こんにちは。
今日は、凪良ゆう先生の『積木の恋』をご紹介します。
コミカライズもされていますが、私はまず小説から拝読しました。
作品データ
積木の恋
凪良ゆう
Yuu Nagira
イラスト:朝南かつみ
刊行年月:2011年10月25日
出版社:プランタン出版(プラチナ文庫)
こちらは新装版で、2024年にプランタン出版よりリリースされたもの。短編『ありがとう』が収録されています。
私は2011年リリースのオリジナル初版を読みました。
どんな作品?
コミカライズもされた作品で、それに合わせて2024年に新装版もリリースされています。
BL小説雑誌『小説花丸 2007年秋の号』に掲載された『恋愛詐欺師』というお話が、『積木の恋』に改名されました。そして、書き下ろしのショートが2本収録されています。(新装版はさらにもう1つ、短編が追加されています。)
主人公の蓮は詐欺師。ゲイをターゲットに恋に落ちたふりをして、相手から金を巻き上げる。そしてそこにあっさりとハマってしまったのが、父親が病院を経営しているという御曹司の加賀谷。
この物語は、一読した後で数回軽く読み返してみたんですが、どうしても二人の容姿ははっきりとイメージすることができなかった不思議な作品です。
でも、決して作品がイマイチだったわけではありません。
難しい環境ながらもなんとか自分の人生の舵を切ろうとしている加賀谷は魅力的に見えます。恵まれない環境で育った蓮でしたが、加賀谷と出会うことによって、今まで囚われていた、もしくは思い込んでいた事が少しずつ変わっていく過程も、今まで私が読んだ凪良先生の作品とは違い、希望のある描かれ方をしています。
凪良先生の作品はこれまでに5、6冊読みましたが、フィクションではありますが、どの作品にも強いメッセージが含まれています。直接的なメッセージなのか、先生が信じているものがダダ漏れしてしまっているのかはわかりませんが、必ず凪良先生の作品を読むと、部分的なセリフや描写に先生の顔が思い浮かびます。
先生のキャラ、強い感じがします w
カップリング
攻め:加賀谷(実家は総合病院。御曹司なので、蓮の格好のターゲットに……)
受け:蓮(恋愛詐欺師。通帳に印刷された数字が増えていくのを見るのが趣味)
あらすじ
男性専門の恋愛詐欺師・蓮は、バーで格好のターゲットを見つけた。加賀谷総合病院の御曹司、加賀谷聡だ。背は高いのに、どこか頼りなさそうで地味な加賀谷をバーで見つけ、さっそくすり寄っていく蓮。
ターゲットから金を巻き上げるのが彼の仕事で、通帳の残高がどんどん増えていくのを見ては安堵する。恵まれない環境で育った蓮はそんな生活を送っていた。
バイトに忙しいふりをしながら加賀谷に詐欺を働いていたが、仕事に忙しくなっていった加賀谷は蓮を自分のマンションへ招き、家事を手伝ってくれないかと頼む。
そうして、時間ができると加賀谷のマンションで食事をしたり、部屋の掃除をしたりとするようになる蓮。なぜか加賀谷から逃げられなくなっていくのだけどーーー。
凪良ゆう先生『積木の恋』:ネタバレ!?感想・レビュー
作品の魅力1:3部に分かれたお話
1部は、雑誌に掲載されたお話です。
私がこの作品を好きになったのは、ある程度正義のようなものがなされたからかもしれません。
雑誌掲載分のお話で、蓮は自分がしたことを償うことになります。そして彼はもう二度と詐欺をしないと心に誓います。
騙された方の加賀谷の行動に納得がいくかどうかは読者の好みや考えにもよるかもしれませんが、フィクションとして考えれば、そこに加賀谷の性格がにじみ出ていて、作品の魅力にもなっていくのかなと思います。
メインのお話は蓮の視点で語られていますが、彼の考えや加賀谷に対する気持ちが徐々に変化している過程が描かれている。そして彼の視点を通して加賀谷がどう見えているのかを読者は見ていくことになります。
いわゆる私の萌えですが、そもそも「外見は地味だけど内面がかっこいい人」が好きです。
加賀谷は(先生の描写からは)地味なようですが、しっかりと物事を観察しているし、自分で自身の人生の舵を取ろうとしているところがカッコよく見えます。
裕福な家族に恵まれたことは確かに特権ではありますが、こういった家族からのプレッシャーは、まぁ酷いものですね。読み手によっては加賀谷の状況に共感する人もいるでしょうから、彼のカッコよさが見えてくるかもしれません。
2つ目のお話は、クリスマスシーズンのお話。
可愛らしくアドヴェントカレンダーなんて小洒落たアイテムも登場します。二人の関係性が偽りのないノーマルなものへ変化している過程が見受けられてホッとするのだけど、濡れ場の時の加賀谷のちょっとした変貌ぶりに笑えます。
この書き下ろしのお話の中で、加賀谷の母親が登場したり、新しいキャラも登場し、物語が発展していきます。
専門職に興味のある自分としては、正直にいうと、蓮の「恋愛詐欺師」のテクニックをもっと見たかったのが本音ではあるのだけど、こういうお話の展開も楽しいかもしれません。
作品の魅力2:マネーリテラシー
詐欺師ということで、蓮は加賀谷からお金を絞り取ります。
400万ほど……でしょうか。
そして、通帳の金額の0を数えると、幸せに感じるのが蓮です。
蓮のマネーリテラシーの無さに、いち読者としてホッとしました w
だから、彼はきっと加賀谷と恋に落ちたのでしょう。0を数えると幸せを感じるということで、貯金額は1千万以上はあるかと思います。1億あれば、もう家も購入しているでしょうし。もっとお金の使い方を知っていたら、口座に貯金することもしないでしょう。今の感覚で言えば、インデックス投資くらいはするでしょう。ただ、それだけ貯金をするだけの忍耐力はある。私はそこに蓮の可愛さを見出しました。
加賀谷から巻き上げた金額だけで400万円。きっと彼の口座にはそんなまとまった現金があるのに、ただただ口座に入れている蓮がかわいそうになる。
その反面、加賀谷は裕福な家庭に生まれたこともあり、お金の使い方を知っています。収入も、研究員としてのお給料だけでなく、手持ちの資産からいわゆる不労所得がある。寝ている間にもお金を作る方法を知っている。
このマネーリテラシーの対比も面白く、自分には考察するポイントとなりました。
この物語が描かれたのは2007年。この頃の日本円はまだ、2025年の今に比べると価値がありましたね w でも、貨幣は人々の信用の基に成り立っている。信用を失えば、ただの紙切れ。加賀谷一族はいち早くお金の価値を現物化して、そこからさらにお金を生み出している。
……蓮が加賀谷と出会い、改心して本当によかった。w
凪良ゆう先生『積木の恋』を今すぐ読む方法
凪良ゆう先生『積木の恋』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「ebook japan」かレンタル本が豊富な「
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どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
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凪良ゆう先生『積木の恋』をもっと楽しむ方法
この作品は、漫画家・黒沢要先生によってコミカライズされています。こちらも要チェックです。
小説とは違った雰囲気や空気感が楽しめます。
まとめ
今回は、2024年に新装版もリリースされた『積木の恋』をご紹介しました。
どちらかというと地味な作品ではあるのですが、両キャラの成長も見られ、また改心していく蓮を見届けられてよかった。愛が、必要ですね。今の世界には、もっと愛情が必要です。
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