ARUKU先生『明日屋商い繁盛』:紙上に広がる時空間の魅力

ARUKU
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こんにちは。

今日は、ARUKU先生の『明日屋商い繁盛』(全2巻)をご紹介します。

SNSのフォロワーさんたちのコメントを読んで、気になったので手に取ってみました。(いい意味で)想像していなかったお話の展開と世界観に、じんわり引き込まれました。

作品データ

明日屋商い繁盛(全2巻)

ARUKU

刊行年月:2012年07月24日、2013年05月24日

出版社:幻冬舎コミックス(ルチルコレクション)

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どんな作品?

ARUKU先生のルチル2作目。

この先生の作品は、ハマる人とそうでない読者が分かれる作家さんかと思うので、まずは一冊読んでみることをオススメします。

ARUKU先生のお名前は何度か拝見していたのだけど、和のお話のようで、洋モノ好きの自分には合わないかな、と食わず嫌いが続いていました。しかし、オススメなどでも何度か見かけ、やっぱり読んでみよう、と。

お話は和ファンタジーで、ほんのりBLなのですが、独特な空気感があり、また先生の感性が溢れている作品です。私にとってはこの作品がARUKU作品デビュー作となり、慣れるまで少し時間がかかったのですが、全2巻一気読みで、最後には涙しておりました。

物語が、良いです。

イラストは、クセがありますが丁寧に描かれているのがわかりますし、物語に惹かれるので、読んでいるとイラストが気にならならなくなる、また途中から愛らしささえ感じるようになります。

事故で家族を失い、自分だけが生き残った秋緒は、キッカなる謎の男(おばけ?)と一緒に住むようになります。キッカと瓜二つの友人・天宮や、なぞの妖怪たち!?に囲まれ、不思議な毎日を過ごす秋緒。

ファンタジーながら、最後にあれこれと伏線回収されていくのですが、ラストが最後まで分からず、(良い意味で)なんとも不思議な読後感のある物語でした。

昨今、わかりやすい展開、また画力先行で、漫画というよりも映像のような作品が増えていますが、私は小説と映像の狭間を埋めるような、漫画的な作品が大好きで、この作品はまさにそれだと感じました。

1巻には『ルチル』vol. 41-47(2011-2012)に連載されたタイトル作および『美しい俳句教室』3, 4、および描き下ろしが収録。2巻には『ルチル』vol. 48-53(2012-2013)に掲載された6話と描き下ろしが収録されています。

ARUKU先生『明日屋商い繁盛』:ネタバレ!?感想・レビュー

私にとっては、初めてのARUKU先生作品。

独特の和の世界観と、個性のあるイラスト、そして、点と点がつながっていくストーリー。

読み応えのある作品で、そこには先生の創造力と命を揺さぶるような強いエネルギーさえ感じました。

作品の魅力1:世界観

物語は、突如始まります。

第1話にはセリフで簡単に説明はされていますが、少し読み進めないと汲み取りにくい世界観。

主人公の秋緒は、家族を事故で失い、一人だけが生き残りました。生きる気力も起こらない彼は、遠い親戚から小道具屋を継ぐことになります。物語は、この不思議な小道具屋を舞台に進みます。

秋緒には天宮という友人がいるのですが、その男と瓜二つの「キッカ」という男色家の自称・かさおばけが現れ、秋緒と一緒に小道具屋に住むことになります。

小道具屋にやってくるお客たちも、生身の人間ではなく、なにか怨念のようなものが宿ったモノで、秋緒もそれを通して過去の記憶が呼び起こされます。自分の記憶なのか、それともその怨念が宿ったモノの記憶なのかーーー。

時空間が自在に行き来するため、読み進めては理解していくスタイルで、正直、スマホでさくっと読む作品ではないです。

読み進めていくと様々な点と点がつながっていくのですが、1冊の中で、二重三重にもなって進行するお話は久しぶりに読みました。脳内で時空間を創造して読む必要があります。挑戦的ですが、その分、読後感も素晴らしい。

つながりのなさそうな小さな描写も、読み進めるにつれて、全てがつながっていきます。

物語の中核には、秋緒の過去があります。

事故に巻き込まれた家族、そして自分だけが生き残ったのだけど、その時の記憶が残っていない不可思議さ。キッカと、瓜二つの天宮の存在など、全ては想像を超えた結末へと繋がっていきます。

謎解きとしても楽しめますが、私は、作品の中の時空間の表現の仕方に感銘を受けました。

作品の魅力2:メッセージ

大きな軸に秋緒の過去がありますが、物語は1話1話完結していきます。

曰くつきの小道具や人物が登場し、そのものたちの過去が明らかになって、成仏!?していく。そんなエピソードの中に、ARUKU先生のメッセージや文学的な物語が組み込まれています。

何気ないお話、切なさ、卑しさなど、さまざまな感情が多方の角度から巧みに表現されています。

セリフは、難しくはありませんが、物語の中に文学が落とし込まれているような感覚。

ぜひ本編でご確認ください。

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まとめ

今回は、ARUKU先生の『明日屋商い繁盛』(全2巻)をご紹介しました。

この作品の魅力は世界観、ストーリーであるため、種明かしができないのが残念です。また、表面的なネタバレをしても、面白さはそこにはありません。ARUKU先生が描かれるこの世界の中に、空間があるんです。読むことによって、その空間が自分の脳内に広がっていく感覚が、興味深いのです。

ぜひ一度、ARUKU先生の作品をお手に取ってみてはいかがでしょうか。

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