中村明日美子先生『佐条利人の父とその部下』下巻:寿一よ、勝負はすでについている

中村明日美子
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こんにちは。

今日は、中村明日美子先生の『佐条利人の父とその部下』下巻をご紹介します。

電子書籍でのリリースは12月ごろを予定しているそうです。ネタバレを含みますので、未読の方はお気をつけください。

作品データ

佐条利人の父とその部下 下巻

中村明日美子  Asumiko Nakamura

刊行年月:2025年8月30日

出版社:茜新社(EDGE COMIX)

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どんな作品?

中村明日美子先生の大人気シリーズ『同級生』のスピンオフ。

タイトル通り、利人の父親とその部下である夏目寿一のお話です。

『blanc』に登場した利人の父親。久しぶりに再会した息子・利人の恋人が男性(光)ということを知り、ショックを隠せなかった父。その父が、妻の死、そして息子との関係性をどうやって取り戻していくのか、葛藤が描かれています。

寿一は、自分がゲイだということを会社では隠してきましたが、ひょんなことからバレてしまいます。ゲイとしての生きにくさ、そして過去のトラウマの克服、さらには上司の佐条父に恋心を抱くことで、複雑な人間関係に悩みます。

同じ会社に働く二人は、年齢も違えば、心に抱えている過去のトラウマやわだかまりも違うタイプのもの。ですが、交流していくことで、互いにどこか気になる存在になり、支えられていきます。

下巻では、物語はよりドラマチックな展開とともに、解決へ。

下巻には、雑誌『OPERA』vol.90 – 95(2024/01〜2025/04)に連載された6話、そして描き下ろしが収録されています。

中村明日美子先生『佐条利人の父とその部下』:電子書籍について

こちらの作品は、紙本では2025年7月(下巻は8月)にリリースされておりますが、電子書籍でのリリースは2025年12月頃になるとのこと。今すぐ読みたい方は、ぜひ紙本でチェック!

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カップリング

佐条利人の父(長く海外に駐在していたが、妻の病死や利人の結婚もあり、日本へ帰国。)

夏目寿一(佐条父の部下。なぜか上司が家にやってきて、大変なことに……!?)

下巻のあらすじ

ある男の悪巧みで、会社で自分がゲイだとバレてしまった寿一。自分を抑制できなくなり、同僚たちと言い争いに発展してしまう。そんな中、自分を否定せずに受け入れてくれる佐条父に助けられ、少しずつ惹かれていきます。

そんな時、職場でミスがあり、その対処で偶然再会した寿一と清良(きよら)。二人は過去に関係があったのだがーーー。

中村明日美子先生『佐条利人の父とその部下』下巻:ネタバレ!?感想レビュー

上巻も面白かったですが、下巻はさらにドラマチックな展開で、最後まで一気に読んでしまいました。

上下巻で完結する明日美子先生のお話は『薫りの継承』や『ウツボラ』などを読みましたが、どちらも長めの時間軸のお話を描いた作品でしたし、コマ数も多めでした。

今回のお話は、どのページも比較的大きめのコマで描かれており、今までの作風よりも短い期間に起こったお話が丁寧に描かれた感じです。読み終わると頭の中でしっかりと全体像が見えてくるような、(良い意味で)不思議な読後感。

BLにカテゴライズされますが、佐条父と寿一の人間性が描かれたヒューマンドラマになっています。

二人の関係性とベクトルの方向

主人公である佐条父と寿一。

二人の出会い、そして交流を通じて、二人の心の奥底にあるわだかまりが解放されて、前へ進んでいくお話です。

しかしながら、そこに恋する感情が存在するわけで、感情ベクトルの方向は互いに違い、また種類も違う。二人の間に生じるこの感情のやりとりが妙に人間的であり、リアルです。

寿一

寿一は、ゲイとしての生きにくさ、そして過去のトラウマもあり、そこから抜け出すことができません。外見からは見えない寿一の脆さが、下巻では描かれています。

昨今のカミングアウトやアウティングなどの社会的な問題も絡ませながら、寿一という一人の人間を客観的に魅せてくれました。

生きにくい、でも頑なに他人(ノンケ)を拒絶する寿一は、どう読者の目に映るのか。

個。ユニーク。唯一無二。皆、それぞれが違う。

正解は、ありません。世の中でこれだけLGBTQのことが議論され続けているのは、答えがないからだと思います。

明日美子先生は、作品の中で、問題提起、そして先生なりの答え(もしくはメッセージ)を出しておられました。あくまで日本を舞台にしたお話ですが。

これを読む私たち読者も、それぞれが考えて、自分なりに理解や思考をすることが、この作品から得られる刺激だと思います。

寿一は、自分を知ろうとしてくれる佐条父に惹かれていきます。この恋の行方……気になる方は、ぜひ本編でご確認ください。😊

佐条父

佐条父が寿一を気にかける理由の一つは、利人を重ねているのかもしれません。

利人が同性の光と結婚したことで、佐条父は恐怖、責任のようなものを抱えています。また、自分が利人と光にひどいことをしてしまったことへの罪悪感もあります。(『blanc』参照)

明日美子先生は、子供がゲイだと知ったある親の情景を描きたかったのだろうか。

ただ、その奥底にある心の蟠りは、自分自身へのコンプレックスだった。

歳を重ね、妻の死や息子の結婚などというライフイベントを経て、佐条父の心情ベクトルは自分自身へと向いていきます。

全ての関係性が詳細まで描かれているわけではありませんが、佐条父の頭の中にあるエレメントがいくつかあり、それがつながっていきます。そして、そこに寿一が入り込んで……。

中年と若者、既婚と独身、ノンケとゲイ……。多くの読者をターゲットに、そして様々な角度から読み解ける作品になっています。

2025年は、中村明日美子先生のデビュー25周年にあたります。

先生が描く世界観、イラスト、そしてクセのあるストーリー。唯一無二の存在。これからも素晴らしい作品を描き続けてほしいです。

中村明日美子先生『佐条利人の父とその部下』を今すぐ読む方法

中村明日美子先生『佐条利人の父とその部下』は、今現在、紙本のみでリリースされています。(電子までもう少しかかりそうです。)

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私がよく利用する電子書籍サイトは「ebook japan」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。

どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。

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まとめ

今回は、中村明日美子先生の同級生シリーズよりスピンオフ『佐条利人の父とその部下』下巻をご紹介しました。

私が一度読んで感じた感想です。再読したら全く違うふうに感じるかもしれませんし、皆様もまったく違って見えることかと思います。

ただ、間違いなく考えさせられる作品で、刺激的で、そしてエンタメ性もしっかりとあるお話でした。ぜひ皆さんの感想も聞かせていただけたらと思います。❤️

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