作品データ
ギリギリアウト!〜加藤考一のターン〜
佐藤アキヒト
刊行年月:2020.09.20
どんなお話?
佐藤アキヒト先生の4冊目のコミックス、でしょうか。元警官の加藤と、元スリ師・里中のスリリングなバディもの、プラス恋物語。
こういうプロット、大好物です!刑事モノなどは普通の漫画でたくさんあるのだけど、潜入捜査やITものはあまりなくて、どこかにないかなぁと探していたら、BLにあるじゃないですか!さっそく読んでみました。
元スリ師の里中ですが、少しITにも精通しているところがあって、ハッキングのお話なども出てきます。少し専門的な話も出てきて、読み手を選ぶ作品ですが、だからこそ面白い。描き手も読み手も知識的にハードルの高いものって、唆られます。w
シリーズは2023年現在、全2巻。
- 『ギリギリアウト!』
- 『ギリギリアウト!〜加藤考一のターン〜』
クセのあるメンバーが多く、のび白があるので、まだ続いてもおかしくありません。
あ、ちなみに、佐藤アキヒト先生は女性です。
今回は、2巻の『ギリギリアウト!〜加藤考一のターン〜』を中心にご紹介します。
カップリング
攻め:加藤(元警官。 特捜のサイバー犯罪部門の一部を請け負い、自らのチームで潜入捜査)
受け:里中(加藤に恋する元スリ師)
あらすじ
元スリ師の里中は、たまたま魔が刺して、財布をスってしまう。その相手は元警察官の加藤。そして10年前、里中は当時警察官だった加藤に恋をしていた。
そんな二人が再会し、加藤がリードするサイバー犯罪を請け負う組織で潜入捜査をすることになる。
また、アテがなかった里中は、加藤の家に転がり込むことに。
再び動き出した里中の恋心と、現場での事件の数々。二人の距離も徐々に近づいていくがーーー。
佐藤アキヒト先生『ギリギリアウト!〜加藤考一のターン〜』のみどころ
BLというジャンルは本当に自由なところがあって、「お題」はなんでもあり、といったこところでしょうか。サイバー犯罪を背景にしたBLなんて、なんともクールなお話。そしてクライムものが好きな自分には、まさに大好物の作品で、全体的に楽しく読みました。
作品の魅力01:BLらしからぬ!?サイバー犯罪に潜入捜査
この作品の魅力は、なんといってもプロット。サイバー犯罪を追う警察関係の組織という存在。BLに限らず、普通の漫画でもなかなか見かけないプロットです。
というのも、サイバー犯罪にはいろいろあるし、テクニカルな言葉も多いので、本格的なテクニックが描いてある漫画ってほぼないのではないでしょうか。
エピごとにそれぞれミッションがあって、物語が進んでいきます。そして加藤や里中たちが実際に現場捜査していくのが面白い。
007のように、捜査で使えるちょっとしたガジェットなども登場します。ガジェットは、BLらしいというか、かわいらしいものですが、それもまた面白さの一つ。
リーダーの加藤と里中以外のメンバー、これもサイバー系によくある「クセのある」面子たちで面白い。IT専門のヨル、引きこもり白ハッカーのナリタ、ガジェット担当のアーミー、父親譲りの子供ハッカー・礼央。
BLでこんな面白そうなお話が展開されております。
読みたくなりませんか?w
作品の魅力02:シャープなイラストレーション
佐藤アキヒト先生のイラスト、魅力的です。
先生独特の雰囲気があります。作品の中で、女装も出てくるのが面白いです。捜査のためとはいえ、いろんな要素が盛りだくさん。
また、男性だけでなく女性も出てきます。
登場人物が豊富で、しっかりとプロットが組まれているので、読み応えがあります。
絡み、あります。オリジナリティがある魅力的な構図でした。
作品の魅力03:2巻のクライマックス、半端ない。
2巻完結ですが、1巻はどちらかというと序章のよう。捜査エピが楽しめますが、恋物語の方は少しぎこちなく感じました。
が、2巻に入って、捜査事件が本格化してくると、急に恋物語も加速します。
1巻は里中の恋心が描かれていたのだけど、対する加藤の(恋心に関する)心情描写はほぼありません。
しかし、2巻のタイトルにもある「加藤考一のターン」の若く、急に彼が行動に出ます。今まで事件中心だったのに、加藤の思い切った行動に目がバッチリ覚めました!w
そこからラストまでの盛り上がりは、個人的にすごく楽しめました。そして一番最後のエピソード、加藤がすっかりハマってるのにウケました。
ほぼ最後まで今ひとつ加藤の気持ちがわかりにくかったのだけど、Last Caseの最後のエピで、加藤の里中を想う気持ちにホッとしました。
そしてラストシーン。こういう終わり方、大好きです。
みどころと思うポイント、いくつもあります。が、その反面、個人的感想ではありますが、きになる点もいくつか。ここからは、ちょっと惜しいな… と感じた点。
わかりにくい点01:豊富なキャラの見分け方
全体的には魅力的なプロット、作品で、すごく楽しめました。
が、いくつか分かりにくい点もありましたので、レビューとして記しておこうと思います。
クセのある豊富なキャラで、物語も盛り上がるのですが、問題点が一つ。
それは、どのキャラも顔が同じ、ということ。
メインの加藤と里中は、髪型、髪の色などで見分けられるのだけど、他のメンバーたち(ヨルさんやアーミーたち)は、顔の輪郭や目の位置など、すご〜く似ています。なんとかわかりやすくしようと、髪の色、髪型、ほくろをつけたり工夫はされているのですが、疲れた時に読むと、どうしても頭に入ってこなくなってしまいます。
わかりにくい点02:シーン切り替え
エピごとに潜入捜査になるんだけれども、それぞれのシーンの構図が少し分かりにくかったです。(あくまで個人的見解。)
急にクルーズのシーンがスタートしたり、ダンスのシーンが始まったり…。アーミーさんとのシーンも少しわかりにくかった。あれ?今どこ?ってなると思います。なぜ急に踊り始めるの?って。
一コマ一コマ丁寧に読んでいくと、理解できるのだけど、サラッと読んでしまうと、わかりにくく感じてしまいます。先生が描こうとしている世界観はわかるのだけど、それをよりビビッドに、ビジュアルでわかりやすく表現するには、もう少し構図に工夫があればよくなるのではないかな、と思いました。
お話の問題ではなく、構図(漫画の部分)の問題。一般漫画を研究されれば、すぐに改善されるのではと思います。
わかりにくい点03:恋物語
1巻の冒頭だけですが、里中の恋心が今ひとつピンときませんでした。
セリフでは何度も里中の加藤に対する恋心が説明はされるのだけど、ビジュアル的になぜか伝わってこなかった。
1巻の最後に少しだけ絡みがあるのだけど、そこにいくまで、なかなか気持ちが伝わってきませんでした。それは、多分私がクライムものとしての物語に集中しているからであって、BLとして読んでなかっただけかもしれませんが。
2巻で、二人の関係がより近くなり、また過去の話も出てきます。そうすることで、恋心というより二人の関係性、絆のようなものがより鮮明になっていくので、クライマックスに向けての絡みに深みが出てきます。
そしてラストシーン。あれだけぎこちなかった加藤と里中の関係も、5年後のシーンを入れてくれただけでぐっと引き締まったエンディングになっております。よかった。❤️
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まとめ
いかがでしたか。今回は、2巻を中心に、佐藤アキヒト先生の『ギリギリアウト!』『ギリギリアウト!〜加藤考一のターン』をご紹介しました。
サイバー犯罪を絡めたバディもの、潜入捜査あり、ハッキングあり、アキヒト先生独特のユーモアあり。
1、2巻どちらも厚みのある本で、読み応えのあるものとなっております。この作品でアキヒト先生のことを知りましたが、他の作品も読んでみたいなと思っております。
ちなみに、2023年、いよいよ先生の新連載も始まるようで、来年あたりには新刊がリリースされるかもしれません。楽しみです。
皆様のご感想も、ぜひ教えてください。
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