こんにちは。
今日は、志水ゆき先生の名作BL『是 – ZE -』から、9巻で描かれる彰伊&阿沙利カプについてご紹介します。どのカプも大好きですが、この二人は、唯一無二。二人には信頼と愛情が溢れております。
作品データ
是 -ZE- 9巻
志水ゆき Yuki Shimizu
刊行年月:2010年5月15日
出版社:新書館(ディアプラス)
どんな作品?
『是 – ZE -』は、BL雑誌『Dear+』にて、2004年4月号から2011年5月号まで連載されたお話。
志水ゆき先生の代表作の一つで、コミックスは全11巻(全60話)の長編シリーズ。
言葉で人間を操る言霊師、そしてそれに使えるカミサマのカップリングを中心に、志水ゆき先生が作り上げるスピリチュアルな和の世界観で繰り広げられる群像劇です。
それぞれのカプの恋愛模様はもちろんのこと、異なった時代背景、ユニークな小物たち、そしてスピリチュアルな設定をメタファとして、ファンタジーながらもメッセージ性のある世界観に魅了されます。
ラストのクライマックスに向かって練り込まれたお話の展開も素晴らしく、志水先生の画力もグングンと上がっていくのも見どころです。
『是 – ZE -』そのものの魅力については、以前ご紹介させていただきました。
カプその1:雷蔵&紺(こん)。コミックスでは、1、2巻を中心に二人の関係性がコミカルに描かれています。カップル成立した後も、箸休め的な場面でたびたび登場しては、読者を楽しませてくれます。
カプその2:玄間&氷見(ひみ)。コミックスでは、3、4巻で描かれています。氷見の一途な想いが通じ、無事にカップル成立。玄間は不器用ですが、自分なりに愛情表現しているようです。
カプその3:守夜&隆成。コミックスでは、5、6巻で描かれています。この二人のイチャコラシーンはほとんどないんです。クールな守夜と、氷見がいいなと愚痴る隆成。w
カプその4:近衛&琴葉。最年少の琴葉の一途な愛情と近衛の過去、そしてゆっくりと言霊師の一族・三刀家についても明らかになっていきます。
今回ご紹介する9巻では、1巻から少しずつ描かれていた彰伊と阿沙利の過去がついに明らかになります。8巻の終わりに驚くような序章がありましたが、9巻の展開はどうでしょうか。
9巻には、BL雑誌『Dear+』2009年9, 10, 12, 2010年1, 2, 3月号に連載された6話が収録されています。
カップリング その5
攻め:彰伊(しょうい:三刀家の現在の当主。阿沙利へ深い愛情を抱いている)
受け:阿沙利(あさり:もともとは力一のカミサマだっがが……)
9巻のあらすじ
彰伊(しょうい)は三刀家に生まれた宿命に悩まされていた。悪の言霊を使うことを強要され、自由のない世界から逃げ出すためには「自らの死」しかないのだろうか。
自分の運命を受け入れることのできない彰伊の前に現れたのは、彰伊の祖父にあたる力一(りきいち)のカミサマだったという阿沙利だった。
誰も信用できないこの世界で、阿沙利を信じてもいいのか。
力一がいなくなった後、阿沙利はその原因とも言える彰伊のカミサマになることを拒んでいた。
しかし力一の願いを叶えるべく、彰伊へ従うことにしたのだが、力が弱っていた阿沙利にはじわりとタイムリミットが忍び寄ってきていたーーー。
志水ゆき先生『是 – ZE -』9巻:ネタバレ!?感想・レビュー
彰伊の存在
彰伊は自分の「宿命」たるものに悩まされていました。
言霊師としての家業を守らねばならない三刀家に生まれた宿命。
拒絶することは認められず、自分の意思を持ってはならない、自由のない環境に生まれます。
弟の琴葉が当主のなるまでの辛抱といわれながらも、隔離されている琴葉の状況をも目の当たりにし、ことの重大さを知る。
災厄を自ら受けることで、心のどこかで死によって悪の呪縛から解放され、自由になることを望んでいたのかもしれません。
阿沙利が現れたことで、自分の味方を得たと思いたかったのだと思います。
そこには深い愛情も育っていくのだけど、自由がない中で、誰かを愛することだけが許された。それが、彰伊に唯一許された自らの意志だったのだと思います。
唯一無二の存在
彰伊と阿沙利の間で育んだ愛情は、お互いを唯一無二の存在としました。
愛する人であり、味方であり、自分を信頼し、守ってくれる人。いつもそばにいてくれる人。
以前、志水先生のインタビューを拝見した際、「どんな人にでも、世界のどこかでたった一人でも、自分の味方になってくれる人が必ずいるということを書きたい」とおっしゃっていました。
BLの世界では、それが愛する人であると描かれているのですが、いろいろな形の愛情があるのではないか。それは恋愛に限らず、アガペーのような愛情かもしれません。
『是 – ZE -』のキャラの中では、特にこの彰伊&阿沙利のお話からそれを感じました。
阿沙利から読み取る人生の儚さ
阿沙利はカミサマキャラの中でも、特別に描かれています。
他のキャラたちは、主人とカミサマの関係性が近づいていく過程が描かれていたけれど、この二人の物語は、すでに長年育んだ愛情があるところからスタートします。
できることができなくなっていき、最期が近づいていることを悟る阿沙利。
それは、彰伊も同様です。でも、誰にも最期の瞬間がいつなのかはわからない。
彼らのお話は、「死生観」がテーマです。
長年時を共に過ごしてきた二人は、愛情は深まりましたが、それは相手を傷つけることでもある。
志水先生が創り上げた世界観だけでなく、それは現実の私たちの世界でも言えることかもしれない。愛する人と一緒になることで、幸せなこともあれば、相手を傷つけることもある。
そんな相反する関係性が、言霊師とカミサマという特殊設定をメタファに描かれているのかもしれません。
言霊も、言葉の威力を表しています。特に、この作品では災厄としている。言葉は暴力であり、使い方を間違えると、相手の命をも奪ってしまう。まさに現実の話ですね。
玄間&氷見のエピソードでもありましたが、白紙になったカミサマの儚さ、そして「紙」の無機質な感じは、雷蔵のおばあちゃんの話でも語られています。
魂のないものーーー
でも、たとえ相手を傷つけてでも、お互いの存在価値を見出す。
信頼し、助け合っていく。
それこそまさに、愛する人と生きること。
このカプの読者ターゲットは、癖(へき)の問題だけでなく、幅広い年齢層に受け入れられるのでは、と思います。
BL作品としてサラッと楽しむこともできるのだけど、その背後にある志水先生のメッセージ、哲学、そして死生観さえ見えてくる、非常に奥深い作品ですね。
さて、物語はいよいよ最終章。
人形師としてカミサマたちのメンテナンスを行ってきた和記。彼の過去、そして彼らをつなげる力一とは何者なのか。10、11巻でクライマックスへ突入となります。
志水ゆき先生『是 – ZE -』9巻を今すぐ読む方法
志水ゆき先生『是 – ZE -』9巻を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「ebook japan」かレンタル本が豊富な「
Renta!レンタ」です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
ebook Japan:クーポンが魅力です。無料漫画も多々あり。
Renta!レンタ:レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入が可能。この作品は時々レンタル可能になります。
コミックシーモアの月額コミック読み放題が一番お得!BLも読み放題!
紙本は楽天を利用しています。電子書籍もありますし、洋書の取り寄せも安心。
日本企業を応援しております。
志水ゆき先生『是 – ZE -』をもっと楽しむ方法
番外編
『是 – ZE -』は、オフィシャルの番外編特集、そして、コミックスに収録されていない番外編がいくつか電子リリースされています。読み逃しているファンの方も多いのでは?要チェックです!
是-ZE- かみのほん
全プレペーパーや限定ペーパー、そしてサイン会のプレゼントペーパーなどなど、現在では入手困難なものを1冊にまとめてくれました。リリース当時に読むのが特権ではありますが、後からファンになった人やイベント参加が困難な読者にはうれしいかぎりです。ラブ度、高いです!
是-ZE- 春の雪 (前後編)
オールメンバーが山の宿に集まるお話です。前後編。
是-ZE- 春、逢い見る
春の嵐が到来!というお話です。このメンバーのお話がまた読めるのが本当にうれしいですね。レンタ Renta! さんのサイトでは、レンタル可能です。
ドラマCD
うれしいことに、この物語はドラマCDがリリースされています。
彰伊と阿沙利のお話がまとまった1枚があります。
コミコミスタジオさんにまだ「通常盤」の在庫があるようです。

また、ディアプラスからのオフィシャル告知で、中国語ラジオドラマも出ております。
(サイトは中国語です。)

興味のある方は、是非チェックしてみると面白いですよ。
まとめ
今回は、志水ゆき先生の人気シリーズの1つ『是 – ZE -』から、お話の冒頭からミステリアスに描かれていた彰伊と阿沙利をご紹介しました。琴葉、彰伊と、三刀家の謎が少しずつ解けていきます。そして、奇跡とも言える、白紙になったはずの阿沙利の復活。希望を失っていた和記が、いよいよ過去jから前へと進むことになるのでしょうか。物語は10、11巻へのクライマックスへと向かいます!
↓↓↓アニメイトブックストア(電子書籍)では、アニメイト限定小冊子も電子で楽しめます!漫画をたくさん読まれる方は要チェック!
コメント