作品データ
トロイメライ 上下巻
涼子
刊行年月:2023.03.10
出版社:Jパブリッシング(arca comics)
どんな作品?
シューマンのトロイメライをキーワードに、2冊にまとまった共依存から始まる関係性のお話。
『肩甲骨とワンピース』のスピンオフとなっております。
高校のカウンセラーと、そこに通う寂しい高校生のお話。
『肩甲骨とワンピース』は女装のお話のようですが、この作品にはほぼ女装は出てきません。
正直SNSでたまたま見かけて購入してみたため、作品の背景や涼子先生については詳しくないため、単純に作品の感想になります。
カップリング
攻め:高杉先生(病み系カウンセラー)
受け:一条(孤独を感じている高校生)
涼子先生『トロイメライ』のあらすじ
妻が病死し、元カレを暴力で支配していた臨床心理士の高杉。一人になり、誰にも求められていないという思いから、孤独に感じ、夜も眠れぬ日々を過ごしていた。
仕事先の高校の気になる生徒、一条は自分と同じく「誰かに必要とされたい」と思っていることに気が付く。
そして高校生の一条は高杉にキスをし、「共犯者になろうよ」と交際を迫ってきたーーー。
涼子先生『トロイメライ』のみどころ
発売元はJパブリッシングですね。Jパブリッシングといえば、イイモ先生の『イノセント』を思い出します。w 少しクセのある作品が目につきますが、どうでしょうか。
作品の魅力1:シューマンのトロイメライ
タイトルの「トロイメライ」は、ドイツの作曲家、ロバート・シューマンが作曲した曲で、『子供の情景』という作品の1曲です。
ゆったりした曲ですが感情を揺るがす素敵な曲。高校生の一条はずっとピアノを習ってきたのですが、ある日大好きな兄を恋人に奪われ、音楽を奏でる目的を失います。
この曲はとてもゆったりした小品なんですが、作品は全体的に少しだけ詩的で、ゆっくりと展開されています。
また一条のピアノに対する思いの変化も表現されていて、ずーっと音楽ものを避けてきた自分も久しぶりに読んでしまいました…。(実は「音楽モノ」が地雷だったりします。w)
シューマンの「トロイメライ」を聞いたことがなければ、ぜひ聞いてみてください。また、『子供の情景』はどの曲もいいので、この本と共に聞いてみるチャンスです。
作品の魅力2:高杉の苦悩
この作品が『肩甲骨とワンピース』という作品のスピンオフと知って、一応読む前にさらっとそちらの内容を確認しました。この高杉って…悪者じゃないですか!?
そして一条ひかる、つまりこの作品の高校生のお兄ちゃんが元カレの恋人になった…ような感じですね。なんだか複雑。
なので、冒頭から不眠症に悩まされている高杉はまぁ自業自得…というところからスタートしました。w
(『肩甲骨…』はまだ読んでいないため、私の勘違いでしたら、申し訳ありません。)
この作品では過去、特に死別した奥さんについて少しだけ描かれております。基本的に高杉の視点で語られておりますが、高校生の一条の目線で語れれる部分もあり、バランスがとれています。
涼子先生『トロイメライ』ネタバレ!?感想・レビュー
これはショタものになるのでしょうか。あまり個人的にはツボではないのか…。嫌いではないのだけど、表現の仕方が、完全に子供みたいで…。(だからショタなんだけどさ…)
さらに、高杉先生の行動や性癖がいくつか受け入れられないものがあり、私にとっては微妙な作品でした。BLは、読者に刺さる箇所がいろいろなので、個人の好みによって感じ方が全然違うんですね。
お話はまとまっていると思います。どこに魅力を感じるかと言われると、やはりトロイメライというキーワードなんです。心理描写もあるのですが、残念ながら自分にはそこまで心には響きませんでした。やっぱり『肩甲骨とワンピース』を読んでから、再読してみようと思っています。
ストーリーは面白かったですが、過去のお話の絡ませ方が少し単純に感じてしまったのも、もったいなかったです。
また最後に二人は結ばれるのだけど、その描写も高杉が一方的に感じてしまいました。言葉での描写はあるのだけど、仕草などからそれをもっと感じたかったです。
じゃあ、どこをどう表現してほしいだろう、どうしたらもっとぐっとくるかな、と、勝手に考察してみたり… 久しぶりに「トロイメライ」を聴いたり、弾いてみたり…。また女装する男性の心理とは!?なんて、調べていたり…。やはりこの作品を手に取って、自分なりに、いろいろな楽しみ方がありました。
お話自体は楽しく拝見しました。思いの外、高杉先生の性癖が自分に合わなかったようです。(高杉先生、ごめん。w)あまり絡みシーンは気にしないほうなんですけど…。自分にも好き嫌いがあったんだな、と実感。
痛い作品ではありませんが、そういえば先生のモノが大きそうで、一条が大丈夫かちょっと心配になりましたよ。w
涼子先生の『トロイメライ』を今すぐ読む方法
涼子先生の『トロイメライ』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
最初の数ページをサンプルで今すぐ読むことができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
コミックシーモアは頻繁にクーポン割引あり。
Renta!は、レビューを書くとスタンプがもらえる機能などあり。
涼子先生はまだ作品を描きはじめたばかりなのか、数作品しかないようなので、『肩甲骨とワンピース』も読んでみようと思っています。☺️
まとめ
涼子先生の『トロイメライ』。上下巻の2冊で完結です。さらっと読めるので夜も眠れなくなることはありません。作中、高杉先生が眠れてないだけです。
でももし眠れなくなったら、高杉と同様、シューマンの「トロイメライ」を聞いてみてはいかがでしょうか。☺️
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