中村明日美子先生『薫りの継承』:愛情の連続性と不連続性

中村明日美子
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こんにちは。

今日は、中村明日美子先生の『薫りの継承』をご紹介します。

明日美子先生といえば『同級生』が有名ですが、私には『Jの総て』とこの『薫りの継承』が、BL作品としても秀作だと思っております。

作品データ

薫りの継承 上下巻

中村明日美子 Asumiko Nakamura

刊行年月:2015年8月10日

出版社:リブレ出版(BBC Deluxe)

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どんな作品?

中村明日美子先生の上下巻作品。耽美なBL作品です。

中村明日美子先生といえば、BLながらもピュアな高校生が恋をする過程が描かれた『同級生』シリーズが大人気ですが(もちろん非BLでも素晴らしい作品を描かれておりますが)、初期の頃はかなりエログロな作品を描かれていました。

年月を重ねる度に、お話もエンタメ性がでてきて、よりわかりやすいエロティシズムを表現されるようになったかと思います。

この物語は純文学的であり、義理の兄弟という怪しげ!?な関係から物語がスタートします。

上巻には『BE・BOY GOLD』2009年2、8月号、2012年12月号、2013年2、6、10が都合掲載、そして関連短編の『汚れ』は『Libre Premium 2014』2014年11月号に掲載されたものが収録されています。

下巻には『BE・BOY GOLD』014年2, 6 10が都合、2015年2, 6月号に掲載された第7話〜大11話が、そして『暗転』という描き下ろしが収録されています。

表紙は、黒背景に描かれるキャラの肌がピュアさと儚さを感じさせ、赤(血色)のタイトルでおどろおどろしい物語の行方を醸し出している装丁に惹かれます。

明日美子先生の唯一無二の画力、そしてストーリーテリング、テーマとメッセージ、そして世界観。すべてが驚異的なバランスで描かれた秀作。

西洋・東洋文学に影響を受けた明日美子先生ならではの物語の展開や見せ方が面白く、そして美しい。そこにあるのはエロスというよりもエロティシズム(性的行為の美的描写)がはっきりと描かれていて、登場人物のどろどろとした感情が情熱的に絡み合っていきます。

誰でも楽しめる作品ではありますが、パラパラと読むだけではもったいなく、じっくりと、何度も考えながら読むタイプの作品ではないでしょうか。

カップリング

攻め:竹蔵(たけぞう:竹蔵の母と忍の父との再婚により、忍の義理の弟となった)

受け:忍(裕福な家庭で育つが、それゆえに複雑な家庭環境に悩まされる)

あらすじ

事業を営む比良木(ひらき)家に育った。ある日、父親が再婚したことで竹蔵という義理の弟が出来る。竹蔵と忍の歪な関係、そしてそこに忍の息子・の存在感が薫る。

愛情、憎悪、嫉妬……。ゆっくりと明かされていく人間関係に、行き場を失った感情はどう解放されるのかーーー。

中村明日美子先生『薫りの継承』:ネタバレ!?感想・レビュー

面白いとか、そうでないとか、そういう問題では語れない作品です。

純文学。自分との対話。何を感じて、どう自分なりに感情を整理していくか。

少し難しい作品ですが、読む度に新しい発見と考察が楽しめる物語です。

作品の魅力1:愛情の行方

上下巻に分かれていますが、上巻は義理の弟である竹蔵の視点で語られます。

全体的なお話の流れはありますが、エピソードごとに時系列が変わります。現在のお話の合間に、幼少期のエピソードなども挟んで進んでいきます。

良質な小説は、最初の1文を読めばわかると言われますが、明日美子先生の作品は最初の1ページを読めば、その作品の良し悪しがわかります。

ある程度の「間」のようなものはあるものの、決してそのために無駄な1コマを割くことはなく、1コマ1コマ全く無駄がなく、時が進んでいきます。「チェーホフの銃」のように、コマの描写どれもが物語につながっていく。

冒頭で登場する竹蔵、そして忍の息子である

この3人、そしてタイトルの『薫りの継承』で、言葉で説明する必要なく読者は物語の方向性がわかるのではないでしょうか。

義理の兄である忍に思いを寄せる竹蔵は、レストランを経営しています。資金巡りも良くないため、たまに忍の屋敷を訪れても怒られる竹蔵。必要以上にサディスティックに竹蔵を痛めつける忍にも、すでにエロティシズムを感じるところがあります。

義理とはいえ、兄弟という関係性の二人。そんな二人が要(かなめ)の計らい!?で関係をもってしまうところから物語がスタートします。

竹蔵の愛情はどのように解決されるのか。受け入れられるのか、それとも拒絶されるのか。明日美子先生の作品ですので、純文学が繰り広げられるのは予想できますが、どんな世界観なのかは、読んでみなければわからないですね。

第1話から耽美ワールドが展開されており、あっという間に物語に引き込まれます。

竹蔵と忍の関係性だけでなく、息子の要の存在、そして徐々に忍の奥さん・茉莉子さんも登場して、物語は欲望や妬みが複雑に絡んでいきます。

もう、どろどろしていくのが想像できますね!?w

作品の魅力2:明日美子先生の結論

この作品を読んでから、『ウツボラ』を読みました。

『ウツボラ』は非BLの作品ですが、これも文学的な作品になっています。そのラストの手法として使われているものと共通しているものがあります。

『同級生』シリーズでもさらりと登場するのが「死」の存在。

明日美子先生は東洋・西洋文学、そしてバタイユやプラトンなどの哲学にも影響を受けていると思いますが、この作品のようなエロティシズムの作品には生と死が共存しているところがあり、その結果、こういう愛情の解放を選んだのかなと考えてしまいます。

日本でも、昔はもっと日常生活に「死」が存在しました。

寿命も今より短かったし、病院で亡くなるというよりも、自宅で病気や老衰でなくなる場合も多かったかもしれません。日常に、もっと生と死が混在していたイメージがあります。

しかしながら、今の私たちの生活の中には「死」はネガティブなものとして扱われ、身近に感じたり目にすることも(昔に比べたら)少なくなったのではないでしょうか。

私は、終わりなのか、始まりなのか。束縛なのか、解放なのか。

明日美子先生が決断した二人の物語の結末は、エンタメ的なラストだけではなく、より哲学的な意味があるのではないかと考えてしまいます。

作品の魅力3:画力

明日美子先生のアート的な画力は、先生を唯一無二の存在と言わざるを得ません。

誰にも真似のできないイラストで、そして作品によって空気感が全く違います。

決してシメントリーではなく、同じものは一つとない線画は、今も先生の手によってアナログで描かれています。

確かに、漫画だけを読むのならアナログでもデジタルでもいいのですが、明日美子先生にはこれからもアナログで描き続けてほしいです。

中村明日美子先生『薫りの継承(上下巻)』を今すぐ読む方法

中村明日美子先生『薫りの継承(上下巻)』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。

私がよく利用する電子書籍サイトは「ebook japan」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。

どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。

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まとめ

今回は、中村明日美子先生の秀作『薫りの継承』(上下巻)をご紹介しました。

耽美な作品は、昨今減少傾向にありますが、こういった作品が漫画でも読めるところが日本のこの業界の強みだと思っています。

明日美子先生だけに限らず、作家さんたちがいろんな妄想を作品に落とし込めるよう、BL界隈は、これからももっと自由な場所であってほしい。トレンドや型にはまらず、自由に創作ができるような空間であってほしい。そう願っています。

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