こんにちは。
今日は、先日ご紹介した、苑生先生の『兎の森』について、感じたことをおしゃべりしようかなと思います。
現在休載中のこのお話。正直このお話を描くには相当の労力が必要なのでは!?
大きなストーリーに見え隠れするサブテーマもいくつかあり、お話の難しさ、特に心理面の描写に関しては、かなり綿密な研究を要するのでは、と思います。
ドラマCDもリリースされることですし、なんとか完結してほしい作品の一つです。
苑生先生『兎の森』ネタバレ!?感想・レビュー
志井の葛藤:アイデンティティ
志井サイドのお話は性欲に悩んでいる模様。思春期ですね。w
ただ、興味深いのは、タクミさんとの会話からも、欲情の問題だけでなく、本当の自分を見せるのが怖い、というのが根底にあります。アイデンティティの問題。
自分の欲情が「正しくない」と感じているのは、自分が男を好きになったということもあるし、少し行き過ぎた「望み」のせいかもしれない。思春期になって感じる、いままでに経験したことのない感情が、何なのか、「正しい」のか、わからない。
この複雑な感情を友達に相談したりするシーンがないところから、志井というキャラは、悩みを話すことができる友達がおらず、孤立してしまっていることも見受けられます。
同級生たちの欲のお話が女性で盛り上がっているところが何度か表現されているところをみると、おそらく男性を好きだから話せない、という線引きをしているのも一つの理由ですが、もしかすると、単純に志井は人とどう接していいのかも難しさを感じているのでは!?もしくは、現代の若者のコミュニケーションの現状自体がこんな感じなのだろうか。
2巻後半で、環は志井に少しだけ自分の感情を打ち明けます。ずっと友達だと思っていた幼なじみの二人ですが、実はいままで深い話をしたことがなかった。何度かでてくるセリフからも、友達との接し方に関してのお話が出てきます。
現代社会において、知人との付き合いが淡白になったことも、あるのではないでしょうか。SNSによる会話のやりとりが普及し、若者(って書いてる段階で、年寄りくさくてすみません)が感じている空虚さが風刺されている部分があるように感じます。
この作品では、直接的に描かれていないのだけど、何度か登場する「自分を見せる、さらけだす」という言葉は、もしかして現代社会において、若者が模索している自分のアイデンティティの問題、そして人付き合いの難しさを表現しているのでは?と思いました。
環の葛藤:愛情
環の方も、やはり性欲が絡んできます。もちろん家庭環境の影響もあるのですが、性欲だけではない感情がちらほらと見え隠れしている。その、志井に対する気持ちがなんなのか、すごく気になります。
最後に、環は言います。
「やっちゃいけない事ばっかするのが志井じゃん。」
志井が想いを打ち明け、付き合うことにあった時。その馬鹿げた賭け事(笑)を拒絶することもできました。しかし、推しに負けた環は志井とつきあうことになり、またゆっくりと彼からのアプローチを戸惑いながらも受け入れていきます。
そして学校を休んだ際に彼は抱きついてきた志井を拒絶しなかったし、悩んでいた環に気づかなかったと落ち込む志井を自ら手で引き寄せます。
二人の距離は、その気持ちが何にせよ、ゆっくりと近づいていっているのがわかります。
個人的には、この気持ちの揺れが、性欲以上の感情(恋心)が環にはある(もしくは芽生える)のか、今後の展開が楽しみでなりません。
志井は大学生のタクミと再会した際に体の関係にはいたりませんでした。環と付き合っているという理性が働いています。
一方環の方も、学校を休んでいた際にお見舞いに来てくれた志井が、玄関先でハグをしてきます。この際に…彼を受け入れた。また、目の前で落ち込む志井を見た際に、自らの手で彼を引き寄せている。そこからも、友人としてだけではない、性欲だけではない感情が、環の中にも存在しているのが伺われます。
若者の友達付き合いの模索、自分とは何か、正しいと言われていることへの疑問、そして人を想う気持ちーーー。一見欲情の話だけのように見えて、奥深く描かれている物語。もちろん、これは私個人の見解で、他の読者はもっと違った角度から読み取っていることかと思います。
今後の展開が楽しみですが、非常に難しい展開になるのではなかろうか。
苑生先生『兎の森』を今すぐ読む方法
苑生先生の『兎の森』をを今すぐ読む方法は、電子書籍です。
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この『兎の森』も、1巻はレンタルで読めます。
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まとめ
今回は、苑生先生の問題作『兎の森』について、おしゃべりさせていただきました。何度も読み返すことで、違った視点が見えてきたりするお話です。ぜひ、貴方の感想も知りたいです。何か違ったアプローチの仕方がありましたら、コメントいただけるとうれしいです。❤️
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