こんにちは。
今回は、凪良ゆう先生の『愛しのニコール』をご紹介します。
田舎に住む男の子が好きな男の子のお話。ジェンダーアイデンティティ、初恋、上京……。生きづらさを感じながらも術を見つけ、サバイブしていく主人公の力強さと脆い恋心のがのぞけます。
作品データ
愛しのニコール Dear Nicole
凪良ゆう Yuu Nagira
イラスト:yoco
刊行年月:2016年04月20日
出版社:心交社(ショコラ文庫)
どんな作品?
yoco先生の素敵なイラストが表紙を飾る、ショコラ文庫の作品です。
田舎に住む中学生の二胡(にこ)。自分の性的指向が原因で自殺を試みるが、そのときに偶然知り合った榮(さかえ)によって救われる。
クラスメイトからのいじめを回避するために、オネエキャラを演じて成長する二胡と、命の恩人・榮が仲良くなり、二人は共に成長し、田舎から東京へと上京していくお話です。
物語は、二胡の視点からスタートしますが、途中から榮の視点に切り替わります。長年の二胡の片思い、そしてそれに気づかなかった榮ですが、ゆっくりと榮の気持ちに変化が生じていく過程は読み応えがあります。
ラノベのお楽しみである口絵イラストも、yoco先生の素敵なラストが楽しめるのも魅力の一つです。中学のお話からスタートし、社会人になっていく二胡ということで、時の流れにも注目。
『泣かないでニコール』『人生は薔薇色、ではない』『愛しのニコール』の書き下ろし3話が収録されています。
カップリング
攻め:榮(中学の時に二胡と知り合うが、一時期いなくなり、そしてまた田舎へと戻ってきた)
受け:二胡(ニコ。いじめを避けるため、オネエキャラ・ニコールを演じて学生生活を送る)
あらすじ
田舎に暮らす二胡は、中学生の時に自分の性的指向がバレてしまい、いじめに遭う。自殺をしようと学校のプールへと向かう。そこにいたのが榮(さかえ)だった。二人は偶然そこで知り合い、二胡は救われた。
いじめを回避するためにオネエキャラ・ニコールを演じる二胡は、高校で榮に再会し、恋をする。が、榮には他に思いを寄せている人がいて、卒業したら東京の大学に進学する。
ニコは結局自分の気持ちを伝えることなく、二人は上京してそれぞれの新生活をスタートするのだけどーーー。
凪良ゆう先生『愛しのニコール』:ネタバレ!?感想・レビュー

作品の魅力1:ニコ
凪良ゆう先生の作品は、たとえ視点が片方だけでも、比較的両方のキャラに魅力を感じることがあるのだけど、この作品の魅力は、なんといってもニコ。
田舎という狭い世界で、自分の性的指向が原因でいじめられたところから、彼の自分なりのサバイバルが始まります。中学生の時には自殺しようと試みますが失敗に終わり、物理的にも気持ち的にも助けてくれた榮(さかえ)という男の子に恋をします。
榮も自身の問題を抱えていたのだけど、お話はニコの視点で描かれます。
ニコはその後、いじめを避けるためにあえてオネエキャラを演じ、陽気に振舞います。
彼の高校時代はキャラを演じることに終わってしまう虚しさがあります。高校生という貴重な時期を、サバイバルのために演じて終わってしまった寂しさ、脆さ。榮への恋心はあるものの、彼以外への友情を見つけることができなかった。
ニコは、そんな偽りの自分、田舎という閉ざされた世界から脱するために、東京で就職します。
自分を変える方法の一つとして、環境を変えるのはとても有効な手段。
東京に行くと、二丁目という憩いの場!?に足を踏み入れたこともあり、少しずつ本来の自分を見つめられるようになっていくニコ。成長するにつれて、榮への想いはありつつも、自分の中で少しずつ前へと進んでいきます。
社会人として働き始めたニコが、置かれた環境の中での恋愛や生活に奮闘する様子、気持ちの移り変わりが描かれており、恋愛というよりも、ニコというキャラの成長物語にも読み取れます。
上京してからも榮とは友人関係を続けるのですが、自分の叶わぬ想いや、仕事の忙しさや疲労から、少しずつ気持ちが落ち着いていくところまで描かれています。これも、リアルですね。情熱は時間と共に……。
長いニコの片思いは、ある日を境に榮への視点へとシフトし、二人の恋愛の結末は榮の立場から描かれることになります。
作品の魅力2:等身大の物語

このお話は、描写の仕方、作中で使われる言葉、舞台、キャラ設定など、ごく普通の男の子たちのお話です。田舎からスタートし、舞台は東京へと移動しますが、決してファンシーな描写はなく、恋愛や仕事に奮闘する男の子たちの等身大の物語です。
凪良先生の(BL)作品は、可能な限り読んできましたが、作品によって文体や語彙などが変わることが多いです。この作品は、良い意味でラノベのような感覚で読め、変に気取らずに、ごく普通の日常生活が描かれたBLでした。
凪良先生の作品に限らず、いわゆる日常BLの楽しみ方がわからなかった自分ですが、最近やっと面白さがわかってきたかもしれません。
普段は言葉のチョイスや世界観などを楽しんでいるのですが、この作品に関しては、ニコをどれだけ愛おしく感じるかで、作品の面白さが違ってくるかなと思います。
個人的には、榮の魅力があまり伝わってこなかったのが残念です。
学生時代にニコが思いを寄せるのはわかるのだけど、上京してからの榮にははっきりとした魅力が見えて来ず。
子供の時のような無垢な(正義感の強い)気持ち、そして思春期の恋心。
上京して、社会に出て仕事をし始めたニコは、物事の優先順位や、心のキャパシティも変わってきて、榮への想いに少し変化が見られます。そんな描写も、逆にリアルに感じました。
凪良ゆう先生『愛しのニコール』を今すぐ読む方法
凪良ゆう先生『愛しのニコール』は、残念ながら今現在電子書籍でリリースされておりません。
今後、電子書籍化される可能性は大いにありますが、今現在は、紙本(中古本)での入手が可能です。気にならない方はぜひフリマやアマゾンなどで中古を探すことができます。
紙本は楽天を利用しています。電子書籍もありますし、洋書の取り寄せも安心。
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まとめ
今回は、凪良ゆう先生のの『愛しのニコール』をご紹介しました。学生の頃から自分をさらけ出すことができなかったニコ。そんな彼が恋した榮との恋愛模様や、上京して少しずつ自分を見つけていくお話です。
田舎という狭い世界で暮らしたことのある人にはより共感できる部分も多いかもしれませんね。住みにくい環境にいる場合は、なんとかしてそこから脱しなければいけない。自分の道は、自分で切り開くしかない。そんな経験のある方にも、読んでほしい作品です。
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