作品データ
ネオンサイン・アンバー
おげれつたなか
刊行年月:2017.01.15
出版社:新書館(ディアプラスコミックス)
どんな作品?
2015年に雑誌で連載したものをまとめた1冊。褐色肌のサヤは、イケイケの女好きに見えるが、実は男の子が好き。学生時代に好きだった男の子に告白したものの、トラウマになり、それ以来自分の気持ちを封印。
一方ノンケの緒方は、無表情な男。しかしわずかな表情の変化に気づいてくれるサヤに興味を持っていきます。男子好きとノンケ、過去のトラウマ、ノンケの緒方の葛藤など、複雑な心情が何層にもなって物語が盛り上がっていきます。
実はこの作品、私にとってのおげれつ先生作品2作目でした。
この本、紙で購入。ジャケットのデザイン、素敵です〜。絵を見て!クールに決めたチャラ男なんだけど、まゆげがかわいくないですか?w そして色気もある。実際に本を手に取るとわかりますが、表紙の角度を変えると、キラキラして見えるような特殊加工がされております。
カップリング
攻め:緒方(無表情でよく女の子にフラれる。サヤのギャップに惹かれる)
受け:サヤ(男子好きだが、過去にトラウマがあり女の子とばかり一緒にいる)
あらすじ
クラブで働いている緒方は、いつも違う女性と一緒にいるサヤを見て、苦手意識を持っていた。しかし実は女性目的でクラブに遊びに来ているのではないと知り、少しずつサヤに興味を持ち始める。
一方サヤは、緒方からお金を借りてしまい、その返済の代わりに朝ごはんを作ることになる。
少しずつ緒方と一緒にいる機会が増えてきて、緒方が少しずつサヤに近づいてくるのだが…。
おげれつたなか先生『ネオンサイン・アンバー』の魅力
おげれつたなか先生の作品は、どの作品も面白くて、切なくて、漫画としての完成度が非常に高くて大好きなんですが、どの作品のキャラも特徴的。必ずイケメンではないのだけど、すごく身近に感じるキャラが多いです。この『ネオンサイン・アンバー』も、褐色肌のチャラ男サヤにとまどったのだけど、物語が始まってすぐに引き込まれました。
作品の魅力1:二人の背景と葛藤、そして克服
この二人、普通の男の子たち。なのに、これほどのめり込んで読んでしまうのは、おげれつ先生の作品だからでしょうか。
緒方のキャラは、気持ちが顔にでないキャラなのだけど、冒頭ですぐその説明をしてくれます。そしてごく普通の男の子。
サヤが女性とフラフラしているのを見て、「女性とっかえひっかえして何が楽しいんだろ・・・」と思ってる。女性に対してある程度真面目なのもわかります。
サヤのことを「サヤちゃん」と心の中で呼んでいるところから、男というより、年下の男の子、と見てることもうかがえるし、どこかかわいく思ってるのがわかる。
緒方は顔の表情が固く、自分の感情がなかなか人に伝わらないのがコンプレックス。それで女の子にもよくフラれる。なのにサヤは、細かな変化を読み取ってくれるんです。
サヤの可愛らしい表情も加え、少しずつノンケの緒方はサヤに惹かれていきます。
しかしその彼の微妙な変化を読みとったサヤは、ノンケの緒方との関係が難しいことに気づく。緒方はサヤを深く傷つけたと悩み、サヤは学生時代のトラウマを思い出して、自分の感情を押し殺すことになります。
チャラ男のサヤは、見た目は褐色肌で遊んでそうな感じなんだけど、女の子と一緒にいるのは心が落ち着くから。学生時代にトラウマがあり、自分の感情を押し殺して男の子を好きになるのはダメなことなんだと思うようになります。
近づいてくる緒方に心が揺らぎながら、また彼の驚愕した表情からもショックを受け、また自分の殻に閉じこもろうとする。そこからどうやって二人は克服、開放されていくのかをぜひ読んで欲しいです。
作品の魅力2:表情豊かなキャラと会話
表情が硬い緒方に対して、サヤの表情はとても豊か。笑ったり、困ったり、ちょっとふてくされたり・・・。おげれつ先生が一喜一憂を細かに表現してくれます。褐色肌と影のコントラストで、表情をいきいきと見せてくれてます。
で、サヤのまゆげ、見てください。小さくてかわいいんですよ。話し方もかわいらしくて、実は一生懸命がんばってて・・・。憎めないキャラなんですよ。だから余計、学生時代のトラウマの話になると胸が締め付けられるし、緒方に「ばいばい…」というシーンのあの顔の表情、胸がえぐられました。
実はBLを読み始めた当初、Rシーンが苦手だった自分がなぜ本格BLのおげれつ先生に興味を持ったのか。それは先生の描くキャラ、そして表情です。
面白い漫画は山のようにあるけれど、絵がうますぎたり、話がファンタジーすぎたり、キャラがかっこよすぎたり…。どこかバランスが取れなくて、所詮フィクションに感じてしまうんです。(まぁフィクションだから当たり前ですが。w)
でもおげれつ先生のキャラは、おバカだったり、たまに行動や会話がチグハグ。それぞれのキャラにはユニークな性格や特徴がある。そのせいでお話がぐいぐい心に入ってくるんです。まるで近所にいそうなキャラ。そして本当の自分を押し殺して、取り繕っているようなキャラが多い。
この作品に対しても、どうしてこのチャラ男キャラにしたんだろう・・・と最初は不思議に思った。でも、冒頭から登場するサヤのアンニュイな表情、照れた表情、話し方、そして緒方に見せる笑顔がなんとも…。しかも先生、わかりやすく描いてくれる。
おげれつ先生はなぜこんな表情が描けるんだ…。でも、画力だけじゃない。先生の画力が活きてくるのは、前提として心理描写があるからですね。
作品の魅力3:細かな描写がリアリティを生む
表情豊かなサヤ。彼の足の指が気になります。緊張すると、爪先がクッと曲がる。男の子が好きということを緒方に告白するサヤ。爪先曲がってる!その後何度か緊張するシーンの時には爪先に目が・・・。
こういう詳細が、よりキャラクターをリアルに感じるんです。自分に自信がない時は目を逸らしたり… そんな細かな表現でキャラのリアリティが上がります。
ところで、会話・・・気になった点が数カ所。どなたか、わかる方いませんか。
まずあのササミのクダリ。申し訳ないけどちょっとわからない。真崎とササミ?同じ発音ってどういう意味?イントネーションのことでしょうか?
あと、サヤと緒方が一緒に料理作るシーン。「んじゃあ・・・これ、(じゃがいもの)皮むいて」(引用)のこのやりとり。これって、何気ない会話?それとも先生、言葉で遊んでる?ああ、なんかいろいろ考えることが・・・。w
おげれつたなか先生『ネオンサイン・アンバー』を今すぐ読む方法
おげれつたなか先生の『ネオンサイン・アンバー』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
最初の数ページをサンプルで今すぐ読むことができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
コミックシーモアは頻繁にクーポン割引あり。
Renta!は、レビューを書くとスタンプがもらえる機能などあり。
ところで・・・「Renta!レンタ」には、実は電子のみでしか読めないおげれつ先生のレア作『恋が踊るニュータウン』の電子書籍があります。単話で2話まで出ております。おげれつ先生、続編描いてくれないかなぁ。
おげれつ先生の『ネオンサイン・アンバー』:ドラマCD
おげれつ先生の『ネオンサイン・アンバー』は、ドラマCDが出ております。
これ、すっごく気になっております!近々聞いてみるかもしれません。
CDメディア:まだ販売されているようです。
コミコミスタジオさんに在庫があるようです。
オーディオDL:今現在ありません。もしくは、みつけられませんでした。
座裏屋蘭丸先生の『シャングリラの鳥』ドラマCDでフィー役を担当している中島ヨシキさんが声優で参加しております。なので、近々チェックする予定です。❤️
まとめ
この作品を読むと、好き嫌いはあるかもしれませんが、なぜおげれつ先生がBL界で人気があるのかわかります。
記事を書くにあたり、先生の単行本はヤリ部以外全部読みましたが、個人的にはこの作品のサヤが一番切なく感じたキャラです。
1巻完結ももうれしいです。ただ、Rシーンは少しありますので、そこだけはご理解のほどよろしくお願いします。w
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