誰にでもいろんな癖がある。
人には知られたくない癖、はたまた自分でも気付いていない癖。
昼寝シアン先生の『ヒーリングパラドックス』は、自分の癖に気付いていない受けを、長年の想いを秘め、徐々にじっくり自分の手中におさめようとする攻めの駆け引きを楽しめるお話です。
作品データ
ヒーリングパラドックス
昼寝シアン
刊行年月:2021.03.31
出版社:竹書房(Qpa)
どんな作品?
2021年作品。
Qpa vol. 98から6回に渡って連載されたシリーズです。
忙しい会社員・黒岩が同僚に薦められて立ち寄ってみた整骨院。そこで知り合った謎の整体師・岸辺は、どうやら黒岩のことを知っているようで…。
マッサージを通してつながっていく二人の関係と、その背後にある過去の出来事。冒頭の絡みから、変な癖のある整体師のお話かと思いきや、背後にそれぞれのストーリーがありました。
カップリング
攻め:岸辺一舞(きしべ かずま:クセのある整体師。黒岩に異常な興味を持っている。)
受け:黒岩直斗(くろいわ なおと:忙しい会社員。一度岸辺の施術を受けて以来、通う羽目に。)
あらすじ
仕事に振り回され、日々生気を失っている黒岩。同僚のススメでリフレッシュに立ち寄った整骨院で、クセのある整体師である岸辺と知り合う。
彼の施術の気持ちのよさは尋常ではなく、すぐに忘れられなくなっていた。
岸辺に気に入られたのか、勝手に予約をいられれる羽目に。
そして何度か施術をしてもらうたびに、二人の関係性が変わっていきます。
昼寝シアン先生『ヒーリングパラドックス』のみどころ
この表紙。普段は絶対に手に取らないタイプの表紙絵なんですが w、『放課後のエチュード』が結構良かったので、この先生の作品を読んでみようと、手に取ってみました。
絡み中心のお話かと思いきや、整体師が出てくるため、整体のことについて知ることもできました。知らない知識が少しでも増えるのが、本当にうれしい。
作品の魅力1:岸辺の異常性
異常・・・というと、ちょっと語弊があるのだけど、冒頭から彼は普通の整体師ではないことがわかります。w
そしてシアン先生の描き方も、どこかクセのある目線や表情で描いているので、行き過ぎた感情を表しています。
ただ、岸辺が普通の整体師だったら、この作品は成り立たないですよね。どこか執着があって、その背景に何らかの理由があるから面白いというか。行きすぎてはいるのだけど、それは黒岩に対してだけなので、フィクションではあるのだけど、納得がいく。ただ、愛というよりも情欲が強いです。
作品の魅力2:絡み
・・・シアン先生の魅力の一つだと思います。絡みシーンはあるけど、それだけではなくしっかりとお話の部分も描かれている。どちら目的でも楽しめる作品かなと思います。
でも、絡みのシーンの岸辺、怖いな。w
岸辺の性格は、幼少期からスタートしています。人間の性格って大抵子供の時に出来上がりますから…。両親からの愛情を知らない岸辺。彼が幼少期に感じた不思議な優越感。
そして黒岩に対する執着。すべては黒岩のために生きていたといってもいい岸辺が、黒岩に出会い、自分の感情をコントロールしながらもじわじわと黒岩を落としていく過程。
面白いんだけど、シアン先生はどちらで描きたかったんだろう。変態性のある執着を描きたかったのか、異常性のある狂気として描きたかったのか。
どちらにも拘ることができるのだけど、狂気として描きたかったのなら、物足りなかった。変態的(失礼!)に描きたかったのならちょうどいい表情だったと思います。
どちらにしても、絡みシーンはイチャイチャいうよりも、完全に黒岩が食べあれちゃってる感じですね。汗
作品の魅力3:二人の背景
人にはいろんな背景がありますね。
黒岩の背景は、野球です。幼い頃から夢中になってがんばっていた大好きな野球。肩の故障で続けることができなくなり、どこか心に穴が空いた状態。それが黒岩の背景です。
仕事のおかげで!?忙しい毎日を送って、自分を見つめる時間さえない彼だけど、夢中になれること、そしてそれを失った彼の心には、野球を諦めて以来ずっと何らかの喪失感があるのだと思います。
岸辺。岸辺は、まず家庭環境にめぐまれなかった。両親からの愛情を受けることなく育った彼。体が弱く、内気な性格だった岸辺は幼少時代にクラスにもなかなか打ち解けることができなかった。
そんな彼が執着したこと。そしてそれを手に入れるため、自らの内面から変化させていきます。この執念は、ちょっとリスペクトです。w
二人の背景とともに、情欲も絡んできます。このバランスがなかなか面白く、飽きずに読み進めることができたのだと思います。
気になった点
作品は全体的に気に入りました。
が、気になった点をあげるとすれば… 作品のパターンにユニークな点がなかった。w
特に二人の背景の部分。子供の時のお話も、それほど特別感はない。そこがちょっともったいないかなと思いました。
岸辺のTV特集を見て、事実に気づく黒岩。彼が岸辺のタワマンへといくのだけど、あのシーン、よかった。このラストを盛り上げるのに、そこまでたどり着くこの執着心を、よりコミカルに描くか、それとも狂気に描くかで、作品のインパクトももう少し変わったかも。
個人的には狂気的に描かれるのが好きですが。w
この先生の絵柄は優しいタッチなので、よりコミカルに、よりイチャ度高めで描くのが面白いかもしれませんね。このカプもいずれ続編や番外編が期待できるので、楽しみにしています。私はもっと嫉妬に荒れ狂う岸辺を見てみたいです。
昼寝シアン先生『ヒーリングパラドックス』を今すぐ読む方法
昼寝シアン先生『ヒーリングパラドックス』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
最初の数ページをサンプルで今すぐ読むことができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
コミックシーモア:頻繁にクーポン割引があり、また同人誌や特典冊子の作品もたまに読めたりします。
Renta!:レビューを書くとスタンプがもらえる機能などあり。レンタルも豊富です。
昼寝シアン先生『ヒーリングパラドックス』のドラマCD
この『ヒーリングパラドックス』は、ドラマCDになっています。執着の世界、オーディオドラマでも味わうことができます。w
サンプルがありましたので、イケボチェック、してみてください。
興味があれば、楽天ブックスで価格をチェック。
まとめ
全体的に、絡み中心のお話でした。が、攻めの岸辺はなかなかのクセモノで、興味深いです。ぜひ岸辺のキャラを熟成させてほしい。何らかの続きが読みたい。執着系がお好きな方で未読の方は、ぜひ一度読んでみてください。
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