こんにちは。
今日は、凪良ゆう先生の可愛らしいお伽噺『天水桃綺譚』をご紹介します。
凪良先生の作品を結構読んできましたが、とてもシンプルなこのお話、意外と好きです。
作品データ
天水桃綺譚(てんすいとうきたん)
凪良ゆう Yuu Nagira
イラスト:藤たまき
刊行年月:2017年05月25日
出版社:プランタン出版(プラチナ文庫)
どんな作品?
凪良ゆう先生、デビュー10周年記念に出版された1冊です。
タイトル作の『天水桃綺譚』は2008年に雑誌に掲載された初期の作品とのことで、一応BLではあるのだけど、昔話のようなおとぎ話で、お話も描写もストレートです。
しかしながら、だからこそ素直に読めましたし、可愛らしく、愛らしい作品となっています。
そのスピンオフにあたる『虎と桃』は、凪良先生がこの文庫本リリース用に書き下ろしたお話。こちらは、天水桃綺譚よりも恋愛描写が多めで、BLとしても楽しめました。どちらのお話も好きな人のために健気に生きるキャラ描写が愛らしかったです。
凪良先生といえば、『美しい彼』というBL小説のヒット作がありますが、私はどうしてもこの作品に馴染めずに苦戦しました。大勢のBL小説ファンの方は、読まれているでしょうし、凪良先生のファンの方には外せない作品かと思います。
が、自分は少しひねくれているのかもしれませんが、下手するとこの天水桃綺譚の方が好きです。w 作家としての凪良先生のベストな作品とは言いかねますが、なぜか個人的にとっても好きな作品となりました。
わかりやすいストーリーライン、ド直球な描写ということもありますが、まるで子供のように、自分の好きな気持ちを表現し、行動するキャラたち。そんなピュアな気持ちを忘れたくないからかもしれません。
正直、BL読者には、物足りなく感じるかもしれません。が、複雑な人間模様や難しい表現が巧みに使われる作品よりも、意外とシンプルな作品にやられることが多いかな、と感じさせられた作品です。
凪良ゆう先生『天水桃綺譚』:ネタバレ!?感想レビュー
2組のカプのお話が描かれていますので、お話ごとにご紹介します。

ストーリー1:天水桃綺譚
ストーリー2:お伽噺のあとで
凪良先生のあとがきによると、もともとのお話はデビュー前に書かれた作品のようです。のちに『うすくれないのお伽噺』というタイトルで、雑誌『小説花丸 2008年春の号』に掲載された短編。今回は修正・加筆されて紙本となりました。
戦後が舞台です。両親から受け継いだ桃の木を丁寧に育てている享と、ある日突然享のところにやってきた男の子・モモのお話。
物語は、冒頭、おじいちゃんが孫に昔話を語るシーンから始まります。
おじいちゃんこそが享で、孫の勇(いさむ)に自分の話を語り始めます。
突然享の目の前に現れた男の子は、自分は金の桃だと言い、白虎様が自分を探してくれるという。どこから迷いこんだのか、それとも両親から虐待でもされているのだろうかと心配する享は、モモと名付け、自分の家で一時的に引き取ることにします。
決して長いお話ではありませんが、お伽噺ながらも、享は両親が他界、そして離婚しているという孤独な男性。そして急に現れたモモは、桃ということで、子供のような性格をしています。挿絵からみても、モモはティーンくらいの役どころなので、二人の間のラブは、BLなのだけど、もっとピュアな人間愛にも近いものを感じます。
先入観というのは酷いもので、現代物でモモのようなティーンが出てくると、少し拒絶を感じてしまう自分がいます。が、物語がお伽噺のような作りだと、それほど抵抗なく読めてしまうのが不思議です。
物語は、それほど長くはありませんが、しっかりとした世界観が描かれていて、凪良先生の力量を感じられる作品です。多くの人が信じたい「永遠」を実現させてくれるファンタジーの世界。
夢や希望は、生きていくにおいて、やはり必要なものだなと思いました。
さて、天の桃とされるモモは、享と無事にハッピーエンドを迎えます。
そして、物語は、同じ木になるコモモのお話へとシフトしていきます。
ストーリー3:虎と桃
ストーリー4:虎の仔 桃の子 コモモの子

天の四神の一人である白虎(びゃっこ)様。
白虎様の庭には、1本の桃の木がありました。そこには、栄養もままならないコモモがぶら下がっています。白虎様に迷惑をかけつつ、早く一人前になりたい一心のコモモは、人間と恋をして美しく熟したモモのようになりたいと思います。
人間と恋をしてみたいと思うココモは、実は白虎様が好きなのだけど、神様への恋心は実るわけもなく、下界で恋をしようと思います。
そこで登場するのが、享の孫の勇です。
じいちゃんである享が大切に守ってきた桃林で農作業をする勇のところにやってきたコモモ。
勇とコモモのやりとり、そして白虎様や天界でのお話も絡み、ファンタジーながらも世界観が出来上がっていきます。また、天界にいるモモと享もやってきて、にぎやかなお話になっています。
こちらは文庫本リリースに合わせて凪良先生が書き下ろしており、お伽噺ながらもBL要素がプラスされておりました。
この作品は2017年リリースの作品になっていますので、文芸を書かれるようになった凪良先生の作風は、きっとこの頃からかなり熟練されているかと思われます。が、やはり、凪良先生の作品を5、6作品読んできて、私はこの作品が個人的にも好きですし、先生の小説家としての力量も程よく発揮されているのではないかと思います。
BLとしてよりも、ファンタジー小説として楽しめる作品であり、ぜひ、近いうちに電子書籍化してより多くの方に読まれることを願っています。
気になった点:プランタン出版について

プランタン出版とは、フランス書院という日本の出版社内にあるBL専門のブランドになります。
『Canna』というBL雑誌(漫画)も発行されており、個人的にはプランタン出版の作品が自分の好みにも合うため、よく読んでいます。
この作品はプランタン出版のプラチナ文庫からのリリース。BL小説のブランドでしたが、2019年に惜しくも休刊となりました。
凪良先生はプラチナ文庫から『未完成』『積木の恋』『お菓子の家〜un petit nid〜』などなど、いい作品をリリースされています。2025年1月には『未完成』も復刻版として電子書籍化され、凪良先生の過去BL作が電子で復活する予定です。
この『天水桃綺譚』もいずれ電子書籍化することを願っています。
さて、電子書籍化するのはいいのですが、プランタン出版の書物、なぜ刊行年月を本編の奥付に表記しないのでしょうか。
情報は、文庫本の表紙カバーののど部分に表記はありますが、表紙カバーがなくなってしまったらわからなくなってしまいます。
著作物として、しっかりと本編に記載していただけると、資料として使う時などに便利です。よろしくお願いします。
凪良ゆう先生『天水桃綺譚』を今すぐ読む方法
凪良ゆう先生『天水桃綺譚』は、残念ながら今現在電子書籍でリリースされておりません。
紙本も在庫なしとなっているため、何かのきっかけで新装版か電子書籍になるのを待つしかなさそうです。
フリマや中古屋さんなどで探すと、見つかると思います。
紙本は楽天を利用しています。電子書籍もありますし、洋書の取り寄せも安心。
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まとめ
いかがでしたか。今回は、凪良ゆう先生の『天水桃綺譚』をご紹介しました。
凪良先生のデビュー10周年記念も兼ねて発行された作品で、シンプルな作品ながらも愛らしさがあり、個人的には先生の作品の中でもオススメリストの上位に来る作品です。
もし紙本で見つけることがありましたら、凪良先生のファンの方には特に一度目を通していただきたい作品です。
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