こんにちは。
今日は、木原音瀬先生の2012年作品『リバーズエンド』をご紹介します。
木原先生が原作、そして小椋ムク先生がコミカライズを担当された『キャッスルマンゴー』シリーズの作品で、当時はコミックスとほぼ同時にこちらの小説もリリースされました。
木原先生の作品はどれも好きですが、この作品もとてもよかった。
作品データ
リバーズエンド
木原音瀬(このはらなりせ)
イラスト:小椋ムク
刊行年月:2012年10月10日
出版社:蒼竜社(Holly NOVELS)
どんな作品?
小椋ムク先生が作画を担当したコミックス『キャッスルマンゴー』(全2巻)と連携した作品になります。
『キャッスルマンゴー』は、木原音瀬先生が原作、小椋ムク先生が作画を担当し、コミックスとして発表されました。2巻のリリースとほぼ同時にこちらの小説も発売に。
しがないAV監督の十亀(とがめ)と、撮影で使用しているラブホテルが実家の高校生・万(よろず)のお話。
漫画の方では万の視点で、二人が出会い、恋人同士になるまでのお話が描かれていますが、小説の方は、十亀の目線で、彼の高校時代のお話、そして、万と恋人同士になった後に映像の仕事を続ける十亀の様子(万も登場します)が描かれています。
漫画ではさりげなくしか描写されていなかった十亀の過去の話が、こちらの小説ではがっつりと書かれており、十亀というキャラをより理解することができます。
また、十亀が昔から夢を見ていた映像の世界。その世界で奮闘する様子を読むことができます。
木原先生の作品は、BL作品なんだけれどもそれを超越する物語の厚みがあります。この小説も、後半の映像世界のお話はかなり詳細に描かれていて、いわゆる「BL萌え」を求める読者には少し長く感じてしまうかもしれません。
でも、私が木原先生の作品に魅力を感じるのは、BLを超えた世界観。
BLカテゴリーでは収まりきらない、広い世界が鮮明に描かれていて、キャラを取り巻く世界そのものを魅せてくれます。
木原音瀬先生『リバーズエンド』:読む順番
十亀と万のシリーズは、全部で3作品リリースされています。
- キャッスルマンゴー(全2巻:小椋ムク先生のコミックス。原作は木原先生)
- リバーズエンド(木原音瀬先生の小説)
- HOLY MIX(小説:リバーズエンドの番外編が収録されたオムニバス)
上記リリース順に読まれるといいと思います。
私は今回ご紹介する小説『リバーズエンド』から読みましたが、それでも大丈夫でした。小説には2話収録されていますので、十亀が高校時代のタイトル作を読んでから、『キャッスルマンゴー』を読むと、ムク先生が描かれる十亀の表情によりグッときました。
『HOLY MIX』は、木原先生他4人の作家さんによる人気シリーズの番外編オムニバスになっています。こちらに『リバーズエンド』の番外編が収録されています。
木原音瀬先生『リバーズエンド』:ネタバレ!?感想・レビュー

ストーリー1:『リバーズエンド』
十亀が高校生の時のお話。
彼は貧乏な家庭に育ちました。恵まれない環境で、小さなトラブルはあちこちで起こるのだけど、そんな中にも姉や弟の存在や小さな幸せのようなものがあります。
人間は人とのつながり、そして社会とのつながりの中で、自分の存在価値を見出していく。
十亀にとっては、どんなに貧乏だろうが、トラブルの多い家庭だろうが、その家族とのつながりが自分の存在を実感する術(すべ)だったのではないでしょうか。
映画もその一つだと思います。
十亀が唯一こだわりを持ったのが映像の世界です。
自分の好きなものやこだわりも、社会とのつながり。
漫画『キャッスルマンゴー』に登場した十亀の友達・二宮も登場します。
小さな出会いと日々のいざこざが絶妙に描写されていきますが、そんな中、大きな試練が十亀を襲います。ぜひ本編にてご確認ください。
木原先生の作品の魅力は、等身大の描写の中にあるささいな違和感やズレ、そしてそこから恋に落ちたり、物語が思わぬ方向へ進んでいくお話の展開。
そこにはキラキラしたものはなく、美化された文章もありません。でも、描かれる人物にはどこか魅力があり、人生の浮き沈みが切り取られている。そこにリアリズムがあって、どんどん物語に引き込まれていきます。
木原先生に「癒し」を求めるのは違うな、と思います。(個人的意見)
「萌え」も私にはわからない。w
でも、人間臭い矛盾や違和感、しがらみ……。そんなものが描かれていて、その感覚を読者の自分が知っているからこそ、共感するようにリアルに感じて物語の凄さを感じるのだな、と思います。
木原先生の物語は、フィクションとしても楽しめるのだけど、読後は必ず自分の人生や生活を考えさせられます。はたまた新しい知識へと導いてくれる作品が多いです。
ある意味、挑戦的な作品です。
ストーリー2:プロローグ

短いですが、小椋ムク先生によるプロローグが描かれています。
タイトル通り、『キャッスルマンゴー』のプロローグとして、十亀と万が街でニアミスしているお話。❤️
ストーリー3:god bless you

時系列的には、十亀と万が無事に恋人同士になった後のお話です。
相変わらず二人の間にはすれ違いがあり、万もちょっと子供っぽいところが残ってはいますが、時間をかけて関係を深めていけばと思います。w
このお話の主題は、映像の世界で奮闘する十亀です。
十亀の高校時代のお話の後なので、彼の映像世界へのこだわりがわかります。
『キャッスルマンゴー』ではAV監督として仕事していた十亀ですが、彼がより映像の世界へと踏み込んでいく様子が描かれています。
万(よろず)も登場するのだけど、それ以上に映像の話が詳細に描かれており、「萌え」を求める読者には少し長めに感じてしまうのも否めませんが、個人的にはこういうお話があるからこそ、木原先生の作品に惹かれるのだなと思います。
さいごに
小椋ムク先生の表紙イラストが超絶素晴らしい!!!❤️
水彩の美しさ、そして哀愁漂う色合いと構図……
読後に改めて表紙を眺めると、涙が出てきます…😭❤️❤️❤️
木原音瀬先生『リバーズエンド』を今すぐ読む方法
木原音瀬先生『リバーズエンド』は、残念ながら今現在、限られたサイトでのみ電子書籍化されています。Amazon Kindleにありますよ〜。
小椋ムク先生による漫画『キャッスルマンゴー』はこちら!
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まとめ
今回は、木原音瀬先生の『リバーズエンド』をご紹介しました。二人だけの心理描写だけでなく、物語の全体像が見えるスケール大きめの描写で、物語に漂っている世界観を楽しめました。
お話自体は悲しいけれど、それも人生。そんな中から自分の居場所を見つけ、寄り添っていく二人……。木原先生、本当にありがとうございます。
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