こんにちは。
今日は、凪良ゆう先生の『ここで待ってる』をご紹介します。
草間さかえ先生のイラストが好きで手に取りましたが、お話は家族をテーマにしたお話でした。にぎやかで楽しい中にもしっかりBLしていて、面白かったです。
作品データ
ここで待ってる
凪良ゆう Yuu Nagira
イラスト:草間さかえ
刊行年月:2015年07月31日
出版社:徳間書店(キャラ文庫)
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どんな作品?
凪良ゆう先生の書き下ろし文庫です。
草間さかえ先生がイラストを担当していたので手に取ってみました。何度見ても表紙のイラストが素敵で、成田が持っている風呂敷の色が好きです w
物語は、BLではあるのだけど、どちらかというと家族愛のようなものを強く感じる賑やかな作品です。子供がおじちゃんなども登場し、わいわいとにぎやかな世界観になっています。
ゲイバーで知り合った飴屋(あめや)に惹かれたのが、空手道場で師範代を務める成田。しかし、数日後に道場へやってきたのが飴屋と彼の息子の論くん。さらには奥さんもいることを知り、成田もパニックに。
冒頭では成田と飴屋の関係性がきになるのだけど、読み進めていくと、成田のおじいちゃんと論くんが気になりはじめます……って、はっきりいって、しっかりBLはしていますが、おそらく多くの読者さんはそれ以上に家族愛(特に論とおじいちゃんの繋がり)に読後満足するのではないかと思います。
カップリング
攻め:成田(極真空手の師範代。祖父の道場で教えている。)
受け:飴屋(ゲイバーで成田を引っ掛けるが、普段とのギャップが結構楽しい。)
あらすじ
友人の浮気相手に喝を入れてくれと頼まれ、ゲイバーへ乗りこんだ成田。が、ミイラ取りがミイラになってしまった。あっという間に心を飴屋に奪われた成田だったが、数日後にはもっとパニックに。道場の見学に来た子供は飴屋の息子で、さらに奥さんまでいるという。
ショックを受けたのも束の間、大工の飴屋が現場で怪我をし、成田の道場で論くんを遅くまで預かることになる。そこで論と、師範である成田の祖父の関係性が育っていく。
また成田も、飴屋の家に通うようになり、飴屋の事情を知っていくのだがーーー。
凪良ゆう先生『ここで待ってる』:ネタバレ!?感想・レビュー

作品の魅力1:それぞれの愛の形
この作品の魅力は、「家族の形」です。
成田の家族。一見何も問題なく見える成田も、実は母親との関係がよくありません。母親の再婚により、独占欲の強い義妹ができてしまった。そのため、成田は祖父と一緒に住むようになります。
そこに、飴屋の息子が空手体験にやってきます。
冒頭、ゲイバーで軽く寄ってくる飴屋(あめや)と、浮気された友人の敵討ちのはずなのにすっかり飴屋に惹かれてしまった成田の一騎討ち。あっさり成田は飴屋に一目惚れしてしまいます。そんな二人の駆け引きを楽しむ作品になるのかと思いきや、飴屋は実は妻子持ちだと言う。
飴屋の息子の論くんは、子どもらしからぬ、しっかりしてるんです。子供が登場する作品は、絶対に可愛いのであまり読まないようにしているのだけど、この作品も例外ではなかった……。
論くんは空手道場にやってくるのだけど、飴屋が仕事先で怪我をしたことをきっかけに、道場で預かることに。そこから、論くんと成田の祖父の関係が始まります。
子供の論くんは、おじいちゃんや成田にペラペラと家庭事情を話してしまうのだけど、そこからゆっくりと飴屋の事情、そして奥さんとの馴れ初めが判明していきます。
各々が抱える家庭事情。でもそこに論くんがいることで、賑やかに、そして読者をも笑顔にしてくれるのが魅力です。
論くんも、冒頭は子どもとも思えないほど礼儀正しいしっかりした子でしたが、打ち解けてくるとおじいちゃんに対しても、成田に対しても、子供らしい態度に変わっていきます。
論くんとおじいちゃん
論くんが家にいるだけで、パッと賑やかで家の中が明るくなるのが描写から窺えます。大好きなシーンです。しっかりした論くんだけど、そこはやはり子供、大人の事情も知らずにペラペラとお父さんお母さんの話をします。それをじっと聞き入るおじいちゃん。論くんとの会話から、彼の家庭事情を(読者も)汲み取っていきます。

おじいちゃんの唐揚げをほおばる論くん。唐揚げって子供はほぼ全員好きだよね〜といいたいところですが、大人も好きですね w
おじいちゃんも、成田に浮いた話がないこともあり、論くんを孫のように可愛がります。
作品全体を通して、正直に言うと、主人公の恋物語よりも、論くんとおじいちゃんの話の方が気になっちゃって……w 読後は満足でしたが、私の脳裏に残った印象はこの二人でした。
飴屋とのばら
飴屋のストーリーとして、奥さん・のばらとの結婚があります。
冒頭ではゲイバーにいた飴屋なのに、なぜのばらと結婚したのか。そこには理由があり、それが後に事件へと繋がっていきます。
そして、この二人もさることながら、のばらとのばらの母親との関係性にも問題が……。

しかし、飴屋はできる限りのばらをサポートし、のばらもできることを頑張る。そして、おじいちゃんとの交流も深まり、少しずつ個々の繋がりが強くなっていきます。
のばらの家庭環境が良くなかったこともあり、のばらにとっても、おじいちゃんの存在は特別になっていきます。
成田とおじいちゃん
論くんやのばらにも慕われるようになったおじいちゃん。そんなおじいちゃんにちょっと罪悪感を感じているのが成田……。
成田の性的指向を、おじいちゃんは知りません。
道場にやってくる奥様たちには大人気の成田だけあり、誰かいい人はいないのか、と、ことあるごとにおじいちゃんは成田に聞くのです。そんな毎日だから、成田もなかなかカミングアウトできない状況に。

こんな複雑な家族の関係性をベースに、いくつかのエピソードが進んでいきます。
気になった点
唯一気になった点といえば、BLとして成田と飴屋の関係性が少し薄くなってしまったところでしょうか。
しっかりBL描写もありますし、成田の想いもちゃんと書かれてはいます。が、やっぱり他のキャラたちが立ちすぎてしまって、にぎやかになりすぎた感じが……。
なので、二人の間にドキドキ感は感じませんでした。
私個人としては、とても楽しめた作品でしたが、濃厚なBL描写や萌えのようなものを求めている読者には少し物足りなく感じるかもしれません。
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まとめ
いかがでしたか。今回は「家族の形」を考えさせられた凪良ゆう先生の『ここで待ってる』をご紹介しました。家族ぐるみで付き合うことになるにぎやかなお話です。
凪良先生の作品のキャラは、家族の問題を抱えているキャラが多く登場しますね。最近のインタビューで明らかになっていますが、凪良先生ご自身も難しい幼少時代を過ごされたようで、自身が経験したこと、感じたことなどがどの作品にも現れているのではにかと思います。
難しい環境の中でも、絶望は感じなかったという凪良先生。物語の人物も、何らかの幸せや希望を見つけていきます。幸せはその人の中にある。自分の幸せを見つけて、前へ進んでいくしかないんですよね。私はこの作品、とっても気に入っています。
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