こんにちは。
今回は、凪良ゆう先生の『おやすみなさい、また明日』をご紹介します。
この作品は重くはないのだけど、ちょっぴり悲しいお話でした。
作品データ
おやすみなさい、また明日
凪良ゆう
Yuu Nagira
イラスト:小山田あみ
刊行年月:2014年01月31日
出版社:徳間書店(キャラ文庫)
どんな作品?
凪良ゆう先生のキャラ文庫からの書き下ろし作品になります。
凪良先生は、代表作『美しい彼』を含めてキャラ文庫からたくさん出版されていますね。この作品、凪良先生の作品をいくつか読んでみたいなぁという方にはぜひ読んでほしい1冊です。
なかなか売れない小説家のつぐみと、下宿先の管理人・朔太郎のお話です。
長年の恋人にフラれ、悲しみに暮れていたつぐみ。小説家という不安定な仕事をしているつぐみは、引っ越したくても、家族がいないため保証人が見つからずに困っていた。
そんな時にたまたま知り合ったのが朔太郎。彼が管理しているアパートに下宿させてもらうことになり、二人の関係が近づいていきます。
ただ、普通のお話では決して終わらないのが凪良先生ですね。朔太郎は記憶障害に悩まされています。そのため、ことあるごとに手持ちのノートにメモをしていく。そんな彼と、もう誰とも恋愛はしないと決めたつぐみが、少しずつ惹かれていく物語。
本編の後に、ショートが収録されています。
あとがきによると、凪良先生はこのショートが書きたくてこの物語を書いたんだとか。
確かに、このショートが必要だったか、賛否両論はあるかもしれませんが、私個人としては、このショートがあったから物語が私の中で完結したと思います。
二人は何を幸せだと感じるのだろう。そして、二人の幸せとはなんだろう……。最後まで思いを馳せる作品でした。
そしてもう一つ、小山田あみ先生のイラストが素晴らしかった!
つぐみも朔太郎も、名前からは想像つかないような男らしいハンサムボーイで、惚れ惚れしてしまいました。
私はラノベを読む際にはほぼ必ず先に挿絵をパラパラと確認するのですが、この本は確認した際に自分の好みの絵を発見し、挿絵見たさに最後まで読み進めてしまいました。挿絵パワー、すごかったです w
カップリング
攻め:朔太郎(祖父から受け継いだアパートの管理人。記憶障害を悩まされている。)
受け:つぐみ(小説家。なかなか売れないようだが、朔太郎はつぐみの作品のファンと知る。)
あらすじ
長年の恋人にフラれ、傷心中の小説家・つぐみ。今まで住んできた部屋も出て行かねばならなくなってしまった。小説家という不安定な収入の職業で、さらに親親戚がいないため、保証人も見つからない。途方に困っていた矢先に、朔太郎という青年と知り合う。話を聞くと、彼は祖父から引き継いだアパートの管理をしているそうだ。
つぐみは知り合ったことをきっかけに、アパートへ下宿させてもらうことになる。
偶然にもつぐみの作品のファンだという朔太郎。しかし彼はいつもノートを持ち歩いていて、ことあるごとにノートにメモをしている。なにを書いているんだろう。少しずつ知っていく朔太郎の問題と葛藤について、そしてもう恋愛はしないと決めたつぐみなのに、朔太郎に惹かれていくーーー。
凪良ゆう先生『おやすみなさい、また明日』:ネタバレ!?感想・レビュー
作品の魅力1:記憶
本を読んで本当に面白かったもの、インパクトのあったものは、例えば老化して衰え始めた私の頭脳でさえも、長く記憶している。たとえ数週間後に忘れたとしても、記憶そのものはまだ脳の中に存在するので、何かをきっかけに思い出します。
ただ、外傷などによって傷ついた脳は、なかなか治療が難しい。これほどまでに日々優秀な科学者や医者たちが研究を繰り広げている人間の体も、脳に関しては残念ながらほとんどわかっていないことが多いという事実。
この物語で、朔太郎は外傷による記憶障害を患っています。一部の記憶を思い出すことができない。暗いもやもやした闇は、ゆっくりと朔太郎の記憶を侵食していき、朔太郎の心も奪っていきます。そんな彼の過去から、しっかりものの朔太郎は、会社勤めを辞めて、祖父のアパートの管理をしている。
記憶がなくなっていく恐怖。若い読者はあまり自分自身、もしくはまわりの人で見たことがある人は少ないかもしれませんが、中年の私は、しょっちゅう見ています。自分の両親もそうだし、かくいう自分も実は一時的な記憶に障害があったことがある。また最近は心の病気を患っている人も多く、記憶力の低下を感じる人も多いかもしれません。
人間は「死」を恐れるのだけど、ゆっくりどこかが壊れていくのを自分で認識する怖さ、または周りの人へ与える恐怖、本当に恐ろしいです。ましてや体内で侵食されていく過程は、大抵の場合は本人さえ認識できない。世の中には怖いものがたっくさんあるし、それこそがホラーだと思います。
この物語は、そんな朔太郎を無念に思うかもしれない。悲しく感じるかもしれない。でも、やはり、私はラストで凪良先生が書いてくれたショートを見て、朔太郎やつぐみの選んだ「幸せ」を実感しました。そして人生の脆さ、残酷さもこのやさしい世界観の中にも表現されているなと思います。
作品の魅力2:小山田あみさん
小山田あみ先生がイラストを担当しています。非常に申し訳ありませんが、小山田先生のプロフィールはわかりません。が、イラストやまんがを描かれている方のようです。個人的にどストライクなイラストでして……w
作品を読むと、つぐみも朔太郎も、どちらかというとふわっとしたキャラだったため、文章からくる彼らの印象と、小山田先生が描かれているイラストとは完全にはマッチはしないのですが、そんなのお構いなしに口絵が素晴らしすぎるっ!
すっかり惚れ込んだので、小山田先生のイラストを追って、他の作品も読んでみようと思っています。
ちなみに先生が漫画は、どんな作品があるのだろう……
凪良ゆう先生『おやすみなさい、また明日』を今すぐ読む方法
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私がよく利用する電子書籍サイトは「ebook japan」かレンタル本が豊富な「
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まとめ
今回は、凪良ゆう先生の『おやすみなさい、また明日』をご紹介しました。少し悲しいお話ではありますが、主人公の二人が感じた時の流れ、幸福感……。そんな空気感を読み取ろうと、楽しみました。凪良先生の作品は、お話そのものだけでなく、作品の空気感も毎回違うので、作家読みをしても刺激的だと思います。この作品は、そんな凪良先生の良作の中でも特に好みの作品となりました。
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