作品データ
シャングリラの鳥 I
座裏屋蘭丸
刊行年月:2019.04.10
出版社:プランタン出版
どんな作品?
2017年10月より、雑誌『Canna』にて連載を開始した、ユートピアのような娼館「シャングリラ」で繰り広げられる男娼フィーと、離婚調停中のストレート、アポロのお話。(2023年5月現在、連載中)
先生のもう一つの人気シリーズ『コヨーテ 』とは全く違った雰囲気のお話です。
舞台設定はこちらの方が個人的に好み。
オリエンタルなデザインが美しい娼館「シャングリラ」がなんとも素晴らしいデザインで、作中に出てくるどのシーンでも雰囲気を盛り上げてくれます。
この南国の雰囲気が素晴らしい!そして相変わらず座裏屋先生の甘い絡み表現が絶妙です。これは完全、大人の女性向けの作品です。絡みシーンという意味ではなく、大人の恋の物語。
座裏屋先生の圧倒的画力、キャラ設定、世界観、ストーリーの全てがマッチした作品で、連載中ながらもうこれは間違いなく先生の現状の代表作。
このフィーとアポロが繰り広げる二人の距離感、心の揺れ、そしてサイドのミステリアスなお話の全ては、日本の読者だけでなく世界の読者を魅了しております。私は英語版も読んでおりますが、素晴らしい世界観です。
ぜひ南国の微風とともに、フィーとアポロの二人を覗いてみましょう。
カップリング
受け:フィー(男娼、ストリート育ち。オーナーに深謝している)
攻め:アポロ(ストレート。離婚調停中で、お金のためにオーナーの娼館で働く)
第1巻のあらすじ
アポロが「シャングリラ」にやってきた!
とある孤島にある「シャングリラ」は男娼のみが集まる完全会員制の娼館。ここで、離婚調停中のアポロは、試情夫(しじょうふ)として雇われます。
シャングリラで働く男娼のフィーは、アポロを専属とし、試情夫としての仕事を教えることに。ストレートのアポロと、複雑な過去を持つフィーの関係がスタートします。
座裏屋蘭丸先生の『シャングリラの鳥』の魅力
座裏屋先生の作品の中でも、この『シャングリラの鳥』が一番バランスよく描かれており、先生にしか描けない世界観のある作品だと思います。
キャラも、フィーはわかりやすいのだけど、離婚騒動で疲れているアポロが今後フィーとの距離が近づくにつれ、どう変化していくかが楽しみでなりません。
作品の魅力01:南国の潮の香りただよう離島
座裏屋先生の作品は、海外を舞台に展開されるものがほとんど。今回は南国の雰囲気ただよう離島が舞台になっております。
ただ、東方の職人が7年の歳月をかけて作った、とあるので、海に囲まれた離島ではあるにせよ、南国かどうかはまだわかりません
家具などを覗くとバリの雰囲気がありますが、外や車などは普通に西洋なので、バリのような南国の雰囲気が楽しめる娼館、ということでしょう。スマホがあるので、時代設定は現代です。
家具やタペストリーからバリのようなアジアンテイストになっていて、素敵です。
また開放感のある部屋などもあり、夜のシーンなどはライティングの効果も丁寧に描かれており、正直映画を見ているよう。
コミックスだけでなく、ドラマCDなども合わせて楽しむと、もっと面白いです。
作品の魅力02:完全ストレート、アポロの甘いアプローチ
フィーもアポロもどちらも魅力的なキャラではあるんだけど、このアポロには完全にやられた。w
アポロは朴訥(ぼくとつ)なストレート。190センチほどの長身、がっちりとしたガタイで、手も大きく、ハンサム。離婚調停中ということで、左手の薬指に指輪の跡が残っています。一人の女性を愛してきた男。
一方フィーは、ストリート育ちで、男性相手に仕事をしてきたこともあり、アポロのようなストレートの男性の考えや行動、仕草などがすごく気になる。そしてちょっと手フェチのようです。アポロの触り方ひとつひとつに、今までとは違う何かを感じとっていきます。そしてアポロにいろいろとちょっかいをかけるのだけど、さりげなくかわされて、その駆け引きから二人の関係が微妙に近づいていくのがわかります。
作品の魅力03:ストリートキッド、フィーの過去
フィーの過去については、1巻では小出しに出てきます。本土のスラム街で育ったフィー。時折過去のフラッシュバックがあったり、フィーの会話の節々から厳しい環境で育ったことが窺(うかが)えます。
過去のトラウマを抱えながらも、シャングリラで仕事をするフィーは今は前向きに生きている。しかしそんな彼に、妙な写真が送られてくるようになります。これはのちにミステリアスなサイドストーリーへと繋がっていきます。
そしてフィーは手フェチ。
アポロの左手の薬指に目がいったのも彼が手フェチだからでしょうか。作中、ところどころで手がクローズアップされています。もしかして、昔何かあったのかな…。
手といえば、ちなみにアポロの手は本当に大きく、アメフト経験もある筋肉質な体格です。背は高い設定なんだけど、上半身のバランスが結構大きい感じ。
作品の魅力04:小鳥たちの日々
小鳥たち。この物語では男娼たちのこと。フィーとアポロの関係性は非常に面白くて惹かれるのですが、この小鳥たちの日々の行為も描写されています。座裏屋先生が描く「エロス」ですね。ふとPET契約を思い出してしまう・・・。
無理矢理のものはありませんが、快楽を求める行為がたまに描写されております。それと正反対にフィーとアポロの行為があるので、より二人の触れ合いにより奥深いものを見出せます。
座裏屋蘭丸先生の『シャングリラの鳥』を今すぐ読む方法
座裏屋蘭丸先生の『シャングリラの鳥』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
最初の数ページをサンプルで今すぐ読むことができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「
Renta!レンタ」です。(どちらも数ページのサンプルあり。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
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電子書籍は単話で購入も可能です。
紙の本は、シンプルに楽天ブックスを利用しています。ア○ゾンよりも発送が丁寧で、助かっています。
この表紙の絵、エロい・・・と思わないでください。エロスはありますが、この仕草一つに意味があるんです。お話を読んでいくと、この表紙の意味がわかります。それに、腰回りの肉付き、サンセットの色合い、そして布地の模様まで… 芸術です。❤️
座裏屋蘭丸先生の『シャングリラの鳥』を120%楽しむ方法
この素晴らしい座裏屋蘭丸先生の『シャングリラの鳥』の世界。
漫画以外に楽しみ方はあるのか…。
安心してください。あります!
ドラマCDです。漫画も面白かったですが、陽気な南国の世界観がプロの声優さんによってクオリティの高いオーディオドラマになりました。私はドラマCDでもこの作品を追っているので、感想を書いております。ご参照ください。
https://zaccamanga.com/2023/05/22/zariya04-7/
まとめ:座裏屋ワールド全開!
座裏屋先生の作品を追いかけていて、このシリーズは今までとは違ったオリエンタルな雰囲気もある作品。メインキャラたちの作り込まれた設定背景と、パワーアップした先生の描くエロティックな世界。
この作品は大人の女性に向けた作品。フィーのちょっと子供っぽいところや、アポロの包容力など、いろいろな角度から魅力を楽しめる素晴らしい作品です。
BLってカプを第三者として観察するっていう見方をすると思っておりましたが、正直いうと、私は完全にアポロにやられてます…。もう好きすぎて。寡黙で魅力的な男性。ほんと素敵。座裏屋先生の描くちょっと垂れ目の男性ってほんと… くぅぅ…
明らかに、他のBL作品とは違う領域にある作品です。これをBLというカテゴリーで終わらせてしまうのはなんとももったいないんですが、何せエロスがあるため、どうやって広めて行こうか…。w
また、洋画好きな人にも読んでほしい作品です。漫画なんですが、映画のような世界が広がっています。
あ、もちろんエロスがOKな人のみ、お願いします。w
読む際には、じっくり、一コマ一コマ目を凝らして読んでみてください。残念ながら、サラッと読む作品ではありません。彼らの心情の揺れを読み解いていくのは、読者の私たちの仕事。そしてそれをすることで、読者も物語の一部になることができます。☺️
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