凪良ゆう先生『天涯行き』:前へ進む気力を失った男と崖っぷちの男の行方

凪良ゆう
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こんにちは。

今日は、凪良ゆう先生のBL小説『天涯行き』をご紹介します。

タイトルから絶望的な印象を受けますが、物語はそれほど暗くありませんので、ご安心ください。w

作品データ

天涯行き

凪良ゆう Yuu Nagira
イラスト:高久尚子

刊行年月:2012年06月30日

出版社:徳間書店(キャラ文庫)

どんな作品?

凪良ゆう先生のキャラ文庫から2冊目の作品。

キャラ文庫からは、凪良先生のBL代表作でもある『美しい彼』もリリースされていますが、たくさんの良作が出ております。

初めてのキャラ文庫からの作品は『恋愛前夜』というコメディになり、この作品はそれに続くシリアスな物語になります。

家を出て行ったある人を待ち続ける遠召(とおめ)と、たまたま知り合い遠召と暮らすようになった高知(たかち)のお話です。凪良先生の作品らしく、どちらにも壮絶な過去があり、それぞれが出会い、なんとか前へ進もうとするお話です。

凪良先生の作品は、シチュエーションや文体などを毎回挑戦的に変えているようですが、この作品はシリアスながらも少しキラキラした描写が多いかなと感じました。

また、遠召の過去は少し過酷なため、地雷のある方は事前に確認することをオススメします。

カップリング

攻め:高知(たかち:ある日遠召の住む街にやってきた。名前も知らない状態だったが遠召の家に住ませてもらうことになる)

受け:遠召(家を出ていった誰かを待ち続ける遠召。戻ってこない人を待ち、前へ進めない状態が続いている)

あらすじ

遠召はある日、豆腐屋で男と知り合う。名前も知らない男だが、どうやら行く場所がないのか、何かから逃げているのか……。そんな彼を家に住まわすことになった。

やる気を失い、人生も前へ進む目的がないような遠召の些細な世話をすることにある高知。そんなある日、二人は唇を重ねる。

お互い隠さねばいけない過去があるのだが、そんなことを忘れて深い関係になっていくのだがーーー。

凪良ゆう先生『天涯行き』:ネタバレ!?感想・レビュー

凪良ゆう先生の作品は、BLの代表作と言われている『美しい彼』やコミカライズされた作品など、読んできました。

ファンと言えるほど拝読しているわけではないため対比はできませんが、この作品は自分が今まで読んだ凪良先生作品の中では、少しパンチが弱かったかなと思います。(ただ、それでも好きな作品です。)

好きなところと、物足りないところがあります。

遠召の過去

好きなところは、遠召の過去とそこからくるキャラ描写です。

物語は、二人の視点のどちらからも語られています。チャプターごとに(時間は進みますが)視点が交互に語られ、自分の好みのスタイルでした。

冒頭から遠召のキャラ描写があります。彼が何らかの過去があり、そこから抜け出せない。まるで歩むのを忘れてしまったかのようにある時点で全てが止まってしまったような感覚。

自分にも似たような経験があるからかもしれませんが、彼のキャラはすんなりとイメージすることができました。

遠召の過去のお話は、徐々に物語に組み込まれていきます。

冒頭から「匂わせ」はあるのですが、ミステリアスな展開が待っていました。

遠召の幼少時代のお話にある心情描写はリアリティがあるかどうかはわかりにくいですが、物語の進み方は的を得ていると思います。

高知の過去

対するのが、高知の過去。

高知もシリアスな過去を持っています。ただ、遠召と違うのは、「時間」です。

遠召の過酷な過去は、幼少時代から始まります。
ある意味、まだ「常識」を肌感覚でしかわからない子供の時代に、事件が起こります。

でも、高知の場合は違います。

そのため、時間的なバランスが少し不安定に感じ、自分の中では各々の過去を理解するプロセススピードに誤差が生じ、モヤモヤした気持ちが残りました。

高知の過去もとても重大な事柄です。

でも、お話は全体的に比喩表現が多く、どこかキラキラした文章のように感じました。そのため、ことの重要さがあまり伝わってきません。

高知のお話は特にその感があり、フィクション感が残ってしまいます。

遠召の過去がシリアスながらもスムーズに頭に入ってきたため、高知のお話とのバランス調整がうまくいきませんでした。

そして、それは二人の恋愛スピードにも関係してきます。

当然ながら、巻末に向けて恋愛の感情がクライマックスへと向かっていくのですが、私には残念ながらそこまでの昂りを感じられなかった。

二人が惹かれ合うのもわかるし、肌を合わせるのもわかるのだけど、高知がリスクを犯した後の段階で、そこまでの熱量を二人から感じることができなかったです。

もちろん、文字的にはクライマックスなのですが、文体が合わなかったのか……。シリアスなお話も、お伽噺のように終わってしまいました。

エンディング

そして、エンディング。

みなさんはどう感じられましたか。

クライマックスで盛り上げた後、最後の最後まで描かれていた部分が少し間延びしているかなと感じてしまいました。

決してこのラストに不満があるわけではありませんが、この作品こそもう少しそっけなく終ったら、より二人のクライマックスの関係性が心に残ったかもしれないと、ふと思いました。

作品全体を読んで、いつも通り安心して読み終わりましたが、今まで読んできた作品たちに比べると、どこかモヤモヤが残る作品だったかなとは思います。

個人的には、重い作品やシリアス路線はやはり好きなので、もっと読んでみたいです。

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まとめ

今回は、凪良ゆう先生の『天涯行き』について、おしゃべりしました。

自分の感想を述べただけですが、これはあくまで私の感想。

この作品に対する感じ方は読者それぞれが違いますし、また作品そのものはオススメしたいので、ご紹介させていただきました。読まれる時は、念のため地雷チェックをされることをオススメします。

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