こんにちは。
今日は、海野幸先生の2026年作品『アイドルの再就職先について考えてみようか』をご紹介します。
アイドル……ではあるのですが、決してきらびやかな世界ではなく、地道にがんばるアイドルたちの世界、それ以上に、創作活動に携わる人には共感できる部分も多々ある物語でした。
作品データ
アイドルの再就職先について考えてみようか
海野幸 Sachi Umino
(イラスト:みずかねりょう)
刊行年月:2026年07月31日
出版社:徳間書店(キャラ文庫)
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どんな作品?
海野幸先生のアイドルBL。2026年作品。
海野先生の作品は、リーマンものをよく読んでいるので、アイドルBLと聞いて、初老の私には若すぎるかな……とも思ったのですが、気になって、もやもやするのも嫌なので、読んでみました。
私が読んだ海野作品(先生の著作の3分の1も読んでないですが)は、どれも成長物語でしたが、この作品も、試行錯誤しながら自分と向き合い、前へと進む物語です。
結成2年目のアイドルグループのリーダーをしている智也は、役者を目指していたのですが、うまくいかず、今はアイドルとして活動。しかし、そのアイドル活動もうまくいっておらず、自分を見失っています。
酒屋で働いている古條(こじょう)という男性と知り合い、交流を深めていくのですが、古條の何気ないアドバイスが、智也のアイドル活動にいい影響を与えていきます。
物語は智也の視点で描かれており、彼のアイドル活動やラブが中心になってはいますが、時折古條の過去のお話や葛藤も描写されており、創作活動に携わる立場の葛藤が生々しく語られています。
若く、少し頼りない感じの智也ですが、その分古條の存在が力強く感じられ、焦らしに焦らされた最後のお楽しみ!?では、思わず歓喜してしまいました。w
そして、みずかねりょう先生のイラストも、美しいです。
この作品は、書き下ろしです。
カップリング
攻め:古條(酒屋で働いているが、実は以前脚本家をしていた)
受け:智也(アイドルのリーダーだが、人気が出ない。役者志望のため、アイドル役を演じようとするのだけど……)
あらすじ
結成2年目のアイドルグループ「CAST/5」。グループのリーダーを務めている智也は、役者志望で最年長。でも、グループ内では人気最下位。なんとかアイドルを演じようとするのだが、空回り。もしかして、自分はグループの足をひっぱっているのではないかと不安の日々。
自分を見失っていた智也は、ある日酒屋のバイトである古條と知り合う。なぜか古條は芸能に詳しいのか、奮闘する智也やCAST/5のメンバーに的確なアドバイスを送る。古條はなぜ芸能に詳しいのだろうかーーー?
海野幸先生『アイドルの再就職先について考えてみようか』:ネタバレ!?感想・レビュー

作品の魅力1:moving forward
海野先生の作品は、主人公が苦闘しながらも前進する作品をよく書かれていますが、この物語もその一つです。
役者としてキャリアをスタートしたものの、その後伸び悩み、やりたいことを諦めるべきか、または再チャレンジするべきかと、自分を失いつつある主人公の智也。
アイドルとして活動するのですが、ステージの上ではアイドルを演じようとする。空回りしてしまい、自分の人気も上がらない。
最年長、リーダーとして、自分がグループの足をひっぱっているのではないか、自分は本当にやりたい役者に本気でチャレンジするべきではないか、と問答します。
グループの面々とのあれこれなども頼もしく描かれています。智也含め、5人のグループですが、メンバーたちの特徴もほどよく描かれていて、もう少しこの世界観が描かれることになったら、お話もいろいろと展開できそうな感じです。
結局、智也は自分なりに決断し、前へと進んでいくわけですが、その過程で、古條と知り合います。
古條は、年上ということもありますが、(智也に比べると)芸能を客観的に分析する男で、アイドルとしての立ち位置を模索していた智也に的確なアドバイスを与えます。
読みどころなのは、古條自身にも過去があり、そこからゆっくり前へと向かっていくところ。
古條の過去の話はそれほど書かれていないのに、妙に脳裏に残る内容で、個人的には古條のキャラ背景に惹かれました。
どちらにしても、皆がなんとか前へと向かっていく描写は、海野作品らしさがあり、安心の読後感を与えてくれます。
作品の魅力2:答えのない世界
古條は、元脚本家。
何気なく書いた作品がヒットしてしまい、それ以降、自分は何を書きたいのか、また何を書くのが正解なのか、わからなくなり、筆を折ってしまいます。
海野先生ご自身のお考えも少し反映されているのだろうかとさえ考えてしまう古條の考えや創作活動の捉え方、向き合い方に興味を惹かれました。
物書きに限らず、すべての創作活動を行っている者に言えることかと思います。
創作の価値は目に見えるものではないけれど、評価は数字で表されます。
そんな世界で、物を作る側として、自分の作りたいもの、作ったものを受け入れてくれるオーディエンスとのバランス、そしてビジネスとしての業界における評価など、複雑な環境の中で模索する姿が、古條を通して描かれているのかな、と思いました。
作品の魅力3:ラブ

BLですから、当然ラブも描かれております。
このお話、とにかく焦らしに焦らされた……っ!
お話の構成上、智也のアイドル奮闘記が中心になっているため、古條とのあれこれはなかなか出てこないので、もどかしかったです。😆
智也が古條に惹かれているのはわかるのですが、古條側からの大きなアクションがない。w
ただ、存在感はあります。
智也とは違った力強い存在感があるので印象は深いですし、古條の過去のお話や彼の考え方には共感を覚えたり、気づきがあったりと、楽しんで読み進めましたが、ラブは焦らされます。
最後の最後、やっと古條と智也の二人だけの時間がやってくるのですが、歓喜してしまいました。w
アイドルが好きな方、また、お仕事BLが好きな方は、楽しめる作品になっています。
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まとめ
今日は、海野幸先生の2026年作品『アイドルの再就職先について考えてみようか』をご紹介しました。
アイドル奮闘記ではありますが、分析、実行、フィードバックと、行動する主人公で、お仕事BLでもあります。アイドルとはいえ、決してきらびやかな世界ではなく、令和のアイドル事情には厳しいものがありますね。w
海野先生はここのところ追っている作家さんなので、次の作品も楽しみにしています。
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