こんにちは。
今日は、木原音瀬先生の初期作品『恋愛時間』をご紹介します。
初版の紙本を見つけて、読みました。
出てくるガジェットがレトロでとても懐かしく、また、先生ご自身も若かりし頃に書かれた作品ということもあり、作品だけでなくあとがきまでキラキラとしたノスタルジックな感覚。面白かったです。
作品データ
恋愛時間
木原音瀬 Narise Konohara
イラスト:やまかみ梨由
刊行年月:1997年12月22日
出版社:オークラ出版(アイスノベルズ)
どんな作品?
木原音瀬先生の初期作品。
今はいくつかのプラットフォームで電子書籍で読むことができますが、私は1997年オリジナル初版(紙本)を拝読しました。
1997年といえば、やっと携帯やPHSがちらほらと出てきた時代。当然スマホはありません。インターネットはありましたが(ネットスケープってブラウザが……w)、一般的にはまだまだ浸透していない時代です。
作中、固定電話がでてきたりして、かなりレトロで楽しめました。(電子書籍版ではある程度修正されていると思います。)
木原先生は1995年に商業デビューされているので、この本は初期の作品ですし、先生もまだお若かったのではないでしょうか。
10代後半、もしくは20代前半。まだ会社勤めもされていた時期と思います。
だからか、初々しいあとがきも4ページありました。w
そんな時代背景も含みながら楽しめる作品です。
お話は、木原先生の作品にしてはかなり穏やかで、少女漫画にも通じるようなやさしい世界観。
貴重です。
ちらっと家族描写もあります。
初期の作品ですので不安定さはあるかもしれませんが、今読んでも楽しめる文章ですので、この時代に馴染みのある読者には懐かしく、また今の新しいBL読者には逆に新鮮に感じるかもしれませんね。
カップリング
攻め:広瀬(有田を想う後輩。ソフトな物腰だが、時々漢になるのが面白い)
受け:有田(弟が勘当されたトラウマがあるが、広瀬の想いを知り惹かれていく)
あらすじ
ある日、有田は後輩の広瀬から想いを打ち明けられる。同じ会社で働きはじめてから、広瀬は6年ほどの間有田に想いを寄せていたらしい。
自分の弟が男性と一緒に生きていくと決め、勘当されたトラウマを持つ有田は、広瀬の想いを理解できずにいた……はずだった。
しかし、いざ広瀬の気持ちに気づくと、広瀬の視線が妙に気になり、有田の気持ちにも変化が生じていったーーー。
木原音瀬先生『恋愛時間』:ネタバレ!?感想・レビュー
木原音瀬先生は中学生のころからノートに小説を書かれていたようです。当時は男女の恋愛ものを描かれていたということで、やはり恋愛というネタには昔から興味があったようですね。
この作品は、いわゆる「痛い」と表現される木原先生の作風からは少し違った、優しい世界観が描かれています。また、(先生の地元を参考にした)海の描写が登場したりと、どこか爽やかな印象さえ読んでとれます。
今の時代、電子書籍で物語は読むことはできますが、その際にはその時代に読みやすいように少し修正が入ります。
だからこそ、当時の雰囲気をそのまま感じるためにも、また木原先生の当時の思いを知るためにも、オリジナルの紙本を手に取ってみてはいかがでしょうか。
大人しい木原節
1995年に商業デビューした木原先生。このお話は1997年リリースのお話ということで、当時先生はおそらく20代になったばかり(もしや10代?)の若かりしころではないでしょうか。
物語はしっかりと楽しめますが、やはり初々しさがあり、作風がキラキラしています。海も出てきます。w
中学生くらいから、ノートにお話を書き始めたという先生ですが、先生が当時読まれていた小説家などは私も馴染みのある人たちだったので、おそらく自分と同じ世代かなと思います。
先生が幼い頃から吸収していった文章や世界観などが、先生の個性にも反映されていることもあり、自分には馴染みがある世界観でもあるんです。
それもあってか、このキラキラした作風が懐かしく感じます。
でもこの「キラキラ感」は、今現在の読者が思うキラキラ感とはちょっと違う。
だから、今の読者さんがどう感じるか、とても興味があります。
レトロな時代背景
登場するガジェットが、笑えるくらいどれもこれもレトロになっちゃってます。w
この作品は決してトレンドを意識した作品ではないのだけど、それだけここ最近で私たちのの生活が変わったということでしょう。
まず、電話。
1997年あたりは、まずスマホがありません。当時は携帯電話がやっと流行り出し、PHSなんていうのもありました。
インターネットはすでにありましたが、まだネットと無縁の生活をしていた人も多かったと思います。当時はネットスケープなんてブラウザが流行っていた……。自分のホームページを作って、掲示板でやりとりしたりと、楽しい時代が……。
プラットフォームというコンセプトがまだなかったですね。
このお話にはネットが出てきません。電話は、固定電話が登場します。
他人に聞かれたくない会話は、声を潜めて話す描写など、そんな「不便さ」も、今となっては懐かしいです。
ラジオの存在も貴重です。
ラジオは今もありますが、聞いている人ってかなり減ったのでは?
音楽情報や大好きな芸能人のインタビューなど、ラジオをチェックしていた時期がありました。当時は『FMステーション』なんて雑誌があって、それで流れる予定の曲やゲスト情報を事前にチェックしたり……。
作中でも、ラジオから聞こえる音楽の描写がありました。
何気ない音楽が旅の思い出になったりしていた当時。
大人しい広瀬の趣味として、カメラが登場します。
当然、デジカメやスマホのカメラではありません。
こういった細かなアイテムは、きっと先生は何気なく登場させたのだと思いますが、今読むと、妙にいい意味でレトロ感があって楽しめました。😊
木原音瀬先生『恋愛時間』を今すぐ読む方法
木原音瀬先生『恋愛時間』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
この作品は、楽天KoboやAmazonなど、限られたサイトでのみ電子書籍が可能です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「ebook japan」かレンタル本が豊富な「
Renta!レンタ」です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
ebook Japan:クーポンが魅力です。無料漫画も多々あり。
Renta!レンタ:レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入が可能。この作品は時々レンタル可能になります。
紙本は楽天を利用しています。電子書籍もありますし、洋書の取り寄せも安心。
日本企業を応援しております。
まとめ
今回は、木原音瀬先生の『恋愛時間』についておしゃべりしました。初期の作品だからは、妙に初々しくキラキラ感のあるお話で、木原先生のルーツが垣間見える作品でした。
木原先生の作品はまだまだ読み始めたばかりですが、読むたびに設定やキャラの性格などが全く違って面白いです。
それに比べると、今回はわりと大人しいお話だったかも。だからこそ新鮮で、またあとがきも含めた世界観そのものが懐かしい感じでした。次に手に取る木原作品は……痛い作品になるかな!?w
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