こんにちは。
今回は、秀良子先生の人気作品『STAYGOLD』から、最終巻である6巻をご紹介します。訳あり家族4人の群像劇。ついに完結となりました。
作品データ
STAYGOLD 6巻
秀良子 Hideyoshico
刊行年月:2021年03月05日
出版社:祥伝社(onBLUE comics)
どんな作品?
秀良子先生の代表作『STAYGOLD』。全6巻。
いよいよ最終巻になります。🎉
13歳の駿人の告白から始まった、叔父・優士との恋模様。いつでも自分の気持ちだけを信じ、正直に生きる駿人の人生への向き合い方や成長、そして受け入れることができない気持ちなのだけど、自分の気持ちを処理できなくなっていく優士の感情の駆け引き。二人にハッピーエンドはあるのか?
1つ屋根の下に住む4人の面々。それぞれが「変化」していく。
変わっていくもの、変わらないもの。
あるもの、ないもの。
成長や変化の過程でゆっくりと気づくそれは、中山家の面々の長い年月を眺めることで、読者の私たちに気づかせてくれることが多かったです。
ふと、解剖学者の養老孟司先生のことを思い出しました。
とあるインタビューで、養老先生が「全体」の重要性を語っておられた。
物事を分析するには、全体像を把握しなければならない。ミクロの世界にのみ集中すると、全体がつかめなくなって、結果、物事が複雑になりすぎて混乱すると言っていたのを思い出しました。
BLとは当然全く関係ない話ですが w 、ここ最近に見るストーリーは、絵本もそうですが、短期間の出来事や「瞬間」にフォーカスを置く物語を多く見かけます。
それはきれいだし、大切だし、物語の世界だけでなく、世界的にも「今」を生きる傾向にある。
でも、長い長い歴史を観察することで、物事がいい方向に向かっているかどうかはやはり見えてくるわけで、ミクロとマクロのバランスの重要性を考えさせられます。
そんなことをふと思い起こさせてくれたのが、この『STAYGOLD』です。
BLストーリーや恋物語ももちろん楽しめましたが、もっと読み込むと、違った側面から読み込めるお話だなと思います。
秀良子先生『STAYGOLD』シリーズ:読む順番
こちらのシリーズは、スピンオフが出ております。
- STAYGOLD(全6巻)
- STAYGOLD それから。(既刊3巻)
リリース順に読むのがおすすめです。
今回は、『STAYGOLD』最終巻(6巻)をご紹介します。
カップリング
攻め:駿人(高校生から大学生へ!驚くほどしっかり成長して歓喜!)
受け:優士(一人暮らしを始めますが、かなり弱り気味… がんばれ!)
6巻のあらすじ
自分の中にある感情がなんなのか、言葉にできない。でもそれは、やはり「あれ」で……。優士は、ずっと認めたくなかった自分の気持ちをついに言葉にする。
一方、駿人は高校を卒業し、本格的にテニスの道を極めようと、アメリカ留学を決意。祖父母のいるアメリカには、菊花も一緒に行くことになります。
皆が長年住んでいた家は、祖父母が手放すことを決め、優士とコウもそれぞれ一人暮らしをすることになり、4人がそれぞれの道を進み始めるのですがーーー。
秀良子先生『STAYGOLD』6巻:ネタバレ!?感想・レビュー
秀良子先生の『STAYGOLD』6巻、ついに完結しました。🎊
世界観は、スピンオフの『STAYGOLD それから。』で、コウと日高のお話がもう少し続きます。それにしても、この物語はとにかく駿人の成長が輝いておりました。彼から学ぶことがたくさんあり、身の引き締まる思いで読み終えました。w
作品の魅力1:それぞれのメタモルフォーゼ
秀良子先生が描きたかったもの。それは、成長を通しての「変化」。
優士、駿人、コウ、そして菊花の変化が最後まで楽しめました。
BLストーリーのメインは駿人と優士の恋模様。
13歳の時から描かれている駿人の成長ぶりはたっぷり楽しめるお話です。自分の選んだ人生を突き進んでいく駿人は、テニスに楽しさを見出し、才能を開花させていきます。
心身ともに成長はしていくのだけど、不変のもの、それはやはり優士への想いです。幼い頃からそばにいた叔父への想いは変わらなかった……。
駿人の一貫したブレない気持ちには、脱帽ものですね。
一方優士は、自分をうまく表すことのできない不器用な人間。
4人の中では年上で、それなりに家族をまとめてこなしてきたはずなのに、駿人と菊花はアメリカへ、そしてアメリカに住んでいる両親が一軒家を手放すことを決めたことで、優士とコウも一人暮らしを始めることになります。
フリーランスの仕事をこなしていた優士ですが、日に日ににぎやかだった「家族」がいなくなったことを身に染みて感じていきます。
駿人を恋しく思う気持ち、家族を恋しく思う気持ち、孤独……。ある意味中山家には、日本が昔ながらにあった「ファミリー」の定義が崩壊していく様子が表現されています。
ファミリーが崩壊していった結果、今、私たちは社会的に「孤独」に直面している。
そんなシリアスな問題さえも考えさせられるのが、優士の状態。
たくましく変身を遂げる駿人とは反対に、弱っていく優士。w
しかしながら、彼なりの変化がそこにはありました。
自分を受け入れること。そして、自分から欲すること。
一つの変化はそこではないかな。
優士は、心の拠り所を求めていたのではないかな……。
変わらずに自分が安心していられる場所、自分を思ってくれる人。
親や義姉も皆自分から離れていった寂しさや、ある意味人間に対する不信感のようなものがあるのでしょうか。
6巻においては、コウのお話は少しだけしか描かれていませんが、彼は日高との一件以来、毎日の生活に流された状態のまま。心が満たされない。そんな時、日高と再会します。この二人のお話は、『STAYGOLD それから。』に続くので、落ち着いたら拝読しようと思います。
菊花も大きくなりました。
彼女は、幼い頃に母親がいなくなったことで、トラウマがあります。
人付き合いもあまり上手でないし、男ばかりの環境で育っています。
アメリカに行き、友達を作っていくのだけど、彼女の人生も、これからいろんなメタモルフォーゼがありそうです。
作品の魅力2:心の拠り所
この作品にはBL要素を含めていろんなメッセージが読み取れまる、奥深いお話でした。
でもそれは、秀良子先生が意図したものだったのか、それともいち読者として私が勝手にそう読み取ったのかはわかりません。余白の多い作品は自由に妄想できますからね w
でも、だからこそ私はこういう漫画が好きです。小説とも違うし、アニメとも違う。
ある意味、自分という読者の都合のいいように読み取ります。
魅力的なポイントはいくつもありますが、一つ思ったのは、人間やっぱり一人では生きていけないということ。
「孤独」がどれだけ人間にダメージを与えるかが描かれているなと思いました。
自分の気持ちに気づいた優士ではありますが、その気持ちをどう対処すればいいのかわかりません。また、自分から助けを求めたり、行動することもしない性格のよう。
そんな彼は、自分の幼少期から経験した実体験も含めて「家族」にこだわったんじゃないでしょうか。心の拠り所、とでもいいましょうか。
優士は、仕事があるので社会との繋がりはありますが、人間は孤独では何もできないし、生きていくことはできません。
人と繋がったり、趣味を持ったり、仕事をして社会の中で自分の居場所を探したり、何らかの社会的な関係を持つことで「自分」の存在を確認しているのでしょうか。
そんな彼に欠けているのが家族なのかもしれません。
親の再婚や渡米、突然いなくなった弥生(駿人の母親)そして駿人がいなくなり、6巻ではホーム(家)までもなくなってしまいます。
拠り所。それはものなのか、人なのか、場所なのか……。人それぞれで違うとは思うのだけど、いつまでも自分を裏切らないもの。そんなものが、心の拠り所なのではないか。
秀良子先生『STAYGOLD』6巻を今すぐ読む方法
秀良子先生『STAYGOLD』6巻を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「ebook japan」かレンタル本が豊富な「
Renta!レンタ」です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
ebook Japan:クーポンが魅力です。無料漫画も多々あり。
Renta!レンタ:レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入が可能。この作品は時々レンタル可能になります。
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まとめ
今回は、秀良子先生の『STAYGOLD』6巻をご紹介しました。全6巻の作品で、完結しました。完結してから読み始めたのですが、雑誌での連載そのものは8年ほどかかったようです。リアルタイムで追っていた読者の方は、おつかれさまでした。
秀良子先生の名前は何度か見かけていたのですが、そんな先生の作品の中でも読んで正解だったのが、この『STAYGOLD』です。私がBL勉強会で絶対に読もうと思っていた作品に迷いなく選んだ作品の一つです。BLではあるのだけど、漫画としていろんな側面を持っていて面白かったし、やはりBLの歴史を追う上で、読むべき作品でした。
ゆっくり進むお話なので、これから読まれる方は一気読みをオススメします。いや、逆に1冊1冊ゆっくりと噛み締めながら読むのもいいかもしれません。😆
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