座裏屋蘭丸先生『シャングリラの鳥』:アポロの考察
今回は、座裏屋蘭丸(ざりやらんまる)先生の人気シリーズ『シャングリラの鳥』シリーズから、寡黙な攻め、アポロについて、私なりの考察をおしゃべりしようかなと思います。
物語は現在連載中のため、この考察は2巻までの考察となります。
申し訳ありませんが、ネタバレを含んでおりますので、できれば、物語を一読してから、こちらの記事をお読みください。
朴訥の男 アポロ
アポロは・・・寡黙すぎる・・・。w
2巻までは、少しずつしか変化がなく、考察がまだ難しいです。
ただ、多くの読者は彼に釘付け、ですよね!?私だけじゃないですよね!? w
座裏屋先生の描く男性は受け攻め関係なく素敵ですが、今回のこのアポロ、個人的に、今までになく魅力的な男性です。多分それは、本当にいそうなリアリティある男性だし、こういう男性を実際に身近で見てきたからだからだと思います。
生真面目で、頭もいい。引き締まった肉体、アメフトで鍛えたがっちりしたガタイ。そしてスクリーントーンで見えなくなってはおりますが、フィーが仕切りに呟くサイズ云々…ははは。w 奥さんに対する一途な気持ちと、傷ついた心。
リアル以外の何者でもない。
美化された10頭身の長身が多い普通の漫画絵と違って(それはそれで気にしませんが)、しっかりとしたアメフト体型(上半身にしっかりと筋肉がついたちょっとバランスの悪い感じ)が全編を通して描かれております。(これ、重要!)
フィクションだからこそ、リアリティのあるディテールで、物語に奥行きがでます。
アポロがシャングリラに来た理由
それは
疲弊ーーー。
アポロは離婚調停中。慰謝料などでお金が必要になるだろうと、早く稼げそうなシャングリラでの仕事をしにシャングリラへやってきた。ダークブラウンの下ろした髪、ヘイゼルの瞳(ヘイゼルの色をググっちゃいましたよ)、朴訥で笑わない。そんな彼は、離婚などで傷つき、疲れ切っていた。いわばフィーと同じような理由でシャングリラへとたどり着いたのです。
オーナーは、アポロの洞察力に一目置いたのではないでしょうか。
アポロは、相手の行動や仕草から、心の内側を読み取って、洞察するタイプのようです。フィーのみでなく、周りの面々への気配りや交流なども冷静にできる。そんなアポロの性格と洞察力が試情夫にぴったりなのでは、とオーナーは思ったのかもしれません。
手が投影するアポロの過去と心情
「手」は意外なほど嘘が下手で
人格やその人間の過去までも投影していることがある
引用:座裏屋蘭丸 『シャングリラの鳥 I』, 2019
※このかっこいい台詞、1巻の冒頭にあります。無料のサンプルで読むことができます。
フィーが無意識のうちに手を見つめるのは、彼は手から相手を探るから。
フィーが初めてアポロと出会うシーンで、アポロの薬指に指輪の跡を見つけます。そしてその後もアポロの手や行動から、彼の優しさを汲み取っていく。アポロの触れ方から、彼の女性の扱いは男性のそれとは違うこと、彼が長年つみあげてきたワイフとの関係をフィーは感じていきます。
アポロの初めてのお仕事シーン。彼のアプローチが全てを物語っています。
このシーンは個人的にも最も大好きなシーンで、電気を消すところから始まり、指が肌に優しく触れる感触(絵からどのくらい優しいかさえ伝わってくる)、質感などがひしひしと伝わってきます。座裏屋先生の画力だから描けるシーンだなと思いますし、表現の仕方も先生ならではだと思います。
アポロの手の動きを追うことで、彼の心情の変化を窺えます。
優しいながらも業務として仕事をこなすアポロの手。これが徐々にフィーへ近づいていきます。不安定なフィーを引き留め、ほおをなぞり、自分の方へと導く。これが全くの無意識のうちにしているから怖いですね。w アポロはフィーよりもかなり年上であり、まるで子供を優しく愛でるようにーーー。
アポロの心にゆらぎが生じたとき。それも、手指の存在がありましたね。
指輪の跡が残っていることで、右手なのか左手なのかが分かり易いです。
作品全体のセリフ一つ一つも、さりげなく話している会話なのだけど、しっかりと細かな心理的なヒントを含んでいるところは、座裏屋先生のやさしさではないでしょうか。しっかりわかりやすくは説明しないけれども、読者に読み取りやすくしてくれる、もしくは先生が読み取ってほしい部分なのか。
そして、2巻の最後へと向かいます。
一人の女性を長年愛した男
アポロは離婚調停中。長年結婚していた妻と問題が生じ、別れを決意します。しかし妻は別れる気がなく、また第三者も絡み、揉めることになります。
アポロは一人の女性を長年愛した男。愛を知らないフィーとは正反対です。フィーとの会話のふしぶしから、二人の価値観の食い違いが垣間見られます。
この問答が、なんとも面白く興味深い。フィーは愛を知らない。幼少時代からの悪い環境で経験したことから、人を愛するとどういう気持ちになるのかがわかりません。しかし、だからこそアポロへ問いかけます。
それって一人の相手に自分を独占させるっていうこと?
引用:座裏屋蘭丸 『シャングリラの鳥 I』, 2019
アポロが当たり前のように人を好きになり、付き合い、結婚し…。だからこそ、奥さんが浮気をした際に「自分は裏切られた」と思った。しかし、フィーは問います。
自分以外の男と遊んだから嫌いになっちゃったの?
引用:座裏屋蘭丸 『シャングリラの鳥 I』, 2019
これらの問いに、ふとアポロの揺れが見え隠れします。アポロの、無意識に一人の女性を愛したことへ対する少なからぬ自問、自分の気持ちの変化への疑問も入っているのではないか。なぜ妻へ対する愛情が消えてしまったのか。いつ、どうやって消えてしまったのか。
そして急にできた心の穴にどう対応していいのかがわからないアポロは、ゆっくりと揺らぎ出した自分の心情に気付き始めます。
座裏屋蘭丸先生の『シャングリラの鳥』を今すぐ読む方法
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まとめ
フィーからの悪戯を頑なに拒んでいたアポロ。2巻では警戒しながらも、少しずつフィーに気を取られていきます。
今回はアポロのキャラを私なりに考察してみましたが、いかがでしたか。もちろん、これらの考察は2巻までを読んでの考察です。たくさんの見落としがあるかとは思いますが、今後も何度も読み込んでいって、何か新たな発見があればうれしいです。また皆さんの考察も教えていただきたいです。☺️
1巻と2巻の表紙を見てみてください。この表紙のイラストには、すでに彼らの心情が表れています。
なぜフィーの手の位置がそこにあるのか。
なぜアポロは足を組んでいるのかーーー。
万一まだこの素晴らしい映画のような物語を読んでいらっしゃらない方がいれば、ぜひ読んでみてください。
あ、大人の女性にオススメです。
エロス、あります。w
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