こんにちは。
今日は、志水ゆき先生の人気シリーズ『是 – ZE -』から、最終章となります10&11巻の和記&力一篇をご紹介します。
カミサマたちを作り続けた和記の正体、過去、そして三刀家の伝説的存在である力一の物語、三刀家一族の謎が明らかになります。
作品データ
是 -ZE- 10, 11巻
志水ゆき Yuki Shimizu
刊行年月:2011年01月15日, 2011年08月15日
出版社:新書館(ディアプラス)
どんな作品?
『是 – ZE -』は、BL雑誌『Dear+』にて、2004年4月号から2011年5月号まで連載されたお話です。
志水ゆき先生の代表作の一つで、コミックスは全11巻(全60話)の長編シリーズ。
言葉で人間を操る言霊師、そしてそれに使えるカミサマのカップリングを中心に、志水ゆき先生が作り上げるスピリチュアルな和の世界観で繰り広げられる群像劇です。
それぞれのカプの恋愛模様はもちろんのこと、異なった時代背景、ユニークな小物たち、そしてスピリチュアルな設定をメタファとして、ファンタジーながらもメッセージ性のある世界観に魅了されます。
群像劇ということで、複数のカプ(や癖(へき)w)が一つの世界観で楽しめるのも魅力の一つです。
2004年からスタートした作品も、いよいよ10巻、11巻となり、お話もクライマックスに。志水先生の画力が上がっていくのも見どころです。
私は、2023年から毎日のように一人BL勉強会を繰り広げてきましたが(ただ作品を読んできただけですがw)、この『是 – ZE –』は間違いなくBL史上読んでおくべき作品であり、秀作だと思います。
この作品に出会ってよかった。そう思わせてくれる作品で、今でもたまに読み返しています。
10巻には、『Dear+』2010年5, 6, 7, 9, 10, 11月号に連載された6話と描き下ろし、11巻には、2011年1, 2, 3, 4, 5月号に連載された5話と描き下ろしが収録されています。
『是 – ZE -』そのものの魅力については、以前ご紹介させていただきました。
カプその1:雷蔵&紺(こん)。コミックスでは、1、2巻を中心に二人の関係性がコミカルに描かれています。カップル成立した後も、箸休め的な場面でたびたび登場しては、読者を楽しませてくれます。
カプその2:玄間&氷見(ひみ)。コミックスでは、3、4巻で描かれています。氷見の一途な想いが通じ、無事にカップル成立。玄間は不器用ですが、自分なりに愛情表現しているようです。
カプその3:守夜&隆成。コミックスでは、5、6巻で描かれています。イチャコラシーンはありませんでしたが、まさかの!?守夜が受けという…… w
カプその4:近衛&琴葉。最年少の琴葉の一途な愛情と近衛の過去、そしてゆっくりと言霊師の一族・三刀家についても明らかになっていきます。
カプその5:彰伊&阿沙利。一番旧いカミサマである阿沙利が白紙になる日。二人の出会い、そして愛情を育んできた二人は別れをどう乗り越えるのかが描かれています。
今回ご紹介する10、11巻では、カミサマを創り、言霊師の上に君臨してきた和記(わき)のお話。彼の過去、三刀家最強の男と言われる力一との出会い、そして阿沙利や近衛との関係性など、全てがついに明らかになります。
カップリング その6
力一(三刀家最強の男。すべてはこの男から始まった)
和記(わき:人形師。紙様を創り出す男)
10&11巻のあらすじ
和記は、希望を失い、傷ついた体を自分に懐いていた狼と共に川へ投げ入れた。が、力一という男に拾われ、彼と一緒に里を守ることにした。
「娯楽と希望」を与えてくれたると約束してくれた力一と共に、人形師として力一を支えるカミサマを作り、三刀家を支えていった。
そんなある日、川のほとりで二人の男が倒れているのを、力一の妹・宇多が見つけた。
どうやら二人は兄弟のようだが、柄の悪い男に、宇多が惹かれていくのだがーーー。
志水ゆき先生『是 -ZE-』和記篇:ネタバレ!?感想・レビュー
最終章となる和記篇では、世界観の核となっている三刀家一族(言霊師)について、そして和記の存在について、明らかになります。
作品の魅力1:力一と三刀家の相関
三刀家(みとうけ)は、山の麓の里で、表向きは紙漉きとして生計を立てていた一族でしたが、裏では、言霊師として活動していました。
そんな三刀家の中でもずば抜けた力を持っていたのが力一(りきいち)、そしてその妹の宇多(うた)でした。
金儲けのために、あまりにも強い力を持った兄妹の力一と宇多に子を産ませようと一族は迫ります。当然のごとく力一は断りますが、それなら他のものとでも子を生ませ、力の強い子孫をと宇多を傷つける一族に怒り、力一は言霊を使い、一族さえ滅ぼしてしまった。
たまたま里を離れて暮らしていた三刀家の数人は助かったものの、一族のほとんどは滅びた。力一は、心にも傷を負った宇多、そして自分の娘である千乃(ゆきの)と暮らしていました。
そんな時、力一は和記(わき)と出会います。
老ゆことのない和記と知り合い、力一は、宇多と千乃を守るためにもゆっくりと里を豊かにしていきます。人形師として、和記はカミサマ(紙様)を作り、破天荒な力一を守ります。
和記篇では、力一だけでなく、今までに語られてきた彰伊(しょうい)や琴葉などを含めた三刀家の事情が明らかになっていきます。
彰伊は力一の妹・宇多の子であり、その後、事情によって力一の娘である千乃によって育てられていきます。
力一のカミサマとして創られた阿沙利は、一番旧いカミサマであり、力一や一族のあれこれを見てきた人物。そんな彼が、白紙になり、奇跡的に復活し、そして彰伊を愛する。和記篇を読むことで、物語の全貌、輪廻転生、特に彰伊と阿沙利の愛情の重さがより感じられます。
作品の魅力2:和記という人物
紙様を創り出す男。1巻から他のキャラたちとは距離を置いた存在だったのが和記という男。彼の物語が最終章として描かれています。
和記のBL要素はほどほどに抑え、長編の締め括りにふさわしく、立ち止まっていた和記がゆっくりと前へ進むお話です。
和記は、家族もおらず、幼い頃から邪法を習得しながら生きてきました。
有り余る力を持ちながら、老ゆことがない。生きる意味を失いかけていたある日を境に、全てから抜け出し、自由気ままに暮らすことを決意します。
周りの環境の変化を達観しながら生きていた和記は、ある日、狼を助けたことをきっかけに、その狼とのつながりができます。が、ある日怪我をした狼と共に、川へ流されてしまう。目覚めた和記を、力一は里へ招き入れてくれます。
長い間孤独だった和記は、娯楽と希望をくれるなら、力一と共に生きると提案し、決意します。
力一と真鉄
和記には、二人の人物が関係していきます。
一人は、力一(りきいち)。
和記と力一の関係性は、恋愛というより、心の奥深いところでつながった特別な関係に感じました。
力一は、闇のない、開放的なキャラです。恋人や家族などという枠にとらわれない繋がり(bond)を感じました。
そこに、恋心のようなものがあったかもしれません。が、私がこの作品を読んだ上で、そこまでは感じることができませんでした。(ぜひ、志水先生の後あとがきを読んでほしいです。)
もう一人は、真鉄(まがね)。
真鉄は、力一のカミサマであり、実は和記に懐いていた狼が関連しています。
力一のカミサマとして存在する真鉄は、力一を第一に考え、彼を守ります。宇多や千乃を守るのも、力一を悲しませたくないから。でも、そんな真鉄は和記のところへやってきます。
和記が孤独なのを知っているからでしょうか。
力一を守るというカミサマとしての役割は当然のこと、和記に懐いてくるのは、真鉄の中に残っている古い記憶からくるものなのでしょうか。
和記は、真鉄に対して執着の念があります。それは恋心なのか、それとも情なのか、それとも嫉妬のようなものなのか、はっきりとはわかりません。
おそらく、力一以外、自分の存在を気にしてくれる人が今までにいなかったからかもしれない。
和記と二人の人物たちとの関係性については、11巻の最後に掲載されている志水先生のあとがきを読み、半分納得したところと、半分まだ納得していないところがあります。
これから何度も読み返すたびに、物語の違う側面が見えていくのかもしれません。
なかなか考察の難しい部分、それが和記の心の内であり、読み応えがあります。
皆さんはどう感じましたか?😊
作品の魅力3:世界観
この『是 -ZE-』を読み終えて、やはり志水先生が創り上げたこの作品の世界観がすばらしかったと改めて感じました。
カプのキャラはもちろんのこと、時代背景や性別(描写は少なかったですが、女性キャラも登場)、和と洋など、細かな変化が散りばめられ、ファンサービスもたっぷりながら、しっかりとお話がまとまっていて、長編ながらも最後まで惹きつけられる作品です。
BL史に残る名作であるのは間違いなく、また出会ってよかった作品の一つでもあります。
もし未読の方は今すぐ、読まれることをオススメします。
志水ゆき先生『是 – ZE -』を今すぐ読む方法
志水ゆき先生『是 – ZE -』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「ebook japan」かレンタル本が豊富な「
Renta!レンタ」です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
ebook Japan:クーポンが魅力です。無料漫画も多々あり。
Renta!レンタ:レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入が可能。この作品は時々レンタル可能になります。
コミックシーモアの月額コミック読み放題が一番お得!BLも読み放題!
紙本は楽天を利用しています。電子書籍もありますし、洋書の取り寄せも安心。
日本企業を応援しております。
志水ゆき先生『是 – ZE -』をもっと楽しむ方法
番外編
『是 – ZE -』は、オフィシャルの番外編特集、そして、コミックスに収録されていない番外編がいくつか電子リリースされています。読み逃しているファンの方も多いのでは?要チェックです!
是-ZE- かみのほん
全プレペーパーや限定ペーパー、そしてサイン会のプレゼントペーパーなどなど、現在では入手困難なものを1冊にまとめてくれました。リリース当時に読むのが特権ではありますが、後からファンになった人やイベント参加が困難な読者にはうれしいかぎりです。ラブ度、高いです!
是-ZE- 春の雪 (前後編)
オールメンバーが山の宿に集まるお話です。前後編。
是-ZE- 春、逢い見る
春の嵐が到来!というお話です。このメンバーのお話がまた読めるのが本当にうれしいですね。レンタ Renta! さんのサイトでは、レンタル可能です。
ドラマCD
うれしいことに、この物語はドラマCDがリリースされています。
ファイナルは、和記篇です。
コミコミスタジオさんにまだ「通常盤」の在庫があるようです。

また、ディアプラスからのオフィシャル告知で、中国語ラジオドラマも出ております。
(サイトは中国語です。)

興味のある方は、是非チェックしてみると面白いですよ。
まとめ
今回は、志水ゆき先生『是 -ZE-』の最終章となる和記篇が収録されている10、11巻をご紹介しました。
全11巻のシリーズですが、おまけとして、先生が雑誌の全プレや企画のために描いたショートたちや描き下ろしが収録された『かみのほん』という1冊もリリースされています。また、紙本ではありますが、『いろのほん』『是 – ZE – ファンブック』なども存在します。こちらも楽しかった!
とにかく、私にとって、すっかり魅了された作品となりました。
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