こんにちは。
今日は、大島かもめ先生の『チキンハートセレナーデ』をご紹介します。大好きな『仕立て屋と坊ちゃん』にも匹敵する渋みのある男たちの色気にやられました。オススメです!
作品データ
チキンハートセレナーデ
大島かもめ
Chickenheart Serenade
Oshima Kamome
刊行年月:2018.11.16
出版社:コアマガジン(drap コミックス)
どんな作品?
大島かもめ先生の6冊目の単行本。
BL雑誌『drap(ドラ)』2017年11月号から2018年7月号まで連載されたものを収録。
かもめ先生の作品は初のコミックである『仕立て屋と坊ちゃん』など拝見しましたが、コミカルながらも大人のアダルトな雰囲気が素敵な先生です。
セフレとして気軽な付き合いだったハヤトとヒロミチ。20代後半の二人が、少しずつ環境の変化に不安を感じ、そして二人の関係の変化に心地よさを感じていくお話です。
1巻完結ながら、まとまりの良い作品で、かもめ先生の作品の中でも人気が高い作品だと思います。
若い読者から大人の読者まで虜にするこの作品、未読の方はぜひ読んでおくべき作品だと思います。
カップリング
攻め:松根央倫(まつねひろみち:家族と関係を保つためにも女性と結婚しようとするが・・・)
受け:倉橋駿斗(くらはしはやと:呉服店に勤務。幼少時代から愛を感じたことがなかった。)
あらすじ
倉橋と松根はセフレとして気軽な関係を続けてきて3ヶ月ほど。年齢も本当の名前も知らない。そんな関係だった。
ある日、倉橋が務める呉服店に、お得意様と一緒にやってきた松根。倉橋の前で見たこともない顔を見せる松根は、どうやらお得意様の娘さんとお見合いをするらしい。以前ゲイが家族にバレて混乱したことを打ち明けた松根は、それ以来、同じ道を歩まないようにと女性と結婚を考えている。
倉橋は、できる兄がいることで、子供の頃から家族の愛情を感じなかった。兄だけが自分を理解してくれる相手だと思っていたが、そんな兄も結婚して、もうすぐ子供が生まれる。自分を理解してくれる人がいないと感じる倉橋。
自分の場所を模索する二人、そして二人の関係もただのセフレの関係から、少しずつ心を開き、情を感じ始める。
大島かもめ先生『チキンハートセレナーデ』のみどころ
作品の魅力1:アダルトな世界
大島かもめ先生の作品は、『仕立て屋と坊ちゃん』を拝読しましたが、2巻のあのアダルトな中年の雰囲気がここにも存在します。カップルは20代後半の設定みたいですが、30代のような大人の雰囲気があります。
アダルトといっても、やらしいわけでなく、大人っぽい、そして濡れ場も深みのあるものになっています。
夜のホテルで待ち合わせする二人。松根は喫煙者ということもあり、大人な雰囲気が作品全体にあります。が、コミカルな描写もほどよく散りばめられており、重すぎない。
作品の魅力2:それぞれの葛藤
この作品は、それぞれの葛藤が描かれています。
松根は、自分がゲイだということが一度家族にバレています。家族はパニックになり、結局「ゲイを治す」となんとか事を収めたものの、それがトラウマとなり、女性と結婚することを考えている。
仕事の関係で、なぜか倉橋が松根の家を訪問するシーンがあり、実際にその家族と対面するところが面白いです。そして家族内での松根の立ち位置!?も会話からちらっと見え隠れするのが興味深い。
ホテルでしか会っていなかった松根と倉橋は、ご飯を食べに行ったり、ゲームセンターで遊んだりと、少しずつ関係が変化していきます。そして松根が倉橋の家に遊びに来た際に、偶然倉橋の兄の佑斗が訪れます。
倉橋は、子供の頃から両親からの愛情を感じたことがなかった。兄の佑斗は文武両道で、両親の関心は兄にしかいかなかった。そんな中、兄の佑斗は自分に愛情を注いでくれたこともあり、兄が大好きだったが、兄が結婚をし、子供が生まれることを知ると、ますます家族の中での自分の存在がなくなっていくのを感じていた。
そんな二人の葛藤。ゆっくりとお互いの心の内を打ち明けていきます。
そしてある日、倉橋は気付きました。
女性と結婚を考えている松根とこのまま一緒にいると、自分はまた居場所を失ってしまう。そう思い、自ら松根との関係を断とうとするのですが、時はすでに遅すぎたようで、彼の心は松根に奪われてしまっていたーーー。
作品の魅力3:愛
この本、それほど厚くありません。161ページ前後でしょうか。何なら少し薄めの単行本なのに、物語の厚みがすごいんです。愛が、あるんです。
物語の最初から、描き下ろしを含めた最後のページまで、一切妥協が感じられず、しっかりとまとまっています。アダルトな雰囲気も最後まで続いていますし、コミカルな描写も含めて程よい緊張感が続きます。
これだけしっかりとした1冊を描ける先生なので、それに比べると、先生の『コントラディクト』を読んだ時の、あのもやもやした気持ち・・・😅 私の直感は間違いじゃなかった!w (コントラディクトが好きな方には申し訳ないのだけど……。)
1冊でもしっかりとした物語の厚みが出せるし、愛は表現できるんだ、と実感させてくれる作品です。
シンプルに、でも丁寧に。巧みな心情描写と表情で、最後まで一気に引き込まれます。
大島かもめ先生『チキンハートセレナーデ』を今すぐ読む方法
大島かもめ先生『チキンハートセレナーデ』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「
Renta!レンタ」です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
コミックシーモア:クーポンが魅力。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。
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2つの番外編
このお話には、2つの番外編があります。
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まとめ
今回は、大島かもめ先生の『チキンハートセレナーデ』をご紹介しました。
ほどよい葛藤と、二人の距離感。人気のある作品であることは知っていましたが、実際に読んでみるまで、これほどインパクトのある作品とは知りませんでした。かもめ先生の作品は全部読んだわけではありませんが、この作品の画力にはやられました〜
最近は若者CPも描いていらっしゃいますが、個人的にはじわりと愛を育むこの作品、大好きです。そして、BLの歴史に刻まれる1作として、ぜひ読んでおくべき作品だと思いました。ぜひ皆さんの感想も教えていただきたいです。
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