こんにちは。
今日は、凪良ゆう先生の『ニアリーイコール』を読んだので、ご紹介しようと思います。
作品データ
ニアリーイコール
凪良ゆう
イラスト:二宮悦巳(にみやえつみ)
刊行年月:2015年08月25日
出版社:新書館(ディアプラス)
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どんな作品?
凪良ゆう先生の初★ディアプラス作品。2015年の作品です。
単行本の小説は、雑誌に連載されたものが単行本化されるものと書き下ろしのものがありますが、この作品はすべて書き下ろしのものです。
凪良ゆう先生の勉強会と称して、先生の作品をランダムに(ある程度自分の興味がありそうなストーリーやカバー絵で)選んで読んでおりますが、そのうちの一つです。
二宮悦巳先生の優しそうな表紙のイラストに惹かれて読み始めましたが、想像していたようなあたたかい世界観が広がっています。でも、お話そのものはアップダウンがあり、シビアな内容も含まれています。
多分、主人公二人のケミストリーにどこか温かさがあるのでしょうか。
幼い頃に両親を亡くし、親戚といい関係を築けず一人暮らしを始めた仁居(にい)と、元同僚の高校教師で人懐こい性格の国立(くにたち)のお話です。20代のお話だけどゆっくりと、でも丁寧に二人の関係性が交差していく様子が描かれています。
凪良先生の作品は、まだ数えるほどしか読んだことがありませんが、個人的にはこういう丁寧な作品も小説で楽しめるんだなと実感した作品になりました。
物語はプロローグ、3つのお話、そしてエピローグの計5つのエピソードで構成されています。メインは仁居の視点ですが、エピソードによって国立に変わることもあります。
カップリング
攻め:国立(くにたち:優しい男性。過去に家庭でのトラウマがある。妹が一人いる。)
受け:仁居(にい:長い間一人でいるため、人付き合いが少し苦手。)
あらすじ
若い頃に両親を亡くした仁居(にい)。引き取られた親戚ともうまく行かず、高校生の時から一人暮らしをしている。
高校で初めて恋に落ちたが、自分の気持ちを抑制できず、相手に重たいと言われてしまい、失恋に終わった。その経験が長い間仁居を悩ますことになる。大学時代に付き合った彼ともうまくいかず、きっとこのまま恋愛には縁がないのだろうと思っていた。
ある日、たまたま電車で声をかけられたのが、元同僚の国立だ。同じ高校で教師として仕事をしていたときはほとんど話はしなかったが、声をかけられてから、彼と会うことも多くなる。
二人で猫を拾ったことをきっかけに、少しずつ国立を気になり始めるのだがーーー。
凪良ゆう先生『ニアリーイコール』:ネタバレ!?感想・レビュー
作品の魅力1:スローテンポな優しい描写

展開がゆっくりとしています。でも、それが心地よい。
二人の関係がじっくり丁寧に描かれている。
凪良先生の文体は、直接的な表現よりも比喩を多用して綺麗に表現されている作品を多く感じます。この作品もその一つで、表紙から受けたような、優しい、そして少し透明感のある世界観が広がっています。
ただ、ストーリーやキャラの背景はそれほど優しいものではありません。
冒頭、仁居が子供の頃のお話からスタートします。仁居の両親がまだ生きていた頃。仁居に愛情を注いでいた両親が他界してしまいます。その後引き取られた親戚といざこざがあり、結局、高校生の仁居は一人暮らしを始めることになります。
常に孤独を感じている仁居なので、彼の部屋には物が少なく、静かな様子。また、若い頃から少し飲酒に頼っている描写もあります。
生きようとはしているのだけど、そこに一時的な幸福感さえ感じられない、虚無感のようなものが漂います。ただ、おどろおどろしい描写ではなく、この虚無感に透明感のようなものを感じるのは、凪良先生の文体マジックだと思います。
その反面、仁居の容姿からくる美は、残念ながら文章から感じませんでした。もちろん、挿絵の印象は手助けしてくれますが、私は容姿の美よりも、仁居の内面をより感じ、そこに美しさを見出しました。
国立(くにたち)は、人懐こく、やさしい性格です。人付き合いが苦手な仁居に比べると、国立は社交的。その人懐っこさもあり、仁居にアプローチしてきます。
国立は高校の教員で、仁居は以前同じ高校で非常勤教師として働いていた。その時にはほとんど会話は交わさなかったのだけど、お互いの性的指向は知ることになります。
だから、再会して距離が近づいていくのは、友達というだけでなく、そこに違う情が見え隠れするのはお互いにわかっている。そういった気持ちの駆け引きがじわじわと物語を盛り上げてくれるのが面白いです。
仁居には忘れられない過去の恋愛、そして家族のことが根底にあります。国立にも家族のこと、そして今付き合っている彼氏のことがあります。
それぞれに問題があるんですが、二人の距離が近づいていくにつれて、これらの問題も解決に向かっていきます。
作品の魅力2:猫のニーニ

作中、二人は捨てられていた子猫を拾います。買ったこともない子猫を拾うことで、ミルクをあげたり、病院につれていったりと、二人で子猫の世話にてんてこまい。かなり細かな描写が続くのだけど、やはりこの二人のテンポには子猫のニーニちゃんがいいバランスを保ってくれます。
優しさのある二人ですから、動物を介してその優しさが表現されると作品全体があたたかくなる。
私は、仁居の容姿の美しさは描写からはそれほど汲み取れませんでしたが、心の内にある彼なりの優しさや愛らしさは、ニーニを介して感じられたなあと思います。
直接自分の考えを伝えられない、不器用な二人の関係性も、やはりニーニというワンクッションを置くことで、お互い心の内を探り合いながらも近づいていくところに、この作品の色気を感じます。
作品の魅力3:それぞれの葛藤

仁居も国立も、家庭環境に問題がありました。
仁居の両親は、仁居が幼い頃に亡くなります。冒頭のプロローグで母親との会話が描かれていますが、母親からの愛情は受けて育ったはずの仁居。しかし両親は他界し、その後引き取られた親戚ともうまく行かずに、仁居は高校を機に一人暮らしを始めます。
彼の生活スタイルや孤独感はこの頃に出来上がってしまったのかと思います。
そんな孤独感の中で知り合ったのが、仁居が最初に愛した男性です。仁居も相手もまだ若かったこともありますが、人を愛すことの難しさを知ります。
一方、国立の家庭環境も微妙でした。国立には妹が一人いるのですが、妹にトラブルがあり、そのせいで彼女は男性不信に陥ってしまいます。そのトラブルの原因は自分だと責任を感じているのが国立です。
お正月や長い休日の際には必ず妹と過ごすので、仁居と距離が縮まった後もその習慣は変えることがありません。
過去のトラウマが彼ら二人の根底にはあり、そこから抜け出すことができない。ある意味似たもの同士の二人だったりもします。ただ、性格も違うためか、相手のことはお互いよく観察できるようで、ゆっくりと本音で会話をするようになっていく。
お互いに関係のある人物(例えば国立の妹さんなど)も数人登場はするのだけど、深く関わることはなく、ほどよく主人公二人は過去と距離を置き、不安を取り除いていきます。
凪良ゆう先生『ニアリーイコール』を今すぐ読む方法
凪良ゆう先生『ニアリーイコール』は、2025年4月の現段階では電子書籍がありませんので、今すぐ読むことはできませんが、紙媒体では購入可能です!
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まとめ
今回は、凪良ゆう先生の『ニアリーイコール』をご紹介しました。凪良先生のBL作品といえば『美しい彼』などが人気ですが、私はこのニアリーイコールくらいの王道設定でも十分に楽しめましたし、ライトな作品ゆえにBL描写に少し抵抗のある読者さんにも楽しめます。
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