作品データ
ギンモクセイの仕立て屋 上下巻
マミタ
刊行年月:2022.04.10
出版社:徳間書店(Chara Comics)
どんな作品?
BL雑誌『Chara』にて、2000年8月号から掲載されたお話。
おじいちゃんからスーツの仕立て屋を受け継いだ生吹(うぶき)と、そこに助っ人になると現れた灯生(てお)のビジネス奮闘記です。
もちろん、二人の恋物語がベースにありますが、どちらのお話のラインもしっかりかかれていて、バランスがとれています。
スーツ姿の男性の魅力爆発のイラストと、どこかファンタジーの優しさのある雰囲気があり、絡みはありつつもやさしい作品が好きな人にぴったりの作品です。
2023年、不定期のようですが続編の連載がはじまったため、シリーズそのものは続いている人気作品です。
カップリング
攻め:灯生(てお)(長身のイケメン。超一流レストランのメートルだった。)
受け:生吹(うぶき)(ちょっぴり色黒の泣き虫ちゃん)
あらすじ
銀座の片隅にたたずむ老舗テーラー「ギンモクセイ」。
祖父からお店を引き継いだ生吹(うぶき)だが、ビジネスの経験が乏しく、なかなかお客が来ない。そんなところへ、長身イケメンの灯生(てお)という男が現れた。
銀座の超一流レストランで接客を担当していたという灯生(てお)が、少しずつ生吹をプロデュースしていくのだが、どうやら生吹がお酒に潰されたときに灯生と何かあったようでーーーー。
マミタ先生の『ギンモクセイの仕立て屋』のみどころ
マミタ先生の作品は初めて読みましたが、2023年のBLアワードにもランクインされていたので、読んでみました。
作品の魅力1:恋物語とビジネス奮闘記の2つのストーリーラインがしっかりと。
作品全体を通して、すごくさらっとした感じがあります。が、胸にこみ上げてくるものもある。
不思議な雰囲気の作品。恋物語のお話は、重くはありませんが、例えば家族が持てないとか、前に付き合っていた人は妻子持ちだったとか、よくある葛藤のお話が出てきますが。が、さらっと表現されているため、それほど重くありません。
物語を盛り上げていくのは、過去の話でもなく、現在目の前で起こっているビジネス危機。w
このビジネス奮闘記がもう一つのお話になっています。
こちらが意外と面白く、正直深く掘り下げて描かれてはいませんが、テーラーに関する専門用語やビジネスマーケティングの手法、そしてメートル・ドテルのお話などが少しずつちりばめられており、程よい情報量になっています。
がっつり専門のお話があっても難しく感じますが、これくらいならちょうどいいですし、情報が頭に残ります。
作品の魅力2:過去の葛藤あり
お話は生吹(うぶき)が中心に語られていきます。下巻は灯生(てお)の視点からも語られており、灯生の幼少期、そしてなぜ彼がメートル・ドテルになったのか、そしてなぜ辞めてしまったのか…。ただ、これが重くないんです。お話はもっと重くかけるはずなんですが、多分それは先生の思惑ではないようで、さらっと描かれております。
一方、生吹(うぶき)の方は、精神的に困っている。祖父との思い出、そして引き継いだビジネス。自分には無理だと思い込んでいる経営…。葛藤というよりは、泣き虫くんになっちゃってますが、そのギャップ、そして成長の過程もこの作品の魅力かもしれません。
作品の魅力3:イチャイチャする二人
上下巻にまとまっており、最終的には二人はカップルになります。この先生の描き方、少女漫画的です。コマ割り、キャラの性格、きゅんとする瞬間の表現の仕方。メインは恋愛部分で、ほどよい絡みシーンも含まれています。それにしても、10数ページの絡みシーンがあるだけで、BL作品に仕上がるってすごいですね。
作品の魅力4:しっかり描き分けられた絵柄
主人公二人の描き分け方、すごくいいです。髪型だけでなく、体格や性格がしっかりと違っていて、肌の色さえ変えているためわかりやすい。特に二人の性格が全く違っていて、それぞれを追いかけたくなります。
この物語を読んだ時は、片方のキャラにのめり込むというよりも、二人を優しく見守りたい、という本来のBLの読み方!?(笑)ができました。
また、マミタ先生自身、とても描きたかったというスーツ姿。
男性のスーツ姿、かっこいいですよね。この作品でも堪能することができます。カラーだとなお嬉しいですよね。
上下巻にはなっておりますが、満足度としては、1冊の作品くらいでしょうか。あまりドスンと胸を締め付けられるような感じはなく、さらっと読める作品でした。だからこそ、続編を作りやすそうなお話だと思います。
マミタ先生『ギンモクセイの仕立て屋』ネタバレ注意!?感想・レビュー
全体的にまとまりのある作品で読みやすかったです。
BLファンにおなじみのサイト「ちるちる」において、BLアワードでは「ディープ部門」に入っていたため、もっとドロドロした暗い作品かと思っていましたが、どちらかというとファンタジーの要素があるふわふわした作品でした。
一つ、気になった点といえば… 少し物足りなかったところです。
1巻からのビジネス奮闘記が非常によく描かれていたため、普通の漫画として楽しんでおりました。が、ビジネスのお話が面白くなったところで、BL要素である絡みが出てきて、あっという間に終わっちゃった。w
なんで、そうしてしまったんだ…
先生のあとがきを読むと、もともとは7話で完結予定だった、とあったので、そこまで深く描こうと思っていたお話ではないのでしょう。
だからこそ、これだけビジネス部分のお話がよく描けていたのでもったくなく感じてしまうんですよね。その部分は続編に期待したいと思います。
スーツ姿かっこいいし、きっちり2冊で完結して、ほどよいエンタメにはいいのですが、漫画を結構読んでいる読者やストーリー重視の読者には、正直物語に深みがなく感じてしまうと思います。
2冊で完結だから、奥深い作品を描くのは難しいのでは?とも考えましたが、1巻完結でも重みのある作品を描く方もいらっしゃるし。
これはもう、作風やターゲット、また連載雑誌の意向にもよるのかな、と思います。
先生が描く絵柄や作風は好きです。物語は、胸がさけるような、考えさせられるような作風ではありませんでしたが、エンタメとしては楽しめます。
マミタ先生『ギンモクセイの仕立て屋』を今すぐ読む方法
マミタ先生『ギンモクセイの仕立て屋』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
最初の数ページをサンプルで今すぐ読むことができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
コミックシーモア:頻繁にクーポン割引があり、また同人誌や特典冊子の作品もたまに読めたりします。
Renta!:レビューを書くとスタンプがもらえる機能などあり。レンタルも豊富です。
マミタ先生『ギンモクセイの仕立て屋』の特典
以下、特典の一例です。
アニメイト | 特典4Pリーフレット(上下巻同時購入特典) |
コミコミスタジオ | 描き下ろし12Pリーフレット(上下巻同時購入特典) |
有償アクリルコースター(上下巻同時購入特典) | |
ホーリンラブブックス | カラーイラストブロマイド |
2023年10月現在、コミコミスタジオさんの有償アクリルコースター付き上下巻セットはまだあるようです。
グッズを集めていらっしゃる方は、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
いかがでしたか。マミタ先生の『ギンモクセイの仕立て屋』は優しい作風で、BL初心者の方にもオススメできる作品です。(絡みは少しありますが。)
また、登場する主人公の二人もかわいい&かっこよく、スーツ姿に萌えます。w
いろんな読者に刺さる作品だとは思います。軽く物語を追いつつ、二人を見守っていると、あなたの日々の癒しになること間違いなし。
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