきりと伝えていなかった親友への気持ち。ここから精算していくのだけど、ちょっとお酒の力、借りましたね。w それとも流れで、かな。でも、この親友・津田も優しい人ですよ。友情は失いたくないことをしっかり伝えているし、三島の要求にも答えている。親友への信頼と思いやりがないと、なかなかできない行動ですね。

一方、有岡に対する対応はいつも疑問。w

なんでそうなっちゃうかな。三島先生もどうやって有岡と距離をとっていいかわからないのかもしれないですね。

自分が親友・津田を長年想ったことで傷ついた心。そんな想いをしてほしくないというエゴ的な思いやりで有岡をずさずさ傷つけます。罪な教師ですよぅ〜。

有岡は卒業し、もう会うことはないと思っていた三島。でも、一人でプラネタリウムへ行った際にふと彼の後ろ姿を目にします。そして、思わず彼の背中を追いかけてしまう。

いつの間にか三島から一歩踏み出しているやじるし転換がわかります。

作品のみどころ2:夜空がつなぐ時間

この巻でも夜空が登場します。三島と有岡をつなぐ星。さらっとしか登場しないのだけど、やさしい効果アイテムになっています。

星の見える階段から空を見る有岡の1ページ。とっても素敵です。木下先生、後ろ姿を使ってますよね。まぁ夜空を見せたいからなんでしょうが、この後ろ姿から切なさを感じてならない。

何気ない日本の風景。

だけどこういう場所って、他の国にはなかなかないんです。

その地域の、その場所。

自分の場所。

二人の場所。

空に光る星たちはどこからでも見えるのにね。

この1ページ、私は妙に惹かれてしまいました。

三島は有岡を海沿いのある場所へつれていきます。ここから見える星はもっとすごい。東京の近くでは珍しくきれいに星が見える場所。

三島の有岡への申し訳ない気持ちをここで謝るのだけど、それって、有岡に…でしょうか。有岡を傷つけたのもそうだけど、自分が有岡のために前へ進めないことにも、また自分自身にも申し訳なく思ったのでは?罪悪感、あったんじゃないですかね…。

自分を動かすのは自分にしかできない。

一歩を踏み出すかどうかは、自分にしか決められないーーー。

木下けい子先生『17 初恋』:ネタバレ注意!?感想・レビュー

以下、少しネタバレがありますのでご注意ください。

正直なところ、1作目を読んで、心理描写がちょっと物足りないなって思ってました。

でも、シリーズ3冊を全て読んで、心の揺れはゆっくり描かれているし、言葉よりも彼ら(特に三島)の微妙な仕草の変化で読み取っていける作品でした。達観して読むよりも、主観的に、感覚で読んだほうが楽しめるかと思います。

木下先生の作品はまだ数冊しか読んだことがないけれど、この作品は隙間の多い作品。

ふわふわ系じゃないので、心情を感じ取らねばならず、自分の五感をフル活用せねばいけません。

だけど、3巻まで読んで、三島先生に妙に心が囚われてた自分に気づきました。

この先生、ホント悲観的なんですよ。恋心が実らないのは仕方ないとして、だったらおじいちゃんまで一人でいいって思っちゃうし。でも、(自分を含め)孤独を感じたことがある人は、共感できるかもしれませんね。

孤独感を埋めるもの。恋かもしれないし、友情かもしれないし、人じゃなくて物や行動かもしれない。いろんな選択肢が増えた今、心の隙間の満たすもの、ゆっくり見つけたいです。

表面上のお話は、それほど深く感じないのですが、じっくりと、自分の体験などに落とし込んで読むことで、作品の奥深さが出てきます。どの年齢の方も読むことはできるのだけど、ある程度大人の人でも、自分なりに物語の余白を考察しながら埋めていくことができます。

木下けい子先生『17 初恋』を今すぐ読む方法

木下けい子先生『17 初恋』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。

最初の数ページをサンプルで今すぐ読むことができます。

私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。

コミックシーモアは頻繁にクーポン割引あり。

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まとめ

今回は、木下けい子先生の『17 初恋』をご紹介しました。

17シリーズの最終巻。BLですが、直接的な絡みシーンはほとんどありません。シリアス系で切ないお話を求めている方など、いかがでしょうか。

余談ですが、この本、私は紙で購入しています。装丁がとても素敵なんです。また紙本って、表紙をとるとまた違う絵柄や漫画も楽しめますよね。作品によって紙とデジタルを使い分けております。

3部作、全部読んでください。この3巻の表紙のような笑顔を見ることができて、本当によかった。

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