京山あつき先生『聞こえない声』:二人の野球男子の秘密

京山あつき
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こんにちは。

今回は、京山あつき先生の『聞こえない声』をご紹介します。

京山先生は寡作な方ですが、初期作品含めどの作品もユニークな視点と萌えポイントがあります。

大好きな作家さんです。

作品データ

聞こえない声

京山あつき Atsuki Kyoyama

刊行年月:2006年12月15日

出版社:大洋図書(ミリオンコミックス HertZ series 017)

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どんな作品?

京山あつき先生の秀作。というか、京山先生の作品はどれも秀逸で、たとえちょっぴりおバカな設定でも心揺さぶられるものばかりです。

2006年リリースの作品ですが、今の時代の若い世代にはもしかすると受け入れられるかどうか微妙なシーンもいくつか……。w でも、秀作です。

絵柄に少しレトロ感は感じられますが、この作品の魅力はセリフからキャラの表情、そして細かな設定すべてからあつき先生の漫画家としてのセンスを感じ、またお話は絵小説のように、絵から読み取れる表情や情景以上に読者の心に入り込んでくる巧みな心情描写が、小説のような作品に感じます。

表紙にいる二人、攻めの今井先輩と背の小さいちょっと不細工な引田の不器用な恋物語。

この先生の絵柄は、以前『仮面ティーチャー』を読んでいるので抵抗はないんですが、それにしても、引田くんが見せる微妙な顔がとにかくブサ可愛くて……。

そして、今井先輩も、イケメンというわけではないのだけど、情欲をなかなかコントロールできない思春期。

高校生という多感な年齢、そして先生の野球萌えも相俟って、非常にユニークな作品です。

BL雑誌『HertZ』9, 10, 12, 13, 14, 15 (2004 – 2006) に掲載された6話に、1つの描き下ろしが収録。

京山あつき先生「野球男児シリーズ」:読む順番

このお話は、全3巻です。以下、読む順番です。

  1. 聞こえない声
  2. 見えない星
  3. 枯れない花

今回は、1巻にあたる『聞こえない声』をご紹介します。

カップリング

攻め:今井先輩(寮に住む野球部、2年生。引田の細かな表情を愛でるが、情欲のコントロールが効かない w)

受け:引田(今井先輩を尊敬する1年生。野球が大好きだが、先輩も大好きで、先輩の暴走に付き合うことになるのだが……)

あらすじ

野球部2年の今井は、後輩の引田を可愛いと思う。最近はそれ以上に、引田の服を脱がせたくなる衝動にさえかられる始末。自分はおかしいと思いつつ、引田への感情は止まらない。

野球部の部室で、引田をからかおうとふざけて部屋の電気を消した今井だが、部屋の中にいた引田を見て、自分の感情をコントロールできなくなっていく。

そして、今井の気持ちを知った引田は、ただただ憧れの今井を引き止めようとするのだがーーー。

京山あつき先生『聞こえない声』:ネタバレ!?感想レビュー

作品の魅力1:正解のない思春期の感情

物語の視点ははっきりしていません。たまに引田、まれに今井、それとも第三者視点で物語が描かれているのか。

冒頭から引田(ひきた)くんのちょっぴりブサ顔に惹かれます。イケメンが蔓すぎている昨今のBLですが、ちょっと不細工な顔もかわいいなって思う時はありませんか?

若い頃は確かに容姿に目が行きがちではありますが、ちっぴりブサイクな男子も、笑った顔とか、怒った顔とか、ふとした表情に目を引かれることがあった。

そんな一瞬を汲み取るのが、京山先生は巧みです。

先生が描く引田の豊かな表情といったら……。❤️

さて、物語は今井の暴走がキーポイントになります。

野球部2年で、男女からの評判もなかなかの今井くん。彼は、後輩の引田に色気を感じている。

可愛い、いじらしいという気持ち、そしてそれ以上に引田を裸にしたいという情欲の部分も徐々に抑えられなくなっていきます。

謎の情欲を引田に感じる今井は、「自分はおかしくなってしまった」とさらっと悩んでいます。でも思春期の健全な男子(女子も?)としては、普通の感情かもしれません。

引田の方は当然そんな気もなく、今井に憧れる健全な後輩です w

今井との時間が楽しくて、自分にかまってくれる今井も大好きで……。

そんな時、今井がやらかします w

この描写も巧みで、二人しかいない部室、ちょっとしたおふざけがとんでもない方向へと展開する不可思議な時の流れ、そしてそこにある恐怖や情欲、そして緊張感。

なんともいえない雰囲気が見事に描かれています。

だから、その後に妙に冷静を保とうとする引田と、たまに引田を襲う嫌悪感のようなものの微妙な空気感がなんとも言えません。

今井の感情は、引田を可愛いと思う描写はあるのですが、それが恋なのか、情欲だけなのか、1巻の描写だけでは非常に微妙です。そもそも思春期に感じる好きという感情(特に男性)は、正直かなり情欲の部分が大きいですよね。

理性を保とうとする部分と、少し線を超えてしまった今井と、自分を好きになって欲しいと思う気持ちと……。いろんな感情がごちゃまぜになっています。

単純な恋心や情欲だけが描かれているわけではないところに、繊細な心情描写と、京山先生の技量が表れています。

今井の好意を知った後の引田の気持ちもはっきりしない。

急な展開に驚き、でも今井先輩とぎこちない関係になるのは嫌だ。

自分が普通に接すればいいのか、またあったこともなかったことにすればいいのかと、彼なりにいろいろと考えていきます。

引田の中には「今井さんを好き」という気持ちがあるのだけど、それがどのタイプの「好き」なのかは読み手にもわかりません。

この巧みな心情描写に、唸され、「萌え」を感じました。

作品の魅力2:流される二人

京山先生の作品には、この「流される」状況がよく登場します。

作品冒頭で、二人は家族のことについて話しますが、今井は「今井さんの家族は温かそうだ」という引田になんとなく合わせて、適当に対応します。

引田も、今井からキスをされ、物理的に抵抗するわけでもなく…… w

決して受け入れたわけではないのだけど、恐怖から動けなくなったというわけでもない。やはり引田も流されている感じがする。

こういったお互いの態度は、大人になれば駆け引きになるかもしれませんが、この二人はそんな器用ではない。ただただ、抑制できず、お互いが流されている感じがしてならないのです。

そういうリアルな描写が、個人的には面白さを感じ、またこういう感情をしっかりと作品に落とし込む京山先生がすごいなと思いました。

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まとめ

今回は、京山あつき先生の『聞こえない声』をご紹介しました。決して派手な作品ではありませんが、ストーリー重視で漫画を読まれる方にはオススメしたい作品です。京山先生の作品は、どれも良作。未読の方は、ぜひ一度は読んでほしいと思います。

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